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蓮の花ニ輪 ~拝啓、父へ。新装備ともう一つの出会いだぞ~

大変お待たせしました。

色々立て込んでて投稿が遅くなりました。


それでは二話目です。

 翌朝、イリアが同室だった事に驚いたが、昨日二人部屋しか空いておらずそこの部屋に泊まったのを思いだし、叫ぶことはなかったが飛び上がりはしたレンカ。


 イリアはそんなレンカを不思議そうに眺めていたが、落ち着きを取り戻したレンカと二人して身支度を済ませると朝風呂をしようという話になり、入浴施設に向かう為、二人でギルドの一階部分に向かった。


「昨晩はお楽しみでしたね?」


 と、朝からギルドにいたナターシャからとても良い笑顔でそう言われた。


 その発言に対してレンカはゲンナリしたがイリアは不思議そうにしていた。

 二人は待ち合わせ場所を酒場にして朝風呂を行った。


 ちなみに酒場は夕方から明け方まで営業しており、朝から夕方までは定食屋となる。


「レンカ様」


 入浴中に話かけてきたのは、ギルドで働く猫精族(ケットシー)のメリルー。

 白い毛色の女性のケットシーだ。


「どうしました?」


 ちなみにケットシー達の姿は猫が二足歩行をしている愛らしい見た目をしている。


 しかしその見た目とは裏腹に力が強く、自身の倍近くある物を運ぶことが出来る。

 その為、街の人々と協力して街の発展に携わったり、旅に同行したりしている。


 そんなケットシーの彼女はこの街ではベテランで、並の僧旅(そうりょ)では相手にならない程であり、街で育った僧旅は逆らえない。


 レンカを紹介したイルガも同様でレンカのふるさとから同行した際に教えており、レンカも助言を守り、丁寧に接することを心掛けていた。


「目覚めを助けるドリンクがございますニャ」

「もらってもいいですか」

「はいですニャ」


 ちなみにどのケットシーも語尾は「ニャ」である。


 ドリンクはコーヒーのような味で程よい苦味とミルクの甘味が心地よく眠気を取り去っていく。


「ふぅ、おいしかったです」


 風呂上がりの一気飲みをしてコップを返し礼を述べると着替えて行く。


「レンカ様に少しお話したいことがございますニャ」

「なんですか?」


 着替えが終わったのを見計り、メリルーが話題を投げる。


「レンカ様の防具は早めに新調した方がよろしいかと思うのですニャ」

「何故です?」


 レンカにとっては当然の疑問である。

 ここ数年、体格の変化に合わせて修正を行っており、使いなれたと言っても過言ではない。


「わたし達ギルドに務めるケットシー達は色んな方の装備を見るのですニャ。その経験からレンカ様の防具が壊れそうな気がしてならないのですニャ」


 確かに村には防具を作ったり直したりする職人はおらず、父から習った応急措置の方法で防具を(あつら)えており大丈夫だと過信していたのだろう。

 メリルに言われてハッとしたレンカは助言に従うことにした。


 入浴を終え、併設された食堂に着くとイリアはまだ居なかった。

 先に席に座り待っていると数分後イリアがやって来た。


「……待った?」

「いや、全く」


 お決まりといえる会話をした後、食堂の店員を呼び軽食を頼んだ。

 ちなみにレンカはホットドッグ、イリアはサラダである。


 メリルーからの助言を受けた話と防具を新調したいことを告げるとイリアも快諾したので、早速ギルド内の武具店にいくことになった。


 武具店はギルドの裏手に併設されておりその隣には訓練所があった。


 早速扉を開くと店一面に剣や槍などの武器が陳列された場所と鎧一色が複数陳列された場所と別れており、その真ん中に入り口から一直線に延びた通路が番台まで続いていた。


「いらっしゃい」


 番台にいた黒い作業着を身に纏い頭にバンダナをした青年が声をかけて来た。


 二人は番台に向かいながら返答する。


「防具を新調したいんです」

「……私も鎖帷子(くさりかたびら)が欲しい」

「わかったよ。そっちのお嬢さんは防具が置いてあるコーナーの入り口付近を見てくれると助かる。そこに鎖帷子が置いてあるから気に入るのを見つけて欲しい。持ってきてくれれば調整するから」

「……わかった」

「君はどんな防具にしたいか教えてくれるかな?」

「わかりました」


 そう会話をし、イリアは入り口へ向かい、レンカは話を詰めていく。


「なるほど。動きを阻害しないようにしたい。そして防御力も欲しい……うーんどうしようか」

「それに盾は使えないんですよ。戦闘スタイル的に片手が塞がると戦い難くて」


 こんなやり取りが数十分続いた後、番台の青年がレンカにこう進言した。


「なら仕込み丸盾を使いましょう」

「仕込み丸盾……ですか」


 仕込み丸盾。

 籠手に丸盾に変形する仕組みを組み込むことで、必要な場面以外は盾を直しておける為、両手が塞がらないのが利点である。


「手首のスナップで盾の展開と収納が行える仕組みになっているんです。その仕組み上普通の盾ほど防御面に特化しているわけではないんですけどね」

「……でも俺の戦法的に盾を握って立ち回るわけでもないし丸盾の軽さなら戦闘時の移動の阻害ならない。しかし、防御面の補填にもなる」

「そうです。後は胸に鉄鎧をつけて頂けば現在の装備のスタイルを崩さず防御面の向上が見込めます」


 その意見を汲み取りレンカは胸部分用の鉄性軽鎧――アイアンライトアーマーと鎖帷子を購入した。

 昨日こなした依頼のお陰で1万G、貯金をしていたので46万G。

 予算として5万Gを持ってきていたので、鎧に3万、鎖帷子に1万だったので手元に1万残っている。

 ちなみに籠手は前回の使用者から「使い手が見つかれば無償で渡していい」と言われているので料金は支払っていない。


 イリアもサイズの合う鎖帷子を装備しており、その上に白法衣を来ている。


「また装備のことで相談があれば来てください。後ですね、各地にあるギルドでも同じく整備士や鍛冶士がいる武具店がこざいますので旅をする際はご利用ください」


 二人は礼を述べて武具店を出るのであった。


◆◆◆◆◆◆


 装備の新調を済ませ、装備をならす為に昨日受けた狛獸討伐を受けることにした。


 昨日と同じく数分かけて森へとたどり着く二人。

 レンカは右手で剣を持ち、柄頭に煩廻(はんかい)能力で作成した鎖を取り付けた。

 イリアは錫杖を握りしめいつでも能力を発動できるようにしている。


「俺が前衛でイリアが後衛。俺は初撃で先頭の狛獸に剣を突き刺して引っ張って分断するからイリアは障壁で群れの残りが来ないように分断してくれ。一匹倒したら障壁を解除してまた分断。それを繰り返していこう」

「……わかった。……でも障壁を解除したら張り直すのに二秒かかるから注意して」

「了解」


 打ち合わせを行い、狛獸の探索を行う。


 探索をはじめてからすぐさま狛獸が5匹現れた。

打ち合わせ通りレンカは数歩前に出ると、剣を投げ先頭の狛獸に突き刺すと柄頭に繋いだ鎖を握り、群れから引き離すように引っ張る。

 踏ん張りが効かず一匹が離れると同時にイリアが障壁を張り分断する。

 レンカは引き離した個体に急速に接近すると剣を引き抜き、それと同時に蹴りを入れる。


 イリアは障壁を張るのに集中しながらも周囲の警戒を怠らない。

 森人族(エルフ)特有の長い耳は周囲の音を聞き漏らさない。


 レンカは一匹目を剣の連撃で危なげなく討伐するとすぐさま分断した群れに視線を向ける。


 狛獸達は障壁を破ろうと必死にカギ爪で引っ掻くも障壁はビクともしない。


 一匹目を倒したのを見届けたイリアは障壁を解除。

 すぐさま次の障壁の展開を準備する。


 障壁が解除され、狛獸は破るべく動いていたので、急に解除された事に驚き動揺していた為、動きが鈍った。

 レンカはすかさず、一匹目と同様に引き離しイリアが分断。

 二匹目も仕留めたレンカはイリアに話かけた。


「イリア!残りのやつらの内、二匹を俺の能力で動きを封じる!やつらもバカじゃない!封じてから障壁の解除、再展開の準備をしてくれ!残りの一匹は最初と同じ要領で分断する!」

「……わかった!」


 やり取りの後、レンカが能力を発動する。


銅鎖(ブロンズチェ)駆動(インドライブ)!!」


 レンカの煩廻能力、その名称は虚空封鎖(アカシックムドラー)

 空間や物質に干渉し、鎖を生み出す能力。

 肉体からも鎖を排出することも可能な能力でそれを用いて剣の柄頭に取り付けていた。


 その能力の中でも最も拘束に富んだ技である銅鎖駆動。

 大地に干渉し2~3本、多くて十数本の鎖を排出し相手に巻き付ける技。


「……なんだか弱ってる?」

「イリア!」


 レンカの能力発動後、明らかに拘束以外の要因で動きが鈍る狛獸に戸惑うも、レンカの呼び掛けにハッとしたイリアは能力を解除し、次の障壁の展開に入る。

 障壁が解除され、拘束されてない狛獸がイリア目掛けて走り出すもののすかさずレンカが鎖を取り付けた剣を巧みに操り、狛獸を牽制。


「……展開!」


 障壁が展開されたのを確認し、拘束を解除。

邪魔されたのを怒ってかレンカに迫る狛獸の攻撃を交わしながら倒すと、その様子を見ていてた2匹は勝ち目がないと判断したのか逃げて行った。


「……追う?」

「いや、深追いはしないでおこう。剥ぎ取りを済ませて少し休憩するか」

「……うん」


 イリアを休ませて剥ぎ取り作業を行う。


 イリアはリュックにいれた弁当を広げており、レンカの作業が終わるのを待っていた。


「準備しててくれたのか、ありがとう」

「……剥ぎ取りには貢献出来ないし、私にできることをしただけ」

「それでも礼を言わせてくれ、ありがとう」


 そういいながら弁当のサンドイッチを食べるレンカ。

 それに(なら)うようにイリアも昼食を済ませるのであった。


◆◆◆◆◆◆


 その後、特に問題が起きることなく依頼を済ませ、引き上げようとしていた矢先。


「……レンカ、声がする」

「どんな声だ?」

「……悲鳴、複数」

「いこう!」


 イリアが悲鳴を聞き取った為、そこに向かう二人。

 道中焦った顔をした男三人組とすれ違うが気にも止めず悲鳴の元へと走ると一人の少女が槍を握りながら苦悶の表情を浮かべ倒れていた。


「加勢する!イリアはあの子の周囲に障壁を!治療もしてあげてくれ!時間を稼ぐ!」

「……展開!」


 障壁を倒れた少女と自身に展開すると治療薬を飲ませるイリア。

 レンカは少女が戦闘していたと思われる廻獸と対峙する。


 豪腕と言える程に発達した前腕にはメイスのように肥大化した甲殻を持っており戦闘に特化した形状。

 赤黒い体表にも所々に甲殻を持っており、体表と同じ色の体毛が生えている。

 全長三メートルの巨体を揺らし我が物顔で跋扈するその存在の名をポツリとレンカが溢す。


「……新人殺し」


 豪牙熊(デムベア)――新人殺しと名高い熊型の廻獸である。

感想や誤字脱字の報告待ってます!ブックマーク登録もしていただけると嬉しいです!


最近忙しくなり、執筆にあててた時間が少なくなって来たこともあり頻度が落ちて来ましたが頑張って投稿は続けます。


話は変わりますがみなさんは犬派ですか?猫派ですか?

ちなみに作者はどちらかと言えば猫派ですが犬も好きです!


今後、犬や猫などの動物モチーフ(その動物を二足歩行にしたもの)のキャラクターが出てきますのでお楽しみにしてくださると幸いです。


では次回をお楽しみ

以上、weed0eでした

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