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私は悪役令嬢マリーナ! 魔法とモフモフ達に囲まれて幸せなので、王子様は嫌いのままいてください。(第一章完結)  作者: にのまえ


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「【解呪】」


 聖職者のゲドウさんが杖を構えて、神聖魔法を唱えた。この"解呪魔法"にドラゴンは痛みを感じたのか。[グギャ――――――!]と悲鳴を上げた。その悲鳴は辺りの木々を揺らして、地面をも揺らした。


「「グヌヌ――グワァ――――――!!]」


 その声は私とトラ丸には悲鳴に聞こえたが。周りのヴォルフ様達、お母様、騎士団、魔術師には違って聞こえたらしく。魔法の杖と剣を構えて、ドラゴンとゲドウさんを見つめた。



「[ヒノリユウノ、ワレガ――アツサヲ、カンジテイル! ――ググ、ヴワァ――――!!]」



「ド、ドラゴン、平気?」


《なんと痛々しい声だ……地響きを引き起こしているぞ!》


 私達も慌てたが、ゲドウさんと弟子の聖職者は落ち着いていた。


「はーい、平気、平気。まあ、呪いをかけるのは簡単だけど、かけられた呪いを解くのは進行度によって大変なんだよ。このドラゴン――ちょっと根深く呪いが進行していて、激痛をともなっているだけだから」


「そうなんだ……頑張ってドラゴン!」

《そうだ! がんばるのだぞドラゴン》


「[ノロイノ、シンコウガ、ススンデイタ? ソウカ、ソウナノカ……マリ、トラマル、アリガトウ]」


 ドラゴンの赤い瞳が私達を見つめた。



 ――がんばれ、ドラゴン!



「あと、ひとーつだけ言うとね。その呪い、ドラゴンが寝こけていなかったら、自力で解けたよ」


(え?)

《え?》


「[ナニ!]」


「まっドラゴンには、遠い昔にほどこされた封印が効いていたし。ドラゴン自身が封印を解いて出てこようとしていなかった。言うならば、その大きな図体だから、気付くのが遅れたんだろうね」


 呪いに慣れているのか、ゲドウさんは簡単にドラゴンと私達に話し。矢を見つめ、私達に命令を発した。


「よし!娘ちゃん、トラ丸、その矢を一気に抜いちゃって!」


 呪いの矢を抜く?


「はい! トラ丸、行くよっ!」

《おう!》


 私とトラ丸は呪いの矢をつかんで、咥えて抜いた。


《おっ?》

「うそ、矢が軽いわ」


 さっきはあんなに抜けなかった、矢がスルッと抜けていく。このまま引っ張れば矢が全部、抜ける? そう思った私とトラ丸にゲドウさんは今度はストップをかけた。


「君たちが矢を抜くのはそこまで!」


「え?」

《え?》


「あとは、ボクに任せて!」


 ゲドウさんは矢をつかみ、己の手で引き抜いた。私達に見えてくるのは矢の先端だと思っていたが違った。黒くドロドロとしたスプラッタ級の物が、矢の先端にくっ付いて出てきた。


「きゃっ! アレ何?」

《不気味だな》


「アレが呪いの元、矢はそれを塞ぐ栓だったんだ。ドラゴン! まだまだ激痛が走ると思うが、しばらくの辛抱だ!」


 そう、ドラゴンに伝えると。ゲドウさんは己の体に神聖魔法をかけ、矢が刺さって出来た穴に右手を突っ込んだ。

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