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第3話 ボナパルト隊襲撃!

 ラディエスが隊長に任命された次の日のこと、彼の元に多数の資料が入ったデータ端末が支給された。

 これは、隊のリーダーになった際に必ず配布される指導マニュアルやデータ管理についての資料などが入っている。


「これは見た限りだと、結構な量だな。後回しにしたら、絶対痛い目を見そうだな」


 彼は資料に目を通し、必死にその内容を覚えようとする。


「フフッ、ラディーったら頑張ってるね」

「ありがとよ、パティ。後でアリカに戦闘システムのデータベース管理を頼むって伝えといてくれよ」


 ラディエスはメモをパティに手渡す。


「分かったわ。任せて」


 パティは、アリカのいるオペレータールームへ向かった。


「ラディエス隊長!」

「よっ、ゼナード。お前もお前で忙しいんだってな」

「あぁ、戦略演習の方に行かなきゃならないんだ。といっても学び直しが大半だろうが、行かないとダメみたいだし」


 ゼナードは、少々気だるい感じで表情で話す。


「必須なら仕方ねぇよ。早い所行った方が良いぜ」

「分かってるよ」


 そして、一人ミーティングルームに残ったラディエス。彼はその後も、淡々とマニュアルを読み続けるのだった。



 その一方で、セカンド・アースを拠点とするミュートロン軍は地球侵攻作戦の失敗を受け、今後に向けて新型のMUの開発プランを実行することとなった。

 また、前回の作戦ではジミーが相討ちしたことで、地球侵攻班の間では緊迫した空気が張り詰める。

 そして、今回の作戦でついに地球侵攻班の切り札とも言うべきヒットの戦闘部隊であるボナパルト隊が動き出すこととなった。隊長のエスニア・ハウゼンは傘下の部隊を、自分達よりもはるかに軟弱である人類に倒されたことに苛立ち、赤い髪を軽くかき上げる。


「何て奴らだ……。ましてや、自らの命を無駄にしてまで我々に抗うとはな……。旧人類は本当に愚かだ」


 エスニアは、人間を見下した態度でほくそ笑む。

 彼はミュートロン部隊の中でも屈指のエースパイロットであり、敗北の味を知らないと言ってもいいくらいの存在であった。


「エスニア少佐、今回のワシントン侵攻作戦ではどうするおつもりで?」

「まぁ、後で作戦会議をするから、その時に分かるさ」

「そうですか。楽しみにしてますよ」


 部下であるロルフ・キートンは、小さい子供のような明るい笑顔でその場を去ったが、そのエスニアが考えている策とは何か?

 彼はいかにして地球政府軍を追い詰めるのか──



 そして二日後のこと。ついにミュートロン軍の作戦は遂行され、地球政府軍の宙域防衛部隊は前回の戦いで弱体化していたため、容易く突破された。


“ミュートロン軍接近! ワシントン基地の戦闘部隊は全員出撃せよ!”

「このまま行くしかない! 皆行くぞ!」

「了解!」


 またしても地上を進攻しようと試みる敵軍を倒すべく、ラディエス達は立ち上がる。

 彼らは出撃準備を済ませ、すぐさま攻撃態勢に入った。


「来たなァッ! このまま仕留めるぞ!」


 基地上空を舞い上がり、ラディエス達は武器を即座に構えた。

 また、地上には陸戦型ストライルを駆る小隊がいるため、今回の作戦では、味方を庇いつつ戦うことになる。


“ラディー、来たわよ!”

“隊長さんよ、どうする?”


 パティとゼナードは、機体のレーダーで敵機を察知。すぐさま攻撃に移行。


「よし来た! さっさと片付けてやる」


 ラディエスは拡散キャノン砲を使って、わらわらと群がる敵を一掃し、空中を駆ける。


“ラディエス隊長! また敵勢がやって来ました! 今度は大隊クラスです……”

「何ィッ!? 分かった。行くぞ、パティ、ゼナード!」

“了解!”


 三人は空中を鳥のように駆け抜けて、ボナパルト隊と対峙する。


「よし、射程範囲OK! 発射!」

「しまった! 迂闊だったか!」


 ゼナードはビームライフルを素早く撃ち、敵機を一機撃墜する。


「ゼナード、ナイスだ!」

“ありがとよ、隊長さん”


 そして、ラディエスは拡散キャノン砲を構えて敵勢を撃墜。

 だが、エスニアの策略が牙を剥くのはここからだった──


「ロルフ、今だ」

“了解!”


 ロルフ達はすぐさま十数機でラディエス達の外側全方向を囲む。

 この状況にラディエスは思わず固唾を飲む。だが、猶予はない。


“どうするよ、隊長!”

「三機なら包囲陣を突破できる! 隙を突いて撃つぞ」

“分かった、任せな”


 ラディエス達はすぐさま防御しつつ一斉掃射を図るも、全ては撃ち落とせず、軽く被弾する。


“ラディー、策は……?”

「こういう時は敵を散らすんだよ。こんな風にな!」


 勢いに身を任せ、ラディエスは素早く動き回りつつ、ビームライフルで敵MU(メタルユニット)『シグネス』を乱れ撃つ。


“おいおい、なんちゅう戦い方だよ。でもそういうとこが、隊長さんの持ち味だからな!”


 そして、ゼナードは彼らの意表を突く形で、腕部のビームソードをフル出力で展開して動き回り斬っていく。


“ラディー、凄いけどこれって……”

「パティ、お前もやるんだ! そうでもしないと生き残れないぞ」

“分かったわ。よぉし!”


 パティはすぐさまビームライフルを右手のみで連射し、攻撃を避けつつ左腕からはビームソードを展開して次々に撃墜していく。


「まずい! こんなでたらめな戦い方で……。エスニア少佐!」

“分かった! 任せろ”


 エスニアは指揮官用MU『バーネイル』を物凄いスピードで駆って、ラディエス達の元に襲い掛かる。


“隊長機接近! ラディエス隊長! 早くッ!”


 アリカは必死になってラディエス達に呼びかける。


「分かった。たった今、僚機が合流したから今相手にしてる奴らは味方に任せよう」

“そう。ここは三人で行きましょ!”


 ラディエス達はすぐさまエスニアが率いる筆頭部隊と対峙。

 

 しかし、エスニアにはさらなる策があった。


「よし……。バーツェン、ジャミング弾発射!」

“了解!”


 エスニアの部下の一人であるバーツェン・オーグスは、バズーカ砲からジャミング弾を放ち、ラディエス達のレーダーシステムを麻痺させる。

 これにより従来の戦法は通用しなくなる。


“しまった! これじゃ手も足も出ない……。どうするんだ隊長さん!”

「こうなったらひたすら回避を続けるだけだ。消耗戦に持ち込めば奴らも疲弊するはずだ」

“了解!”


 こうしてラディエス達は、敵の攻撃をひたすら回避し続け、ただただ敵の物資が消耗していくまで粘る。


「なんとすばしっこい奴らだ。このまま戦闘をしても無駄に時間を潰すだけだ。地上の方へと突撃するぞ!」

“了解! エスニア少佐”


 ボナパルト隊はロルフ達を合流させ、一気に地上の基地へと肉薄することになる。


「させるかァッ!」

「ふん、何と無駄なあがきをッ!」


 ここでラディエス達は、近距離用モニターを使って上手く接近戦に持ち込むことにした。

 とはいえ、ボナパルト隊はそれでも怯むことは無い。


「クソォ! ここを陥落させるわけにはいかねぇんだよ! 喰らえッ!」


 ラディエスは拳を突き出したのと同時にビームソードを展開し、エスニアの機体頭部を電光石火の如く破壊した。


「何だとッ! この俺の機体が……。ここは一時撤収だ! このままではお前たちも俺と同じ目に遭う!」

“了解! では艦に戻りましょう”


 こうして、ボナパルト隊との戦闘は意外にも味気ない終わり方をした。

 ワシントン基地を守れたから良かったものの、ラディエスの咄嗟の判断が無ければ今頃はどうなっていたか──



 戦いを終え、ラディエス達はひとまず休んでいたが、ワシントン基地の整備班から通達が来る。


“ラディエス・ライオネル中尉、いつもお世話になっております。整備班のマルクです”

「おお、マルク。俺に何の用だ?」

“この前メガテック社から新型のMUが届いたので、そちらを是非見ていただきたくて……”

「そうか。ちょっと見てみるか。パティ、ゼナード、アリカ。俺は基地の整備ドックの方へ行って来る。戦いで疲れただろうから、しっかり休んどけよ」

「了解」


 そして、ラディエスは整備ドックを訪れると、そこには蒼く煌めく新型機が立っていた。


「あれは……、かつて前の大戦で活躍したロードブレイダーか?」

「えぇ、ご名答。こちらの機体はロードブレイダーMk-Ⅲという名前でして。ストライルだけでは流石に限界かと思いまして、この新型機を運用することにしたんです」

「なるほどな。にしても、武装がかなりあるようだが……」


 ロードブレイダーMk-Ⅲのドック背面にマウントされた装備はかなりの数であった。


「いい所に目を付けましたね。当機の最大の特徴は、その拡張性にあるんです」


 マルクは自分の眼鏡を直しつつ、タブレットを操作する。


「この機体は宙域圏戦闘用のブーストタイプ、砲撃戦用のストライクタイプ、支援戦闘用のディフェンスタイプに分かれていまして。それと言い忘れていましたが、こちらの機体は是非ともラディエス中尉に乗っていただきたいと思いまして……」

「俺がか……。分かった。必ず使いこなして見せるぜ」


 ラディエスはマルクに対しサムズアップをして、笑顔を見せた。

 果たして、このロードブレイダーMk-Ⅲの性能は如何なるものなのか──


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