初めての魔物
42話でようやく魔物と戦います。
長かった・・・。
まあ文量はたいしたことないんですが
明日は11時に2話投稿します。
其の5と其の6なので注意してください。
3章-MP1の新人冒険者 其の4-
-ゴソゴソ-
木の影が動いた。
そこに現れたのはだいたい30cmくらいの青いグミ状の生物だった。
俺はこれがスライムだと直感した。
スライムは滑るようにこちらに近づいてくる――殺気を伴って。
目標まで俺たちのいるところからまだ50mほどあったが先制攻撃だ!
「スズ撃て!」
-ヒュン・・・ズバコン!!・・・ズシ!-
スズが放った矢は全く孤を描かずにスライムの頭上を通過し、後ろの木に命中する――だけでなく貫通し、その後ろの木に突き刺さった。
「「「は?(にゃ?)」」」
俺たちは思わず間抜けな声を出してしまう。
こんなの予想外だ。
そう思って一瞬ぼうっとした隙に・・・。
「ぐは!」
「「ショウさん!(お兄ちゃん!)」」
50m先にいたはずのスライムが飛んできた!
スズの方に向かったように見えたのでとっさに庇って直撃した。
思ったより何故かダメージはなかったが体操のレントゲン並みに痛かった。
1秒以上は目を離していなかったはずだから秒速50mくらい、つまり時速180kmほどで飛んできたことになる。
スライムの今の移動速度は人間が走るのと変わらないくらいだから、おそらくスライムのアクティブスキルだったのだろう。
よく思い出してみたら何かが光って、ぼそぼそと何か聞こえた気がする――次は見逃さないようにしなければ。
「くらえ!」
俺は身体能力が上がっているのでスキルは使う必要がないだろうと、使わず地を蹴りスライムに向かって居合を繰り出す。
「あれ?」
俺は5mほど先に着地した・・・つまりスライムを飛び超えてしまった。
すかさずカオリも攻撃しようとしたが同じように飛び越えてしまう。
そうか身体能力が上がりすぎて感覚がついていかないんだ。
くそ、まず装備品よりこっちを先に確かめるべきだった。
俺たちは急に伸びた身体能力と意外に早いスライムの動きに翻弄され、まだ1撃も攻撃を当てられない。
スキルを使わない時のスライムの動きなら、侵入拒絶領域内でもあてられるのに・・・そうだ!
スライムがこちらに飛びかかるのに合わせてあの技を使う!
(「スラッシュ」)
俺が振りおろした一撃はスライムにクリーンヒットし、というよりスライムの3分の1を切り裂き、追い打ちをかけるようにスライムの中心を突き刺した。
スライムはモゾモゾと数十秒動き、そして止まった!
二度と使わないと思っていたけどワザと動きを鈍くする必要があるとはね。
人生やっぱりわからんな。
「やった!」
「お見事です! ショウさん!」
「やったね! お兄ちゃん!」
ぼーん! スライムが光となって崩れていくと同時にいつものが来た!
神2?『ショウ・オオサカはスライムを倒しました
ショウ・オオサカはMP結晶を獲得した
レベルを6にできます
レベルアップにはMP1を奉納してください
また習得可能なスキル並びにスキルアップ可能なスキルが100以上あります
すべて習得するにはMP256を奉納してください』
YES レベルすぐに上がったな・・・あと100以上って端折りすぎな気が。
神2?『ショウ・オオサカはレベル6になりました
現在習得可能、スキルアップ可能なスキルすべてを習得しました』
こんなに一気に習得したのはおそらく侵入拒絶領域内では戦闘系の能力が落ちていたからだろう。
実力が上がったのだからスキルアップするのは当然で、おそらく今まで習得した戦闘系のスキルはカンストしただろう。
そして今の能力にふさわしいスキルを習得できたのだろう――よく考えたらまだ結界抜けてないからこの先もこんな感じで大量に習得するのか。
オリジナルスキルもかなり増やせそうだし、しばらく身体能力を慣らしたりスキル関連で忙しくなりそうだ。
「ショウさん! あれMP結晶ですよね?」
「はじめて見るにゃん!」
2人は僕の下、スライムの死骸があった場所を指さしていた。
そこにはスライムの代わりに、淡く光る小さな何かの結晶のようなものが落ちていた。
「いや俺に聞かれても何か知らないけど・・・」
「えっとショウさんが倒しましたので、神様から獲得したとお告げがあったと思うんですが」
「あ~そういえば、そういってたな。これってみんな聞こえるの?」
「いえ、最後に止めをさした人だけです。倒して残ったものはすべて倒したものの所持品になるそうです」
「お兄ちゃん見せてくれにゃん~」
俺はMP結晶と呼ばれるものを拾い「所持品情報開示」で調べてみた。
「下級MP結晶」
下級の魔物を倒した時に必ず得られる結晶。神は死んだ下級以上の生物の根源MPを回収し、残りを結晶や他の形で再構成する。マジックアイテムや装備品など作成時などに使用。また魔物はMP結晶から直接MPを抽出することができる。
「はいどうぞ~」
「わ~きれいだにゃん!」
スズはうれしいのかすごいはしゃいでいる。
俺はスズをなでながらしっぽを観察した。
スズのしっぽは微妙に揺れていた。
カオリ程しっぽではわかりにくいがこれがスズの喜びの表現なんだろう。
・・・とりあえずしっぽも触っておく。
※地球では猫はしっぽを垂直に立てて喜びを表現しますが、揺れてた方が可愛いよね?
「ところで魔物を倒した時ってMP結晶以外何が手に入るの?」
「魔物や人が落とすものはすべてアイテムでドロップアイテムと言います。ドロップアイテムには必ずMP結晶が含まれますが、他にも魔肉や魔骨などの魔材やごくまれに装備品やマジックアイテムも落とすそうです」
「ひ、人も落とすの?」
「全員ではありません。下級職以上の者は死んだ時ドロップアイテムを落として消えます」
「じゃあ初級職の人は?」
「骸になります。それに飼っている家畜なども死んだ時消えることはありません。そのためドロップアイテムを落とす動物を魔物、落とさないものをそのまま動物と呼んでいます」
情報をまとめるとこういうことか
・初級職の人と動物は根源MPが少ないから放置⇒元の世界と同じ死体が出来上がる
・下級職以上の人と魔物はジョブを得るときに根源MPをいじっているから高くなる⇒そのまま放置はもったいないので回収
・何も残らないのは良心が痛むからか1部の根源MPでドロップアイテムを残すことにした
・RPG的に根源MPの高さと性質に合ったドロップアイテムが残されるのだろう
まあ俺としてはありがたい。
倒した敵が消えるので元の世界とは違うことを認識できるので、殺すことに罪悪感を感じずに済む。
中二の妄想の延長と考えているのかもしれないが、全く抵抗がない。
・・・そういえば「精神コントロール」のポテンシャルスキルがあったからそれのせいかもしれないな。
まあいいこれから魔物を殺すことに躊躇していたらこっちが死ぬかもしれないのだから。
「さて、そろそろ行こうか!」
「あ、はい!」
「お兄ちゃんコレありがとう!」
スズから返してもらったのをゴットボックスに入れ出発しようとした。
-カーカーカー-
辺りを見るともうすぐ日が暮れそうになっている。
「時計」
18:45
俺たちは身体能力を馴染ませるついでに走って行くことになった。
というわけで動物と魔物の差はMP結晶を落とすか落とさないかでした。
ですので魔物はすべて下級職クラス以上なので強いということです。
盗賊も殺せば所持品もMP結晶もその他ドロップアイテムもゲットできるので体内MPを強奪する必要はありません。
犯罪職の中には「強制奴隷調達師」などもい、殺さず強制的に奴隷契約を結ばせる者もいます。
ちなみに「奴隷商人」は犯罪職ではありません。
犯罪者や身売りの奴隷もいますので
『精神コントロール」のポテンシャルスキルは監禁2ヶ月くらいのときに習得したスキルです。常に敵に命を狙われているかもしれない状況で精神を落ち着かせようと習得しました。
それと結界内の木とかも初級がほとんどなので貫通してしまいましたが、今後はもっと強力な木が登場するんでしょうか・・・。