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私は悪役令嬢マリーナ! 魔法とモフモフ達に囲まれて幸せなので、王子様は嫌いのままいてください。(第一章完結)  作者: にのまえ


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 トラ丸と王立図書館により本を探したが、ここは許可書があれば、誰でも利用できる場所。だからか新しい本が多く、私が調べたい本は見つからなかった。


 だけど興味を引くファンタジー、恋愛物の本が本棚に多く並んでいた。トラ丸も気に入った本があったらしく。《メシの本、酒の本がかなりあったな》と頭の上で嬉しそうに呟いている。


「時間を作って、また来ようね」

《おう、ゆっくり選びたいな》


 次は王城の書庫なんだけど。城に入城できる時間はお昼を過ぎた1時から。お昼を食べながら時間を待つことにした。トラ丸と王都の商店街をまわり昼食を買って、近くの公園の人通りがすぐない木の下を選んで座った。


《木々も、生い茂っていい所だな》


「ほんとう。芝生も手入れされていて、お昼を食べるのにぴったりの場所だね」


《腹が減った、早く食べよう》


 トラ丸に急かされて、商店街のパン屋で買った袋を開き。サンドイッチとカスタードクリームたっぷりのパン。隣のケーキ屋で買ったレモンケーキをマジックバッグで持ってきたお皿の上に並べ、オレンジ水を取り出した。


「んん! 天気もいいから、外でのご飯は美味しい!」


《あぁ美味い。あのパン屋のサンドイッチは具沢山で味もいい。マリ、次は鶏肉が食べたい》


「はいはい。私も食べたいから半分ずっこね」

《半分ずっこな》



 

 +



 

 公園でまったり過ごし時刻は1時。王城の門番にお父様が用意してくれた許可書を見せて、立ち入り許可のハンコをもらい入城した。


 書庫でも書庫番の人に許可書を見せて、首から下げる書庫立ち入り許可書を貰った。頭の上のトラ丸は許可書を見ながら、ため息を吐く。


《王都へ入る許可書。入城の許可書と書庫の許可書か。いろんな許可がいるんだな》


〈だよね。でも仕方がないよ。国の中心部だし、城は王が住む所だもの〉


《そうだな》


 城に入ってすぐ、トラ丸との会話は念話に変えている。


〈でもさ。前とは違って、デリオン殿下に会わずに済んでよかった〉


 前のように絡まれるのは嫌だもの。

 会わなくて済むのなら、会いたくない。


《だが、マリ。気を抜くなよ、ここはアイツも住む城だ》  


〈わかってる〉


 前回はヴォルフ様がいたからよかったけど。今回、騒ぎを起こせば全て私のせいになるだろう。今日は催しものがないってお父様が言っていたから、いないとは思うけど……


《マリ、早くしろ。書庫にいられる時間は1時間。必要な本をはやく見つけよう》


〈そうだね、見つけよう!〉


 私達が本棚を前めぐり、万能の実に関する昔の書物を探した。しかし、噂をすれば影とでもいうのかな。書庫の扉の開く音と見知った声が聞こえた。


「デリオン殿下は博識ですね」

「ゲドウ、当たり前だ!」


 おう。もっとも会いたくない2人がダブルで書庫に入ってきた。それも本を持って近くのテーブルに着こうとした時にだ。お互いに目が合って"あっ"となっている。


〈トラ丸~どうする!〉

《ぬぬぬっ。ワシにもわからん! とりあえず愛想笑いをして、離れたテーブルに移動だ!》


〈愛想笑いね、わかった〉


「おほほほ、デリオン殿下、ゲドウさん、ごきげんよう」

「お、おお……」

「マリちゃん、ごきげんよう。今日も調べもの?」


「ええ、そうですわ」


 ニコニコ笑顔の私とゲドウさんと、困惑したデリオン殿下。私たちの間に変な空気が漂う――よし、ここは逃げよう!


「……おほほほ、お邪魔してしまってすみません。私はこれで、失礼しますわ」


 頭を下げ、選んだ本を抱えそそくさ離れて、2人より離れたテーブルについた。


〈よし、なんとか逃げ切った〉

《……逃げ? プッ、ククク。マリは相変わらず面白いな……アイツらの惚けたツラ、ククク》


 頭の上で、トラ丸は笑い転げた。

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