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「よし! 呪いの根元をつかんだ。ここから先、娘ちゃんとトラ丸はあまり見るのはお勧めしないかな。おどろおどろしいよ」


 おどろおどろしい。

 なんて、グロいの?


「カカナ! いまから呪いの根元を引き抜く、君達も見ない方がいいぞ!」


「根元を引き抜くですって? ヴォルフ殿下、クロ君たちは目をつむってください。騎士団長と騎士団達、あなた達も見てはダメよ!」


  ゲドウさんから"根元"と聞いたお母様はヴォルフ様とクロ君をはじめ、周りの騎士団と魔術師達に目を瞑るよう指示をはじめた。根元が何か気になる。それを見たい気持ちもするが、見ない方がいいのなら。


「トラ丸、目をつむるよ」

《おお、その方がいいな》


 目を瞑る前に私達は。ゲドウさんが何かを引き抜こうとする動作が見えて、慌てて両手で目を抑えた。しかし、耳元にズル、ズルズルと引き抜く音が聞こえてくる。


 ドラゴンも激痛とそのズルズル音に。


「[ウ、ググ。ワレノ、タイナイカラ……ブキミナオトガ……キコエル]」


 ヒェー恐怖におののくドラゴンの声に、隣のトラ丸の顔に抱きついた。


《お? マリ? どさくさに紛れてワシの顔を触るな!》


 トラ丸、モフモフ、フワフワで大きな耳――おほおほ、良い……


《マリ……》


「ちっ、違うって! トラ丸にズルズル音を聴かせないようにしてるの!」


 ズルズル、ヌチョ……うおお! いまの音で寒気までしてきた……怖い!


「あ、トラ丸、おとなしくして!」

《ワシの、ヒゲを触るな!》


 ギャアギャア目を瞑りながら、トラマルと言い合いをしている間にも、ズルズルと呪いを引き抜くゲドウさん。


「よし最後だ、弟子達! ここに聖水を持ってきてくれ」


「「「かしこまりました」」」


 数人の近付く足音が聞こえて、何か液体のようなものをトラ丸と一緒にかけられた。――な、な、なに? いきなり掛けられた驚きと、体がじょじょに軽くなっていく感じがした。


《体の疲れが吹っ飛んだぞ》

「うんうん、楽になったね」


「娘ちゃん、トラ丸、よかったね。君達は呪いに触れて、呪いをうけたも同然。いま聖水で浄化したから、目も開けていいよ」


 いまかけられたのは聖水? 聖水って、悪いものを浄化したりする、ファンタジーゲームとかにも出てくるアノ聖水! 


 クンクン、匂いはしないようだ。


 ウキウキしながら目を開けると。私達の側に同じく聖水を掛けられたゲドウさんが、ドラゴンに神聖魔法をかけキズを治していた。


「[イタミガ、キエテイク――アリガトウ]」


 だけど私達がにぎった矢と、引き抜いたドロドロがない。もしかして、ゲドウさんの弟子達が回収していったのか、聖水(聖なる水)によって消えたのかな?



「ふわぁ~。一応、ドラゴンの呪いも解けて、キズも治ったかな? 俺は帰ってすこし寝る。弟子達、しばらく呪いの経過を見るからそのドラゴン連れてきて~、ドラゴンも人型になれるよね」


「[ナレル]」


「ウンウン、後は任せた、よろしく~」


「ゲドウ様、お疲れ様でした」

「あとはお任せください」


「じゃ、またね~娘ちゃんとトラ丸」



「は、はい。ありがとうございました」

《またな!》



 ヒラヒラと左手で手を振る、ゲドウさんの右手に握られたピンク色の髪の束を見て――ドクンと鼓動が跳ねた。

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