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 力尽きて、地面に寝転んだトラ丸と私。

 そんな私たちを見下ろしたのはゲドウさん――彼はニッコリ笑い。


「しばらく……んー?、2日に一回。そうだね1ヶ月くらい、ここへ通えば万能の実がみのるよ」


「数時間で、ひとつだが芽が生えるとはさすがだな。ワレだったら畑ごと燃やしてしまう! ガハハ」


 何を考えているのか、わかりにくい表情で1ヶ月通えと言うゲドウさんと。力を使ったら燃やしてしまうと、怖いことを言って豪快に笑うラゴーネさん。


 魔力の減り方、トラ丸を見ていて思う。

 コレは、一筋縄ではいかない。


(魔力石と、ポテチが大量にいるよね)


「……わかった。ゲドウさん、お父様とお母様にこの事を話してもいい?」


《黙っての行動は後々、面倒ごとを起こすからな。マリは一度やらかしているし》


 そう記憶を思い出したときと、魔力の使いすぎで、何度か倒れて心配をかけているし。ラゴーネさんの時もある……2日に一回となれば少しの時間だけど、頻繁に出かける事になるだろう。


「話してもいいよ。両親の承諾も取ってきて欲しいかな。特にカカナには嫌われているからね」


「ああ。ーーわかりました!」




 ラゴーネさんに屋敷へ送ってもらい。夕飯のときにお父様とお母様にエフルの森、万能の実の話をした。カカナお母様はエフルの森を見回りしているらしく、呪いのことも知っていた。


「急に書庫に行きたいと言い出したのは……倒れたときに"神の声"を聞いたのだな」


「神の声ね……」


 やはり前世の記憶とは言えず――神様が夢に現れて"万能の実"の事を教えてくれてと話した。ある意味あっていると思う。ゲームは大幅変わってしまっているが、この乙女ゲームの物語の基盤を作った人達だし。


「いまマリーナが言った"万能の実"は聞いたことがないけど。奇跡の植物は古書、大昔の資料に多くの病気を癒したと記されていたわ。それが採れる土地ねぇ……ゲドウはマリーナとトラ丸に何をさせる気なのかしら? あのエフルの森は昔から呪われた土地。その呪いが年々濃くなっているから、わたしでもそう簡単に立ち入ることはできないわ」


 エフルの森は呪われた土地で、ゲドウさんと関わりがある土地。


「ゲドウさんが森の呪いを弱くしたと言ったの。そして、その土地の畑で採れる植物が"万能の実"だとも言ったから。その実があったら、ヴォルフ様のお父様が助かるかもしれない」


 話せば話すほど眉を深くするお母様と、腕を組み黙り込むお父様。ジロウとトラ丸は大人しく話を聞いていた。


 フウッと、息を大きく吐いたお父様が口を開く。


「万能の実、奇跡の植物か――その実がもしあるのなら、カルロにも分けてもらえるか?」


 え?


「カルロ? お父様、カルロがどうしたの?」

《マリ、そういや。風邪をひいて寝ていると言っていなかったか?》


「あ! 風邪をひいて寝てるんだった」


「そう、1週間前から辺境地近くの村に買い出しに行ってから。体がだるかったり、頭痛、吐き気がするみたい。いま王城の薬師に作ってもらった薬で、なんとかその症状は落ち着いているらしいのだけど……」


 その症状がいつ出るのかわからないと、お母様は言った。


「トラ丸! こうしてはいられないわ! はやく"万能の実"を手にいれなくちゃ!」


《あぁ、あの美味いポテチが食えなくなる!》

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