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私は悪役令嬢マリーナ! 魔法とモフモフ達に囲まれて幸せなので、王子様は嫌いのままいてください。(第一章完結)  作者: にのまえ


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〈トラ丸!〉

《クク、アイツの驚いた顔がいい! こっちが先手を取れば、なにも言えないんだな》


 まだ頭の上で笑い転げるトラ丸。デリオン殿下とゲドウさんはしばらく私を見ていたが、本棚で必要な本を探しはじめた。


 私も彼らを気にせず、持ってきた本を開く。


《ククク》


〈ほら、笑っていないでトラ丸も探してよ〉

《わかった、わかった》


 頭の上から、私が開く本を覗いた。


《歴史書か。結構、古いのまで持ってきたな》


 そう、本棚で目についた歴史書の古い順から持ってきている。戦争、政治の中で"万能の実"が使用されていないか、調べるためだ。あとは医学書でも探そうと思っていた。


 書庫で探しても見つからない場合。王都にある冒険者ギルドで"万能の実"の話を聞きに行こうかとも考えている。


〈だって、私達って万能の実について、なにも知らないじゃない。片っ端から気になった本を読もうと思ってね〉


《そうか……。それならマリ、ラゴーネに聞いた方がいいのでは? アヤツ、結構昔からいそうだぞ》


〈ラゴーネさん?〉


 東のストール山に封印されていた、ドラゴンのラゴーネさん。彼に会えば、封印前の話を聞けば何かわかるかも。今はどんな手がかりでも欲しいからアリな話ね。


〈でも教会かぁ……今日は許可を貰っていないから、中には入れないかも〉


《なに? また許可いるのか……マリが中に入れないんだったら、ワシが中に入ってヤツを呼んでくるか?》


〈トラ丸が?〉


 そっか、トラ丸の姿はみんなに見えない。サッと入って、ラゴーネさんを呼んで帰ってくればいいか。


〈危なかったら逃げてよ。心配だけど、トラ丸にお願いする〉

《大丈夫だ。任せておけ!》


 次に行く場所は教会に決まった。


 そして、書庫で最後に開いた本に興味を引くものがあった。それは王都から西の端にあるエフルの森。その場所に人が入れない危険区域があるらしい。その土地はいまだに大昔の戦火の炎が残る――呪われた土地と書いてあった。


〈エフルの森、呪われた土地かぁ~〉

《マリ、気になっても連れて行かないぞ》


〈わかってる。トラ丸、時間だし教会に寄って帰ろう〉


 筆記用具をしまい出した本を本棚に返して、書庫で勉強している2人に挨拶した。


「デリオン殿下、ゲドウさん、私達……私はお先に失礼いたしますわ」


「ああ」

「おつかれさま。またね」


 おほほほっと、書庫番に許可書を返して私達は王城も後にした。書庫に置いてあった歴史書、医学書に"万能の実"の名前は出てこなかった。だが、いまから200年前に大勢の人の病気を治した『奇跡の植物』があったことが記されていた。


 それについて、どんな植物かは記されていないし。

 どこで採れるのか、書物に書いてなかった。


「ふうっ、万能の実、奇跡の植物かぁ~。ねぇトラ丸、どちらが見つかっても良さそうじゃない?」


《うむ。どちらも病気に効くとなれば、どちらでも良いな》


「だよね」


 教会で、ラゴーネさんに両方の事を聞いてみることにした。教会に向かう途中で苺のアイスクリームの屋台を見つけて、トラ丸の瞳が光ったのはいうまでもない。


《マリ、苺だ!》

〈ほんとうだ!〉

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