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第7話 エスニア暗躍(前編)

 ある日のこと、ラディエス達はマルクたちに呼び出されて、整備ドックの方へと向かった。

そこに、あるものが鎮座していたのだ。


「皆さん、お忙しい中どうもお疲れ様です……」

「やぁ、マルク。とりあえず要件ってのは?」


 ラディエスは奥の方にある小型の輸送機らしきものに目が行く。


「あぁ、察しているとは思いますが、以前言っていた、自動武装交換システムが完成したんですよ! 見てくださいよ」

「あれがか……。すげぇな。あの話からそこまで経っていないのに」


 ゼナードもまた、男心をくすぐられてか童心に帰って機体をジロジロと見る。


「ちょっと予定よりは大型になりましたが、これが戦闘時に稼働していれば、Mk-Ⅲの武装交換が即座に行えるはずです。戦闘時にはこの後部のコンテナに武装を積み込みます」

「なるほど。で、詳細についても教えてくれるか?」

「はい。こちらの『アクティブウインガー』は地上・空中であれば基本的に人工知能によるコントロールが可能で、Mk-Ⅲの方から通信をすれば、早急に武装交換が可能です」

「なるほどね……。凄いマシンじゃない。もし交換中に敵に狙われたらどうするの?」


 パティはその点について少々気がかりであった。


「これは状況に応じて、防衛用システムが起動し、攻撃に応じてくれます。ただ、武装はビームキャノンが左右に二つ付いてるだけなので、戦闘特化とまではいきませんが……」

「そうか。でも、ここまで作るのに時間を要さなかったのは凄いな。やるじゃないか」


 ラディエスは彼らの有能ぶりのあまりに微笑む。

 彼はアクティブウインガーの至れり尽くせりな性能に、聞いただけとはいえ満足しているようであった。


「ここまで短期間で、このシステムを開発してくれてありがとう。本当に助かるよ」

「いえ、自分はシステムのサブプログラムを担当しただけですよ」

「私としては、隊長の一言からここまでのプロジェクトにしたのは、凄いと思います」


 アリカも笑顔でマルクに会釈をかわした。


「いえいえ、礼には及びませんよ」


 ラディエス達はその後、マルクが別の仕事の時間が近いという事もあり、整備ドックを後にした。



 一方でミュートロン軍は、新型MUとして鳴り物入りで配備されたマグナイドの戦果が想定よりも良くないため、軍の総司令官であるデューク・ボーウィンは地上侵攻班の手柄の少なさに不満を抱いていた。


「しかしこれは一体どういうことだ……。ワシントン基地への襲撃作戦ではことごとく手柄を取れずにいる……。ベルリンのみならず、南半球のエリアへの侵攻作戦は考えてはいるが、予算面において、余裕はないと。これでは土星資源採掘船団も地球軍に奪還されかねない」

「ボーウィン司令官、このままでは……」


 デュークの忠臣、アデス・ラッツもまた既に焦りを感じていた。

 このワシントン支部の異常なまでの堅牢な守りに、違和感がある──

 そう感じていた。


「そうだ。地球軍はここに来て、必死にあがこうとしている。理由は恐らくだが……、マグナイドを最初に破った新型の機体が強いということだ。それも最近になって、その新型機がもう一機いるという情報も入った」

「二機の……、強力なMUですか。とはいえど、これからはこの機体をいかにして撃墜するかが、キーになりそうですね」


 デュークとアデスは、今後も地球軍の脅威を打ち破るべく、最新鋭の技術をつぎ込んで新型兵器の開発に注力することにした。



 そして、それから一週間後。

 ミュートロン軍のエスニアは、以前からマグナイドの性能に満足がいっておらず、そこで整備班に相談し、機体の性能や武装を大幅に改良したマグナイド・スティンガーを作り上げた。彼はこの十二分なスペックを誇る機体で地球への攻撃を試みる。こうして、彼らの地球侵攻作戦は開始された。目標はアフリカ大陸・カイロ基地。


「さてと……、このまま突撃するとしよう。空中から急降下せよ!」

“了解!”


 エスニアはビームキャノンを素早く撃ち、基地の施設を矢継ぎ早に破壊した。


「なんて威力だ! このままではもう助からんぞ!」

“緊急事態発生! 至急増援をッ! ウワアァァッ!”


 そこからエスニアはバーツェンと上空で合流し、空中から雷の如く光線を放つ。


「そこだッ! 落ちろォッ!」

「何ィッ!? そんなッ!」


 機体はボナパルト隊の手によって、次々に撃墜されていき、敵部隊の猛威に現地の戦闘部隊はかなわず、殲滅させられた。

基地は壊滅的なダメージを負い、数少ない生存者も捕虜となり、この事態は以前のベルリン基地襲撃時と同じく、大々的に報道された。

 これを受け、惑星政府連合は各支部の防衛をより確固たるものにすべく、惑星間での資源流通網を強化。



 一方、ラディエス達もまた戦闘訓練を積み、自分たちのスキルを鍛え上げた。


「ラディエス隊長、戦闘演習お疲れ様です」

「おっ、アリカ。そっちは戦術演習だったな。お疲れ」


 ラディエスはボトルに入った水を飲み、汗を拭う。


「ラディエスもやっと隊長にふさわしくなったんじゃないか?」

「ゼナード……、エラそうな面構えしやがって。隊長の仕事はもっと大変なんだぜ。ジミー隊長がたまに音を上げてたのが、やっと分かって来たよ」

「ふふっ、ラディーも成長したよね」

「おい、パティは母親気取りかよ……」


 やれやれと呆れるラディエス。だが、今はそれどころでないと分かっていた。

 ここからが正念場であることに──


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