休日
はい。また更新。そしてネタが尽きそう。
土曜日。
まぶしい朝日と、きれいな青空が垣間見える。
こういう日は二度寝に限る。何もしないでグダグダ過ごすのが最高。
頭までスッポリと布団をかぶり、おやすみなさい。
「…リンちゃん、布団…返して」
窓とカーテンは開け放たれ、布団は俺からどんどん逃げていく。
細い目で時計を見ると、10時半。
…なんだ。まだ今日は始まったばかりじゃないか…。
頭上にはメモ帳が浮かんでいた。
『朝ですよ。起きてください』
いや、まだ朝じゃない。まだアレだから。あの、朝の前だから。
しぶしぶベッドから降りて、特に何をすることもなく、普段着に着替えた。
今日は天気も良いし、散歩をすることだって出来る。
ずっと家の中でゴロゴロすることだって出来る。
「リンちゃんは、この家から出られるの?」
『無理…だと思います』
地縛霊。その土地に未練があり、そこから離れられない霊のこと。
つまりリンちゃんには、何か未練がある。何かやり残したことがある。…はず。
と言っても、それは俺に手伝えることなのか?
「何か、あるんだね?」
返事はない。
「まぁ、無理に言えなんて言わないよ。リンちゃんの好きにしたらいいさ」
今重要なのは、この暇な一日をどう過ごすかにある。
しかし、外に出れないとなると…やる事がだいぶ限られてくる。
家にある遊び道具と言ったら、トランプくらいしかない。
さて、どうしたものか…。
そう考えていると、携帯の着信音。
また友人から。内容は、「遊びに行こう」
あいつはホントに暇人だな。バカなくらいに。
けれど、俺にはリンちゃんというかわいい少女がいるわけで。
どっちを取るかと言えば…。
『私は大丈夫です。どうぞ、ご友人と遊んできてください』
こんな紙が目の前に現れた。
すぐに友人に返事を返す。内容は、「誰が行くか、クソ暇人」
たぶんリンちゃんは驚いているだろう。
こんな少女を家に置いて、遊びになんか行けれるか。
今日は家でのんびり過ごすと決めた。
が、やはりすることはない訳で…。
テレビを見ながら、何をするわけでもない。
ダラダラと時間は過ぎていき、気付けばもう晩飯。
まったく、時間が過ぎるのは早い。何かをした記憶もなく、今日一日が無くなったような感じ。
晩御飯は昨日と同じ、リンちゃんの手料理。
前回みたいな痛い料理ではなく、味見できない事を考慮すると、かなりウマい。
休みの日なんてこんなもんだろ。
日曜日。
天気は打って変わって大雨。
昨日寝るときから、なんとなく雨音は聞こえていたが、まさかこんなに降るとは。
だが、今日は家から出なければならない。
行かなければ、飢え死にだ。
日曜特売。これが目的。
今まで弁当だった生活の俺には、手料理は嬉しい。
しかし同時に、冷蔵庫の中身が寂しくなっていった。
特売を逃せば、一人暮らしの身にとって大ダメージとなる。
リンちゃんには悪いが、これだけは出陣しなければならない。例え大雨の中でもだ。
きちんと声をかけ、理解してもらった上で出発する。
空から降る大量の液体の槍、地面には水たまりという地雷。
スーパーに着けば、そこはまるで戦場。
しかし! 俺は負けるわけにはいかない。リンちゃんの手料理を食べるために!
戦場を離脱し、買い物終了。
戦果は上々。なかなかに良い品物が格安で手に入った。
これならしばらくは手料理で安定だ。
家に帰ろうとしたとき、傘立てを見た。
…俺はどうやって大雨の中、ほとんど濡れずにここまで来たのだろう。
傘も差さずにここまで来たっていうのか?
「ふっざけんな! 誰だ俺の傘を盗んだ奴は!」
周りの主婦たちが一斉にこちらを見る。
言ってから顔を赤くする。もう遅い。
さてさて、どうやって帰ろうか…。未だ大雨だぞ、おい。
傘を買う?
イエス。それしかないだろ…。
傘を買って、帰ろうとすると、昨日のメールの張本人が現れた。
当然のように絡まれる訳で、物凄いやる気のなさで適当な嘘を言い…
「で、何でこうなるの?」
友人の家へとご招待されてしまった。NOと言えない人間。
家には帰りを待ってるリンちゃんがいるのに…。
そんな事を思いつつも、ついついくだらない話に花が咲く。
帰るころには雨は静まり、小雨程度。
急いで家に帰り、小声でリンちゃんを別の部屋に連れて行き、説明をする。
わかってくれたかくれないのか、曖昧な返事が返ってくる。
『仕方ない…ですよね…』
絶対落ち込んでるよ。どうしようか…。全責任は俺にあるわけで…。
「へー、なかなか良い家じゃん」
まさか、友人が俺の家に上り込んでくる展開になるとは…。
NOと言えない人間…。俺の馬鹿…。
呼んでしまったものは仕方ない。
リンちゃんには俺の寝室に隠れているように言っておいた。
とりあえず、何も起こらない事が第一。
さっさと友人を追い帰したいが、根が生えたように動かない。
そのうち、もっと呼ぼうぜ、というバカを言いだした。
さすがに腹が立った。友人の靴を外に投げ、親切にも傘も同じところに投げてあげた。
「もう大丈夫だよ、リンちゃん」
寝室の扉を開けて呼んでみると、俺の布団が不自然に盛り上がっている。
恐らくそこにいるのだろう。
布団をめくることなく、隣に座って優しく話しかけた。
しばらく布団は動かなかったが、そのうちに盛り上がりは消えた。
ベッドから降りて行ったのだろう。
「リンちゃん? どこ?」
立ち上がって居間に戻ると、紙がこちらへやって来る。
『ずっと…一緒にいたいです』
「少女にこんな事をされたら死んでも良い!」
そんなネタを大募集です。
ロリコンさんよ、集え!
作者のやれる限りがんばります。