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(土地よ、実りよ。お願い"万能の実"よ実って!)
私の声と魔力に反応したのか。土地が、枯れた植物がドクンと脈を打った後。ものすごい勢いで私とトラ丸の魔力を、貪るように吸っていく。
――な、何コレ? 私の魔力がこの土地に吸われる!
その吸われ方に危機感を覚え私は。地面から片手をすぐ手を離し、マジックバッグに片手を手を突っ込み、魔力石を取り出し砕いた。
もう一度、もう一度、バッグから取り出し砕く。
(魔力の回復が間に合わない!)
「トラ丸、魔力の減りが早いよ……」
《そ、そうだな……ワシは腹減ったぞ》
お、腹減った?
え、ええーー!
魅力的でモフモフ、ふわふわ。まん丸フォルムのトラ丸の体型が"げっそり"していたのだ。こ、このままだとトラ丸が干からびちゃう?
それは、マズイ!
「トラ丸! マジックバッグからポテチ保存袋を取り出して、食べて!」
《いいのか!》
「応急処置!」
トラ丸はすぐさま、私が肩から下げるマジックバッグに顔を突っ込んだ。そして中からポテチ保存袋を取り出すと、両手で器用にポテチの封を開け食べ出した。
《う、美味い!》
パリパリ、サクサク。隣から、いいポテチのサクサク音が聞こえる。
私の両手は地面の上とマジックバッグの中だから、そのポテチが食べられない。トラ丸がうらやましくなってくる……"ゴクッ"いまゴクッて喉がなったよ。
「いいな、うまそっ。コレが終わったらマリの家に、ポテチがフライドポテトを食べに行こっと!」
「へぇ~、それがラゴーネが言っていたポテチか?」
ラゴーネさんとゲドウさんが、トラ丸のポテチが入った袋を覗く。
《コレはワシのだ、キサマ達にはやらぬ!》
パリパリ、サクサク、パリ、さくさく、サク、サク! 半分くらいポテチを平らげると、トラ丸の体型が"ポン"と元の魅惑ボディに戻る。
《復活! マリはそのまま、この土地に魔力を込めていろ》
「うん、わかった。魔力をこめるヨォ――!!」
魔力石を砕き、土地にゴゴゴーーっと魔力を込める。すると。ポテチの力? でまん丸フォルムに戻ったトラ丸が"万能の実"が実ると言われた、畑の周りをクルクル回りだす。そのトラ丸の足元に新芽がピコンと芽を出し……息吹きはじめ。
畑にも、モコっと新芽がひとつ生えた。
(おお!)
《マリ、やったぞ!》
「うん、うん! やったね、トラ丸!」
私とトラ丸は喜び、手を繋ぎながら一緒にぶっ倒れた。




