39
ヴォルフ様とシラさんは大きくなったクロ君とポ君に乗り空を飛び、私はトラ丸に跨り地面を走っている。
トラ丸は空を飛ぶことができず、走ったほうが早い。
みんなでテラスで地図を見たあと。私は部屋に戻り乗馬服を着込み、ヴォルフ様とシラさんは一度屋敷に戻り、鎧を身のつけて剣を指してきた。
(最後まで心配していた――パレットさん達とカルロ君家族は荷馬車で王都へと避難した)
みんなが王都へと向かう姿。ヴォルフ様達の鎧の着込んだ姿に一気に緊張が増す。気を引き締めないといけない。
「カカナさん達がいるストール山に向けてマリーナ、シラ、クロ、トラ丸、ポ行くぞ!」
「「「おう!」」」
みんなでストール山に向かっている。走る私とトラ丸の横を王都へと向かう荷馬車、馬車が通っていくけど、姿を消して走っているから気付かれない。
「図鑑でだけど……僕が知っているドラゴンについて話す」
ストール山に向かう前、ヴォルフさんが話した……ドラゴンのとは【鱗に覆われた爬虫類を思わせる体を持ち、爪には鋭い爪、大きな口には牙を具え、しばしば口から炎や毒の息を吐く竜】と説明してくれた。
(ゲーム画面で見てきた、ドラゴンに似ているような気がするけど……それが実際に目の前に現れるのよね。見てみたい気持ちと、怖い気持ちが湧くわ)
「とくにマリーナは、1人で突っ走ってはダメだからね」
空から降りて私の隣を一緒に走るヴォルフ様に注意を受ける。それは私1人で暴走すればヴォルフ様とクロ君、シラさんとポ君も危険が及ぶ。
「わかったわ」
《マリに危険が及ばないよう、ワシが守る》
「ありがとう、トラ丸」
私を乗せてトタトタ走るトラ丸が言った。
屋敷から1時間以上進み、ストール山に続くコールの森の前までやってきた。森の前には騎士団と魔術師達が乗ってきた荷馬車と、怪我人を収容するテントがいくつも建てられていた。
そして大勢の騎士と魔術師、医療班が状況を水晶玉で状況を聞いている。
「【ドラゴンの吐いた炎により負傷者が多数。爪の攻撃により怪我をした者数名あり、医療班はすぐにこちらにきてください!】」
「【了解。直ちに医療班をむかわせます】」
(怪我人が出ている……この森を抜けた先にお母様達とドラゴンがいるのね)
「行くぞ、気を引き締めて」
「はい」
「空からポと見てきます」
シラさんが空から状況を見に向かった。
森の中に「行こう」と手で合図したヴォルフ様に続いて、森に入ろうとした私達に。
〈ギャオオオオオオォオォンンンンン――!!〉
「⁉︎」
「きゃっ⁉︎」
今までに聞いたことがない耳を塞ぎたくなる鳴き声が聞こえ。地震のような揺れを感じ、激しい突風が吹いた。