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幸福

ハッピーエンド。


友人Kに頼んで書きあげてもらいました。感謝!

 学校帰りに、あるものを買って帰る。



 その名も、ネコ耳カチューシャ!



 べ、別に俺の趣味ってわけじゃないからな!


 これがあれば、リンちゃんの居場所がすぐにわかるってことだ!


 だから決して俺の趣味なんかじゃない!



 と、会計の時にブツブツ言っていた。


 たぶん周りには聞こえてない。そう思いたい。


 例の物が入った袋を持ちながら、街中を歩いて帰る。


 リンちゃんのため、リンちゃんのため…。


 自分を正当化しながら家へと辿り着いた。




「ただいま、リンちゃん! プレゼントだよ!」


 慌ただしく靴を脱いで、机の上に物が入った袋を置く。


 それが宙に浮くと、中からあれが取りされる。


 『なんですか…コレ』


「ネコ耳カチューシャだよ」





 何とか説得して、カチューシャを付けてもらえた。


 想像とはちょっと違うが…。


 ポルターガイストみたいな感じになってしまった。


 ま、どうでもいいや。


 そんなこんなで、ようやく妄想の世界に浸れる。


 とは言ったものの…暇でしょうがない…。


 妄想? ふざけんな。






「リンちゃんは何がしたい?」


 『私は、一緒に寝てほしいです』


 震える声で、そっと言う。


「そうか…」


 俺は深く聞かないようにして、傍でリンちゃんを感じることにした。


 たぶん理由なんてないんだ。ただ、傍にいてほしい。


 それだけのことなんだろう。


 俺はそう自分に言い聞かせた。


 つらいのは、理由を聞けない俺なんかじゃあない…。


 成仏できないほどの過去を持つ、リンちゃんの方がつらいんだ…。


 俺はそう理解した。




 しばらくして目を覚ますと、なんだか台所の方から音が聞こえてきた…。


 ガシャン・ガシャン…。


 いつもと変わらない様子で、リンちゃんは料理をしていた。


 今日のメニューはオムレツである。


 卵を上手にひっくり返すリンちゃん。


 前の時より、格段に上手になっていくリンちゃん。


 もはや、俺とは天と地の差。いや、太陽と冥王星くらいの差がついてしまった。


 それでも、リンちゃんの作る料理が食べれるのだから、大して気にしてないと言えば気にしてはいない。




 リンちゃん手作りのお弁当を俺は学校へ向かった。


 いや、向かおうと思った。


 しかしそこには、いつもと違う状況が一つあった。


 リンちゃんが付いて来ている。


 なぜ付いて来ているのだろうか?


 しかし、そんなこと直接本人から聞けない。


 さてどうしたものだろうか?


 俺はとぼとぼと歩いてそのことを考えることにした。




 しかし、まともな答えが出る前に、学校についてしまった。


 一限の数学。


 俺は、理系という概念が間まったくない男であり、今日もこの前もそのまた前もさっぱりわからずじまいのままで現在進行中である。



 二限の国語。


 確かに俺には理系の概念などない。


 かっと言って、国語ができるわけでもない…。


 少し文章が読め、普通よりは漢字が読めるってなだけっだった。



 三限の英語。


 もうここまでこれば言うまでもないと思うが、あえて言っておこう。


 俺は日本人である。だから外国語なんていらない。


 それが俺の答えだった。



 四限の体育。


 腹が減っては戦はできぬ。


 そんなこんなで、疲れ果て…。



 やっとの思いで飯にありつく。


 クラスの注目である愛妻弁当。


 いままで買い弁や買い弁や買い弁だった俺の飯が、何か不器用ながらもしっかり作ってある弁当に変われば、「怪しい」っと思わない人間がいるだろうか?


 いいや、いるはずがない。


 だからこそクラスの注目が俺の弁当に集まるわけで…。


 俺に「その弁当は誰が作っているんだ?」っとの質問が殺到する。


 俺はその戦いを気合で乗り切り、リンちゃんを屋上に連れ出した。





「リンちゃんのお弁当のおかげで、クラス中大騒ぎだったね…」


 正直、あれが毎回続くとなると、それはもう大変なことに…。


 けれど…。


「これからも作ってくれよな」


 これは今の俺が発することのできる精一杯の言葉だった。


 その返事に、屋上のどこからか集まってきた砂が動いた。


 『了解です』


 そんな言葉が聞こえるような気がする。


 これからもリンちゃんの傍にいることができる。


 お兄ちゃんにはなれないが、お兄ちゃんの代わりとしてなら…。


 俺はそんなことを思いながら、「教室に帰ろっか?」っと声をかけた。




 階段を下り教室に入りかけた俺の腕を、誰かがグイッと引っ張った。


 それは『幽霊の』リンちゃんが最後に取った行動であり、『さよなら』を意味する行動だった。









 俺は気持ちの整理をつけるのに少しだけ…2週間ほどかかった。


 もう今は『幽霊の』リンちゃんがいない事が当たり前の生活になってしまった。


 まさか、幽霊のリンちゃんが肉体を持てるなんて…。


 悲しくはない。寂しくもない。


 このいわく付き物件に、実在するリンちゃんと2人で生活できるのだから。


 俺は、夏鈴(かりん)との気持ちを抱きながら前に進むことを決意した。

補足。

消えたのは『幽霊の』リンちゃん。

夏鈴というのは、肉体を得たリンちゃんのこと。

学校の屋上で、愛の力によりリンちゃんは肉体をもらった。

夏鈴=リンちゃん


そういうことで解釈して欲しいです。


次はバッドエンドを載せます。

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