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私は悪役令嬢マリーナ! 魔法とモフモフ達に囲まれて幸せなので、王子様は嫌いのままいてください。(第一章完結)  作者: にのまえ


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 ラゴーネさんはドカッと空いているソファに座り、首についている黒色の首輪をさわり、元の姿に戻る。そして隣のソファにいる魔獣グラウに。


[ナンダ? オマエモ、ココニイタノカ……ヨク、アンナノト、イッショニイラレルナ]


 ドラゴンのときに発した言葉で話した。

 その言葉が通じたのか、魔獣グラウはチラリとラゴーネさんを見て面倒臭そうに。


[シカタナイダロウ。マダ、コノセカイデ、メヲサマシタバカリ。チカクニ――アイツ、シカイナカッタ]


 ラゴーネさんと同じ言葉で返した。こ、この言葉はもしや魔物語? モンスター言葉? 魔獣語?


[ソウナノカ?]


[アア。ニゲテモ、ドコニイケバイイ? ネムッテイタバショハニハ――カエレナイ]


[ダヨナ、ワレモソンナカンジダ……ダカラトイッテ、ココニ、ナガイスルキハナイ]


 なぜか私の方を見ながら、2人だけの会話が続く。えーっと。2人は私に何か訴えかけているの? 頭の上でまったりトラ丸も、この言葉がわかるから。


《マリ、聞く耳を持つな》

〈う、うん、知らんぷりする〉


 プイッと横を向いた。


[オイオイ、ソレハナイダロウ?]

[ホントウニ、ツウジテイルナ――メズラシイ]


[ダロウ、ワレハ――コノフタリニ、タスケラレタ]


〈待って! この言葉はドラゴンのとき、ラゴーネが話していた言葉だね〉

《ボク、聞いたことがある》

《ポ、も》


〈僕たちにもわかるよう話した方が、君たちの言い分も分かり、話が進むんじゃないかな?〉


 ヴォルフ様の言葉に2人は見合って頷いた。


「そうだな」

「仕方がないか」


 ラゴーネさんとグラウ君が話し始めたことに、私達は驚くしかなかった。なんと2人の封印を解いたのは。今、ゲドウさんと話している女の子だと言ったのだ。


「封印が、そんなに簡単に解けるのか?」


「簡単だな――まず"封印石"を壊せばいい。そうすれば1年くらいで封印が解ける。はやく封印を解くには石を壊した後、ワレは酒で、グラウはリンゴ――生前の好物をひと月かふた月、封印の場所に置けば良い。そうすればワレ達が目を覚まし封印は解ける。それより早くしたかったら名前も呼べばいい」


 なにその簡単な封印の解き方は!


 あ、全年齢対象の乙女ゲームだ、難しいことは運営がしないか。

 ゲームのラゴーネさんの場合は誰かが封印石を壊してしまい、1年後に復活した。


 しかし今回は封印石を壊して、お供え物をして、彼らの名前を呼んだとなれば。女の子が彼らの名前を知っていることになる。カカナお母様と魔術師たちはラゴーネさんの封印の場所を守っていたから、彼の名前を書物などで知っていてもおかしくない。


 だけど、魔獣グラウの封印の場所と名前は知らないかもしれない。


 私も知らないだけで、乙女ゲームにグラウ君が出ていた? となれば。封印を解いたのは私と同じ、転生者じゃないとできないじゃない?


 驚きのなか、隣の部屋の扉がガチャッと開く音が聞こえて。


「すみません。応接間にお客様を待たせていますので、しばらくお待ちください。話が終わりしだい夕食の席をもうけますので、そこで詳しい話をしましょう」


 丁寧に話す、ゲドウさんの声が聞こえた。

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