『神速』の男
今年最後になります。
2章-MP1の駆けだし冒険者 其の5-
「『神速』だ」
「Sランク、「『神速』の闘聖」テリー・モスクワ・・・」
ざわざわ
チンピラさん達だけでなく周りも騒ぎ出した。
「いくら『神速』さんでも、他人の喧嘩に手を出すのか!」
「俺らは生意気な新人に礼儀を教えてるんだ! 邪魔すんな!」
「「「そうだ! そうだ!」」」
こいつらこの殺気に気付いてないのか?
対応を間違えたら一瞬で死ぬぞ?
「君らは勘違いをしているよ。僕はそこの子を助けようとしたわけじゃない。相手との実力差もわからず威張ってられるお前らが滑稽だからからかいに来たんだよ。」
「へ、MP1が強いわけねーだろ。邪魔しないなら向こうにいってな」
「MP1なのか。それはまた面白いね。君名前と天職は?」
そう犬耳(もしかしたら狼かも)の十代後半に見えるテリーと呼ばれていた男が聞いてきた。
く、すごい笑顔で殺気がひどい・・・恐怖を顔に出さないように笑顔で答えた。
「ショウ・オオサカ! 天職は「剣聖」だよ~おにーさん!」
「な、「剣聖」だと!」
「MP1のくせに、く・・・」
チンピラさん達と周りのギャラリーが驚いている。
カオリさんの言う通り上級職はかなりのステータスのようだ。
「へーもしかして他にも上級職もってない?」
「どうだと思う? ってこう言えば持っているって言ってるようなものだね。あと「攻撃魔導士」と「冒険者」を持ってるよ」
自分の情報を出すのは自殺行為かもしれないがMP1で絶好のカモとして噂が流れるのは阻止しなくてはならなかった。
MP1の噂が流れるのを止められないなら、ある程度の実力があることを同時に流せば抑止力にはなるだろう。
「はは、それじゃあそのまま戦ってたら武器がなくてもこいつらは黒コゲになってたわけか。見たかったな~ 今からでも見せてくれない?」
「いやだよ。加減を間違えてこのギルドごと消えちゃうかもしれないし」
「それりゃそうか~ んじゃあ、今度フィールドで逢ったら殺っちゃいな~」
「うん、そのつもり。まあフィールドじゃなくても今度は剣を出して殺るから問題ないよ~」
「剣ならここでも瞬殺かー 「剣聖」、「攻撃魔導士」に素手で戦わせて遅れを取ってるなんてやっぱり滑稽だよ、君たちは」
「ち、帰るぞ」
「「「「り、リーダー」」」」
チンピラさん達は雰囲気に耐えられなくなったのか気絶している2人を連れてギルドをそそくさ去って行った。
「んーいっちゃた。もっとあの屈辱に塗れた顔を見たかったんだけどね」
チンピラさんが消えて当初の危険はなくなったがもっと大きな爆弾が残った。
対応を間違えないようにしないと・・・
「あ、あの、助けて頂いてありがとうございました。」
「僕はからかってただけだけど?」
「いえでもおかげで怪我をせず済みました。駆け出しでああいう手合いはなれていなくて・・・」
「じゃあ殺ろうか!」
まずいこれ受けたら100%死ぬ!
何とか回避せねばー
「今は無理です。」
「僕は君に許可をもとm」
「すぐに追いつき、追い抜きます!」
「君、僕のことわかってて言ってるの?」
「そう言えばあなたの名前は聞いていませんでしたね。改めて自己紹介しましょう。ショウ・オオサカいずれあなたを超す男です」
そう言って俺は自分の身分証明書を見せた。
「ほんと面白いね。君を見ているとあの忌々しいヒューマンの女を思い出すよ。テリー・モスクワだ」
テリーさんも身分証明書を見せてくれた。
名前:テリー・モスクワ
種族:獣人
年齢:132歳
職業1:放蕩者、職業2:『神速』の闘聖、職業3:自己強化魔導師
体内最大MP:1800
ギルドランク:冒険者ギルドSランク
132歳かー見た目は十代後半の犬耳、犬しっぽコスプレのひょろそうな兄-ちゃんなのに・・・し、しっぽだと!?
テリーさんの恰好は半袖半ズボンで本当に冒険者かと疑うくらいすごい軽装で、ズボンをギリギリまで下げて(腰パンくらい)しっぽがズボンの上から出ていた。
よく考えたら獣人でしっぽを出している人結構いたような気がする、カオリさんはふくらみのあるロングスカートをはいていて、スズちゃんはパンツルックで両方ともしっぽを外に出していない。
何故おしりのあの微妙なふくらみに気付かなかったのだろう――パーティを組んだらしっぽも触れるかもしれない! 早くこんな奴とおさらばしてしっぽ・・・じゃないパーティを組まないと!
「テリーさんですね。覚えました! 百年以上生きてるんですからあと数年くらい待てますよね? その時まで首を洗って待っててください」
「僕の身分証明書を見てまだそんなこと言うんだ。バカなのか、それとも大物なのか・・・いや両方だと面白いね。というかあの女と逢った時と同じような事言うし、ほんとよく似てるね――メイ・ソウルと何か関係あったりするの?」
「私はあなたの名前も知らなかったのですよ? 知っていると思いますか?」
「ふーん、まあいっか。今日はなかなか面白かったし、もう少し待った方が殺りがいがありそうだもんね。じゃあまたねー」
ヒュン
テリーさんはそう言うと一瞬で見えなくなった。
瞬間移動のスキルかとも思ったけどそういう系の職業はなかったことを思い出した。
ただの脚力で消えたってわけね・・・化物だな。
面白そうなのが好きという雰囲気だったから強気で対応したけどえらい奴に目をつけられてしまったな。
今後テリーさんと殺ることを想像して、後悔した・・・。
ヒロインがでないー来年はちゃんと出ます。
来年もよろしくお願いします。
いちよう3,4つくらいのストックはできたので少なくてもその間は毎日朝11時に更新します。
裏設定
テリーは瞬間移動のスキルは持っていませんが縮地くらいはデホでできます。
このレベルになると物理法則は普通に無視できるので、高速で移動するために地面を蹴っても作用反作用は起こりません。
・・・起こすこともできますが地面に足跡が残るのでやりません。
瞬間移動のスキルは王や王族が自国の結界内を自由に移動できるというものでそれ以外の職業では習得は基本的に不可能です。(貴族も不可)
瞬間移動の定義は術者が連続しない空間に移動するとします。
縮地は自分の前の空間を短かくすることで外見上高速移動したように見える移動術で空間は跳躍していない。(扉があれば抜けれない)