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大笑いの中、馬車は屋敷を出て1時間くらい経ち。通り道に見えてきた原っぱで朝食を取ろうと、その近くで停車した。
《メシ、メシ》
《ご飯、ご飯!》
《ポも、ご飯》
モフモフ、もこもこの聖獣たちは楽しそうに並び。朝食の準備が終わるのを今か今かと、おとなしく持っている。ヴォルフ様はアイテムボックスを開き、折りたたみのテーブルと敷物を取り出した。
「あの木の下で、食べましょう!」
「いいね。飲み物は何にする?」
「そうですね」
私が答える前に。
《ワシはアイスティー!〉
《ボク、レモン水!》
《ポは水!》
待ちきれないトラ丸たちから、バラバラな答えが返ってきた。ヴォルフ様は"わかった"と言って、テーブルにすべての飲み物を出してくれた。
みんなに飲み物がいきわたり、私は持ってきたバスケットを開くと。みんなの手がニュッと伸びて、自分の好きなサンドイッチを持っていく。
私も、大好物のポテサラのサンドイッチをとった。
「「いただきます!」」
《《いただきます!》》
具沢山なサンドイッチにかぶり付くヴォルフ様、クロ君、シラさんとポ君、トラ丸。大勢で食べる食事は楽しい。願うなら、このままみんなと一緒にいたい。
(この願いは、叶わないんだろうな)
「んん、美味しい! ポテサラ最高!」
「美味いな」
「美味しいです」
《マリ。この卵と半分ずっこだ!》
《卵サンド、大好き》
《ポ、野菜好き》
素敵で可愛いみんなと一緒にいれる時間は笑顔で、精一杯楽しもうと決めたんだ。
早朝、カルロと作った具沢山のサンドイッチはアッというの間に、みんなの胃袋へとおさまった。いまはデザートのアップルパイを食べている。
カルロのお母さん。リヤさんが作るアップルパイはいつ食べても最高! パイはサクサクで、中はしゃきしゃき酸味あるリンゴとバター、シナモンの香り。
もう"美味しい"しか言葉が出てこない!
最後の一切れを口に放り込み。ゴクゴク喉を鳴らして、残りのアイスティーを飲み干した。
「ふぅ~お腹いっぱい! もう入らないぃ~ごちそうさま!」
「ボクもだ。美味しかった、ごちそうさま」
「ごちそうさまでした。しばらくここで休んでから向かいましょう」
《最高だった!》
《お腹いっぱい!》
《ポ、幸せ~》
休憩後。30分くらい馬車に揺られて、目的の王都についた。そこから中央に立つ王城に向かい、午前中は書庫で勉強する予定だ。
「ヴォルフ様、書庫に向かう前にお花……お花を摘みに行ってきます」
言いなれない言葉でトイレを伝えて向かった。この世界のトイレは陶器製で、前世のトイレと見た目はあまり変わらない。一つだけ言うと個室一つ一つに魔法式が組み込まれていて。壁に描かれた魔法陣に手をかざすだけで水が流れて、クリーンの魔法までかかる優れもの。
「キレイにしてくれる。クリーンの魔法は使えるわね」
トイレからヴォルフ様のところへと戻る途中で、会いたくないデリオン殿下と出会ってしまった。向こうもそうみたいで、私を見るや否や睨んでくる。
《マリ、面倒なやつだ!》
〈会いたくなかったなぁ〉
しかし殿下は殿下のなので、スカートを掴み会釈したが。デリオン殿下の瞳は変わらず、私を睨んでいる。
「おい、マリーナ嬢! 招待もしていないのに、今日のお茶会へ参加しに来たのか?」
「お茶会? いいえ、本日はヴォルフ様と調べものをするために書庫へ来ました。許可状も持っているとヴォルフ様に聞いております」
もう一度、礼をして移動としようしたが。
「なに? 許可状? ヴォルフ王子と書庫に調べものに来ただと? 見え透いたウソをつくな!」
お前のことだ。お茶会の噂を聞いて邪魔をするために来たんだろう! と訳のわからない言いがかりをつけられる。デリオン殿下の側近、護衛の騎士は、私の言い分、殿下の言い分を聞いて、殿下を止めたのだけど止まらず。
「不法侵入だ! 誰か、こいつを牢屋に連れて行け!」
「デリオン殿下、落ち着いてください。お茶会に遅れます」
「この者は許可を取ったと申しております」
「うるさい! お前らは俺の言うことを黙って聞けぇ!」
暴君並みの言葉を吐いた。
〈困った。まったく話が通じない……トラ丸、めんどうだね〉
《うむ、めんどうだな》
トラ丸とわからないよう、ため息をついた。怒りが収まるまで待つか、トラ丸にヴォルフ様のところに行ってもらうか……悩む私に。
「マリちゃん」
見知った声が、後ろから聞こえた。




