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私は悪役令嬢マリーナ! 魔法とモフモフ達に囲まれて幸せなので、王子様は嫌いのままいてください。(第一章完結)  作者: にのまえ


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万能の実の威力

 カルロ家族の家は庭の奥にある。その木製のコンコンコンと家の扉を叩くと、枯れたカルロの中から声が聞こえた。彼が病気になったすぐ、マサさんとリヤさんは屋敷の間部屋に移動してもらっている。


「カルロ、入ってもいい?」

「え? マリーナお嬢様? だ、だめです! たぶん、移ります」


《そうなのか? お前に薬を持ってきた》


「え? 薬? この声が誰かわかりませんが、扉を少し開けますので、そこから受け取ります」


 どうやら憑依した事によってカルロにも、トラ丸の言葉が聞こえたみたいで。目の前の扉が少しだけ開き、細くなった彼の手が出てくる。私はその手に万能の実がなった皿を渡した。


「カルロ、まずはひとつだけ食べてみて。ダメだったら、もうひとつ食べてみて」


「これは紫色をした……ジャガイモですか? はじめてみますね。いただきます」


 扉の向こうで食べてくれるのがわかったが。ひとつ食べたすぐ――「おお! な、なんですかこのみなぎるパワーは?」と、彼の雄叫びが聞こえた。


「体が熱い、熱い――!」


「カルロ!」

《大丈夫か!》


 あわてて扉を開けた私とトラ丸の目の前で、カルロの服が"パン!"弾け飛び……ムキムキ、細マッチョの裸体が目に入る。


「ひゃぁ――!!」

《おお! なかなかいい体だな。それで体はどうだ?》


「なんだか分かりませんが、調子はバツグンです! マリーナお嬢様と誰だかわからない人――ありがとう!」


 いつもの落ち着いた優しいカルロじゃない……アツい、アツいよう。もしかしてゲドウさんは万能の実を、一度にたくさん食べては"だめ"だと言いたかったのかな?


《病気が吹っ飛び、元気になってよかったな》

「う、うん」


 万能の実のおかげで、パワーが溢れて仕方がないのか。カルロは満面の笑みで筋トレをはじめた。いつもの彼じゃない――明日も同じだったら、ゲドウさんに聞きに王都へ行こうーーそう、それしかない。


「あ、あのカルロ……今日1日は部屋で過ごしてね。何か欲しいものがあったら持ってくるから」


「はい、ありがとうございます!」


 私はそれだけ言って、ソッと扉を閉めた。


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