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MP1の転生者  作者: 赤い人
第2章-MP1の駆けだし冒険者-
35/64

外の世界へ

2章-MP1の駆けだし冒険者 其の13-



武器屋を後にしてようやく冒険者ギルドに着いた時もう15時半くらいになっていた。

本当はどんなクエストか見て回りたいんだけど・・・あきらめた。

すいている受付があったので急いで並ぶ、どうやら前と同じお姉さんのようだ。


「すみません。アワジシマまで行くつもりなんですが、初めてのクエストでちょうどいい物はありませんか?」

「はい・・・ってあなたは昨日の? まだいてたんですか! 早く行かないと登録抹消になりますよ。」


く、また大声出して・・・絡まれたらどうするんだ。

というかギルド職員としてプラバシー守ることは義務付けられていないのだろうか。


「まあここらへんなら楽に切り抜けられますから! それより僕の質問に答えて欲しんですが」


前半は声を若干上げて堂々と答えた。

周りを見たが昨日のことが噂になっているのか、様子見のようでちょっかいを出してきそうなのはいなさそうだ。

時間がないからマジで来るなよ・・・。


「申し訳ございません。初めてのクエストで目的地はアワジシマ、パーティは3人ですね?」

「はい」


お姉さんはカオリとスズの方を見て確認をしてきたので2人はうなずいていた。


「上級職1人と中級職2人のパーティでしたら指名クエストの方も受けられますが、初めてですので一番簡単な代理クエストをお勧めします」

「そうですね、パーティの連携もまだ未熟ですのでそれでいいです。いいよね?」

「はい、私たちはまだ魔物との戦闘はしたことないのでそれがいいと思います」

「うん、お兄ちゃんとお姉ちゃんが決めたらそれでいいと思う」


いきなりきついクエストより簡単なものからなれる方がいいと思って2人に確認したが同意見のようだった。


「一番簡単な代理クエストはスライム、ゴブリン、コボルトの討伐になります。こちらは期間は1週間でこの3種ならどの魔物を何匹討伐してもかまいません。ただ冒険者ギルドへのクエスト達成報告が遅れたり、1匹も討伐できない場合クエスト失敗になります。よろしければこちらの契約書に3人のサインをお願いします」

「アワジシマにも冒険者ギルドはあるんですよね?」

「もちろんです。報告はどこの冒険者ギルドでも大丈夫です」

「ありがとうございます」


俺たちは渡された書類に自分の名前を書いた。


ぼーん!


神2?『ショウ・オオサカ、カオリ・ホッカイドウ、スズ・ホッカイドウはクエストを受注しました

     代理クエスト

    タイトル:スライム、ゴブリン、コボルトの討伐

    達成条件:スライムまたはゴブリンまたはコボルトを1匹以上討伐

    期限:1週間

    報酬:なし』


今度は頭でYESはしないでいいみたいだ。

サインで契約は完了して、このアナウンスは確認みたいなものか。


俺は他に町を出る方法やアワジシマまでの注意事項を聞いてギルドを出た。

懸念していた他の冒険者のちょっかいもなく済んだ。



-王都オオサカ正面門-



「よし! 次~」


衛士さんが声高だかに叫んでいた。


正面門では出国するために冒険者や商人が列になって並んでいる。

オオサカでは入出国の際に身分証明書を提示しなくてはいけない。

これには2つの理由がある。


1つは職業によって通行税が変わるからだ。

例えば商人系職を持っている人には商品の関税を払わしたり、冒険者は高めに払わなくてはいけない。

冒険者が高くなるのは税金を払わなくてもいいのでその代わりらしい。


もう一つは犯罪者対策だ。


この世界は他人のステータスを見ることは基本的に出来ない、そのため昔は犯罪者天国だったそうだ。

特に簡単に国外に逃亡できる冒険者の犯罪が多く、対策として時の王が冒険者ギルドで身分証明書を発行できるようにしてもらったらしい――ギルドで発行している身分証明書だからギルドカードの方がしっくりくるな、よし今度からギルドカードと呼ぼう。

そして全国民並びに入国者はギルドカードがないと入れないようにした。

これによって犯罪は減ったらしい。


だがまだ落とし穴があった。

ギルドカードは「剣聖」や「冒険者」などの職業は表示されるが「盗賊」や「殺人狂」などの職業は基本的に表示されないのだ。


これは昨日ちょうど「転生者行動の心得」の熟練度が上がって読めるようになった「リュウの攻略本」の情報なのだが、どの職業でも犯罪の行動制限は甘くなっているらしい。

皆がきっちり行動制限されると犯罪は起こらず人が増えすぎたり、変化がないと面白くないからそうなっているとのことだが・・・優遇されている。

少しでも犯罪行動を行った場合、自動的に本人にも知らずに犯罪系の職業を得る。

そしてもちろんポテンシャルスキルも習得し日消費MPは0でいいそうだ。

さらに犯罪職は隠し職業に相当し、4つ目や5つ目の職業でも大丈夫らしいし、ギルドカードに表示されない。


天職がない子どもがたまに生まれて呪われた子ども扱いされるのは、おそらく天職に犯罪職を得てしまうものがいるためだと思う。

犯罪職はギルドカードに表示されていないため天職がないと忌避され、全うに生きることができなくなるから犯罪に手を染め、さらに犯罪職の才能があるからのちに大犯罪者になるという悪循環になってしまったのだろう。


ただし犯罪職を表示させる方法もある。

それは

①名前を知る

②顔を確認する

③罪状を正確に把握する(自覚する)


これをすることでギルドカードにも明記されるようになる。

がこれをすると本人も職業を認識できるようになり犯罪系のアクティブスキルを使えるようになる。

犯罪系のアクティブスキルは所持品を奪ったり、他人のステータスを見たりなど行動制限で守られている秩序を乱すことができる。


そのため入出国ではまず前提で犯罪職を持っていないか、顔がわからず名前だけ指名手配されている場合もあるので名前のチェック、そして国内で犯罪が起きた際は容疑者候補とするために通行記録を残しているらしい。


「おい、次早くしろ!」


おっと何時の間にか俺たちの番になっていた。

ギルドカードを見せるが、もちろん犯罪は起こしてないので問題ない。

MP1・・・とつぶやいていた気がするが気にしない。

これから俺たちの冒険は始まるのだ!


「よし通っていいぞ!次~」


「よし行こう!カオリ!スズ!」

「はい! よろしくお願いします!」

「うん! 楽しみだね!」


俺たちは門をくぐって初めて外の世界に踏み出した。


なんとなくキリがいいので2章最後とします。

3章からようやく冒険が始まるはずです。


犯罪職の存在自体は初級攻略情報、見つけ方は下級攻略情報、犯罪者自身が自覚することで表示させる方法は中級攻略情報になります。

隠し職業と限定職業については今度設定集を出します。


登場人物表は今夜23時にこの話の後に持ってきます。

今後は章が終わるごとに掲示します。

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