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ヴォルフ様はドラゴンの鑑定を終えて、私たちに結果を伝えると。聖獣のクロ君、シラさんはポ君と憑依をといた。
「マリーナ、シラ、あのドラゴンは何者かに呪いを受けて、操られている」
《呪い? ヒェ――!》
「だから、ドラゴンはあんなに……辛そうなのね」
《辛い? そうか、ドラゴン辛いだろうな》
頭の上のトラ丸と意見が合う。
まさかトラ丸にも、ドラゴンの声が聞こえていた?
「マズイですね。あのドラゴンは何者かの、呪いを受けているのですか……コレは困りましたね」
《ポ、呪い怖い、怖い》
みんなはドラゴンを見上げて、息を呑んだ。
そんな中、ヴォルフ様は私とトラ丸の言葉が気になったのか、コチラをじっと見ている。
(だけど……この状況下の下で聞けないのかな? それとも私達が話すのを持っている?)
しかし、この緊迫した空気の中で伝えても、ヴォルフ様達は信じてくれる?
ドラゴンは何者かの呪いにより操られていると伝えても、その呪いの解き方はわかるの?
あなた達、今、自分がどれだけ険しい表情をしているのか気付いているの?
多分、ヴォルフ様は鑑定でドラゴンが呪いにかかっている事はわかったが――なんの呪いに、かかっているかまでは分からないのだろう。
焦っているから、伝えにくい。
(あ、まって言葉後で伝えるとして。ドラゴンが呪いを受けて操られていることが、わかればいいんじゃない?)
「[イタイ、カナシイ……タスケテ]」
ドラゴンが苦しみ、悲しんで泣いている、あの子も助けたい。
「ヴォルフ様、すぐカカナお母様にこの呪いの事を伝えましょう!」
《おお、いいな。ワシらで対処するのは無理なのだろう!》
虎丸にもドラゴンの声が聞こえているのか。
ドラゴンを見てから、頭の上でブルブル震えている。
ヴォルフ様はしばらく考えて、私の提案に頷いた。
「そうだね、僕達では無理だ。怒られる覚悟で騎士団と魔術師に会いに行こう!」
《それがいいと思うよ》
「ヴォルフ様とマリーナ様の安全を考えたら、その方がいいと思われます」
《ポも、その方がいい》
みんなの考えが揃ったが、騎士団と魔術師たちの場所に行くには、戦場の側を通らなくてはならないし。すばやく空を飛んでの移動は便利だが、ドラゴンに狙われる確率が上がるだろう。
「大きくなったクロに僕とシラが、トラ丸にはマリーナとポは防御魔法しながら乗って移動! 魔術師と騎士団が見えたら姿を現して、ドラゴンがかけられた呪いの事を伝えよう!」
「「はい!」」
《マリ行くぞ!》
《ボク、がんばる!》
《ポ、マリ、トラ守る》
ヴォルフ様の作戦開始だ!




