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 ドラゴンの話す言葉がわかると言った私の元に、戦う手をとめてみんなが詰め寄る。それはドラゴンも同じで攻撃をやめて私を見下した。


「[ムスメ。コノ、アバレタイトオモウ、ショウドウ――トマルノカ]」


 呪われているからと、ドラゴンに伝えても平気なの? 正直に伝えてもいいのかわからない。


《マリ!》


 トラ丸はヴォルフ様の手から離れて私の頭の上に戻ってきた。余りにも軽く、重要な事をスルッとみんなに伝えてしまったからか、心配しているみたいで。


 大きなため息をついた後。


《まったく、考えなしのポンコツだな》


〈ポンコツ… それ、言い過ぎだと言いたいけど……いや、この状況を作ったのは私だね……〉


〈そうだな。だがマリーナ、ドラゴンに呪われていると早く伝えるんだ。今、戦いの手が止まったが……ドラゴンが呪いに体の自由を奪われいてる。いつ、攻撃してくるかわからない)


 ヴォルフ様の意見に賛成だ。私たちを見下ろすドラゴンに呪い受けている事を伝えた。ドラゴンは一瞬だけ驚くも、呪いというものを知っているのか。ドラゴンは"そうか"と頷いた。


「[ワレハ、ノロイヲウケタノカ。ダカラ――カラダノジユウガ、キカヌ]」


「そうです! ドラゴンさんは何者かの呪いにより、自由を奪われています。しかし、その呪いの場所が……」


 言葉を発しようとした私の瞳に、黒い煙がドラゴンの右側、つばさの下にみえた。その煙はモクモクと大きくなって、ドラゴン自体を覆い尽くそうとしている。


 な、なに? あの黒い煙は?

 あの黒い煙がドラゴンを覆ったらどうなるの?

 私では何も解決することが出来ない、近くにいるヴォルフ様に念話をとばした。


〈ヴォルフ様、ヴォルフ様! ドラゴンの右側、翼の下の辺りに黒い煙が見えませんか?〉


〈ん? ドラゴンの右側? 翼の下に黒い煙だと?〉


 念話をうけたヴォルフ様は【鑑定】し。ドラゴンの右側、つばさの下を見つめ――何かを感じたのか額に大量の汗を浮かべ、この場に崩れ落ちるようにひざまずいた。


《主人?》


「「ヴォルフ様!」」


 顔色が悪い――シラさんとクロ君、ポ君はすぐにかけ寄り、ヴォルフ様を支える。カカナお母様達も何事かと側に駆け寄った。


「何があったのですか? ヴォルフ殿下?」


 そう聞かれて、大きく息を吸い込み。


「き、聞いてください……ドラゴンの右側、つばさの下に呪いの根元が……あります。僕の鑑定魔法で呪いの場所が特定できましたが、呪い自体の鑑定はできませんでした」


 衝撃の事実に。


「「それは誠か!」」


「大きな声を出さないでください。ヴォルフ様、呪いの場所はドラゴンの右側、つばさの下ですか?」


「……はい」



「[ダレダ、ダレダ? オトナシク、フウインサレテネムッテイタノニ――ダレガ、ノロイヲカケ、メヲサマサセタノダ!!]」


 ドラゴンの相手がみえない怒りと、呪いによる支配なのか? 雄叫びを上げて、ドラゴンは呪いの煙と炎を身にまとった。


 あまりの迫力に"ヒュウ"と喉が鳴る。


 マズイ、マズイ、今攻撃を受けたら、ここにいる人達、全てを守れない……。



 焦る私の瞳に何か映る。

 え? あ、あれは何? 


 カッと目をひらき、目をこらした。――あ、ああ、私は右側、つばさの下に黒く赤い文字が光る矢をみつけた。その矢はドラゴンの胴体にグサリ、ささって黒い煙を放っていた。

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