第8話 エスニア暗躍(後編)
カイロ基地を掌握したミュートロン軍は、一時的にセカンド・アースに帰還していた。
エスニア、ロルフ、バーツェンの三人は、次なる目標として、ワシントン基地を狙う事にした。ここさえ破壊すれば──
そのように彼らは、必ず殲滅してやろうと必死に意気込んでいた。
「エスニア少佐、このままの勢いでワシントン基地を陥落すれば……」
「そうだな。ただ、勢いだけでは上手くはいかん」
エスニアはポケットデバイスを使って、ワシントン基地周辺の立体地図を表示させた。
「なんとしても、防衛網を陥落させなくてはな……」
「そうですね。ここの戦闘部隊は異様なまでの強さを誇っています。特にプロメテウス隊は注意が必要です。コイツを倒せれば……」
ロルフは手に汗握り、眉をひそめる。
「焦るなロルフ。作戦会議の通りにしっかりやればいけるはずだ」
「ならいいのですが……」
そこへと、バーツェンが腕時計を見つつ近寄って来る。
「ロルフ、ひとまず出撃準備だ」
「分かった、バーツェン。少佐、いよいよですね」
「うむ。ボナパルト隊、出撃!」
こうして、ミュートロン軍による侵攻作戦が開始された。
ワシントン基地の戦闘部隊は至急総動員で防衛に向かう。
「よし、プロメテウス隊出撃!」
“了解!”
ラディエスはひとまず、ブーストタイプで戦闘に挑むことにした。
「パティ、ゼナード、上空から敵機二機接近! 挟撃して倒すぞ!」
“分かったわ、ラディー”
“任せてくれ、隊長さんよ”
パティとゼナードは、上空から蝶のように軽やかに舞いながら、素早くビームライフルを連射し、敵機を牽制。
「今だ! 二人共」
“オーケー!”
そこから隙を突いて接近しつつさらに光線を撃っていく三人。
敵機に攻撃をクリーンヒットさせ、機体はそのまま白い煙を上げながら墜落する。
「やったわ! このまま上手くいってほしいけど……」
“あぁ、俺もそう思う。何とかして奴らを……”
“隊長さん! 来たぞ”
ラディエスは素早くメガ・ビームソードを展開し、敵部隊の方へと素早く接近。
「このォッ!」
「やられてたまるかよ! こんな所で……」
敵機の猛攻を潜り抜け、すぐさま敵機を一機撃墜した。
だが、それくらいで怯むことはなく、バーネイルが遠距離から背面のビーム砲で攻撃。
「危ねえッ! このままじゃ、命がいくつあっても足りないぞ」
すぐさまラディエスはビームライフルに持ち替え、光線を放つ。
バーネイルは撃墜され、空中で爆発四散したが、それでも敵勢が逃げることは無かった。
なぜならミュートロン軍側には最後の切り札があったからだ。
一方でジュノー達は、地上にてミュートロン軍の陸戦部隊と交戦しており、防衛網突破を防ぐべく、攻防一体の戦いを繰り広げていた。
「ジュノー隊長、敵部隊が急接近しています! ここはどうしますか?」
“ならば近距離戦で挑むしかない! ずっと遠距離攻撃だけでこまねいているのは厳しいだろう。突撃するぞ!”
ジュノーは部下達が機銃を構える中、バーストナックルを展開して接近戦に挑む。
不意を突いて敵機を勢いよく殴り、破壊する。
しかし、その最中であった。奴らが来たのは──
「ジュノー隊長! 敵部隊……、といってもさっきまでのとは違う……。動きが明らかに速いです! ウワアァァッ!」
部下の機体は撃墜され、屍となった。
「こいつら……、只者じゃない!」
襲来したのは、ジュノーの部下が察知したのはボナパルト隊であった。
その身動きが速い機体はエスニアの駆るマグナイド・スティンガー。
電光石火の如く素早くビームを放ち、ジュノーの部下の機体を撃墜していく。
“何ッ!? そうか。こうなったらこれで……”
バーストブレイダーの背面のキャノン砲が展開し、ビームを乱れ撃つジュノー。
歯を食いしばり、撃墜されるのを覚悟でボナパルト隊に挑む。
「ふん、流石は新型。威力が違うな」
エスニアはバーストブレイダーを目の前にしても平然としていた。
彼はロルフとバーツェンを通信で呼び出し、集中砲火を浴びせる。
「まだだ……! 俺達がこれくらいでッ!」
ジュノーは機体の一部が損傷しているにも関わらず、ひたすら前進を続けた。
「ジュノー隊長、無茶です!」
“まだ負けるわけにはいかねェんだよォ!”
ひたすら光線の撃ち合いをする中、後方から味方機が近づく。
「ん? この認識番号、アイツか!」
ジュノーはすぐに察知した。その味方機の正体、それは──
「おっ、まさかお前達が来るとはな。助かるぜ」
“ジュノー大尉、無茶は駄目ですよ”
「そうだよな……。じゃあここは頼むぜ」
ラディエスは素早く上空から降下し、ビームライフルを拡散放射モードに切り替えた。
「これでどうだッ!」
「なんとォッ! まだだ……」
攪乱代わりに浴びせた光線を喰らい、エスニア達は思わず怯みそうになる。
「クソォッ! Mk-Ⅲめ……」
さらに加勢する形で、アクティブウインガーが援護射撃をしつつロードブレイダーMk-Ⅲを援護する。
「ここはストライクタイプに切り替えるか。ゼナード、パティ、ここはジュノー大尉の援護を頼んだぞ!」
“了解!”
そして、ラディエスはアクティブウインガーのコンテナ部に入り、アクティブウインガーに自動攻撃を任せつつ、すぐに武装交換を済ませた。
「よし、一気呵成だ!」
「くうッ! 引き下がってたまるか!」
すぐさま集中砲撃をボナパルト隊に浴びせるが、ロルフとバーツェンが上手く護衛し、エスニアは空中へ飛ぶ。そして素早く肩のキャノン砲と脚部のミサイルポッドで攻撃。
「こいつ、今までのマグナイドより強力だ! 迂闊に動けばやられる……」
そこでラディエスは、インパクトキャノンから光線を発射。
エスニアを庇ったロルフは、機体右腕部が破壊され、撤収を余儀なくされる。
「ロルフ、無理せず退避しろ」
“分かりました、少佐”
そして、バーツェンが前へと出て他の部下数名と共に集中砲撃を試みる。
「全員で掃射だ!」
「やらせるかよッ!」
ラディエスは集中砲撃をかわし、すぐにアームキャノンから光線を発射する。
「くッ! ちょこまかと素早い奴め!」
「あのマグナイド、今までの奴とタイプが違うな。よし、このまま掃射するぞ。パティ、ゼナード、行けるか?」
“もちろん! 任せてくれ”
“私もいけるわ”
そして、ラディエス達は集中攻撃をエスニアとバーツェンに攻撃を浴びせ、大打撃を与える。
「くッ、機体のオーバーヒートが……」
“ここは撤収するぞ。仕方あるまい!”
「分かりました、エスニア隊長」
こうして、激しい戦いは終わり、ラディエス達は一息つく。
“皆さん、お疲れさまでした。このままドックに帰還お願いします”
「分かった、アリカ。今戻る」
すると、ジュノーから通信が入る。
“ラディエス、今回は命拾いしたぜ。助かった……”
「いえ、礼には及びませんよ」
“さっ、部屋に戻ったらウイスキーでも飲もう”
「はい……」
彼らはまた何とか勝利を収めた。だが、まだ戦いは続く。
ひたすら果てしなく──




