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真っ白な制服姿のお母様を見て、嫌な直感とドクドク鼓動が鳴った。まさか、あの日が来てしまうの? 


 乙女ゲームよりも一年早い、早すぎる――カカナお母様をなくさないための、がんばれる魔法はまだ覚えていないよ。


「お母様……」


「マリーナ、落ち着いて聞いて。今し方――東にそびえるストール山にレッド・ドラゴンが現れだと情報を受けました。騎士団達の報告では狂暴なモンスターとのこと。今すぐ準備をして王都に行きなさい。ヴォルフ殿下、シラさん、マリーナをよろしくお願いします」


「はい」

「かしこまりました」

 

 え、ドラゴン? レッド・ドラゴン? 乙女ゲームの説明だと、狂暴なモンスターだとしか書いてなかった。


(ドラゴンだなんて、待って、待って――)


「早く行きなさい」


 カカナお母様はそれだけ伝えると、屋敷の使用人へも伝えに向かった。その後、魔法を使い――領地の人々にもそのことを知らせた。ここ、ロベルト国は稀に狂暴なモンスターが現れるため魔導師と錬金術師達が作った、結界を張る装置が王都にはある。


 魔法伝達、緊急の知らせ、早馬などで国民全体に連絡が行き渡り、王都に向かって移動するのだ。


(待って……行かないで)


「カカナお母様――(ドラゴンなんかに勝てないよ)」

《マリ、顔が青いぞ? どうした?》


 私の様子が変だと気付き、心配したトラ丸が近寄ってくる。私はそのトラ丸をガシッと捕まえた。


「お願い、トラ丸はやく大きくなって! 私達もドラゴンが出たストール山に向かおう」


《はぁ?》  


 大好きな、お母様がいなくなってしまう。


「トラ丸! はやく早く、大きくなってよ」

《ちょっ、マリ、体を揺さぶるな! 訳を言え!》


 慌てる私に。


「マリーナ落ち着いて、トラ丸が困っている」


 ヴォルフ様も止める。



「ごめんない……今は、今だけは落ち着けない! 早く、行かないと……カカナお母様が危ないの」


 そう言い切る私に、ヴォルフ様は。


「カカナさんはこの国一、魔法の腕が立つと聞く。ストール山には騎士団、魔術師達もいるだろうし、彼女なら大丈夫だ」


 私は"大丈夫じゃない"と首を振る。

 この後――お母様は戻ってこない……乙女ゲームでもそうだった、それは確定なんだ。


「私も行くの……」


 瞳に焦りと、感情的の涙があふれる。

 いくら、ヴォルフ様が止めようとしても「嫌だ」「行く」と行こうとする私を――彼は引き寄せ抱きしめた。


 そして落ち着くように、背中をトントン優しく叩く。


「わかった、わかったから落ち着けマリーナ。それで、マリーナはストール山の場所を知っているのか?」


「え?」


 ストール山の場所? 東の山――ヴォルフ様に言われて言葉が詰める。私は慌てるばかりで、かんじんの山の場所を知らなかった。


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