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夕方。戻ったお父様は使用人全員に説明してくれて、お母様に注意された。トラ丸に乗るときはトラ丸が姿を現すか、私が姿を消したほうがいいと言われた。


 カカナお母様も、王城に向かう時は姿を消していると教えてくれた。だが魔物が襲ってきたり、緊急を要するときは姿を現し、国民を避難させるとも話した。


「でも、マリーナがトラ丸と楽しそうでよかったわ。聖獣と仲が良いことは素敵ですものね」


「はい、カカナお母様」


 ジロウを大切にするお母様と同じように、私もトラ丸を大切にしたいし。一緒に美味しいものをたくさん食べたい。




 翌日、魔法大国クエルノ国からこちらに戻ってきたヴォルフ様に、昨日のトラ丸との事を話すとお腹を抱えて大笑いした。


「ハハハッ、そっか、そんなに面白いことが起きていたんだね。その時の、トラ丸に乗るマリーナの姿を見たかったな」


《ウン、見たかったね》


「もうみんなを驚かすのは嫌なので、誰もいないところでなら乗ります」


 お父様から訳を知って落ち着いたけど、みんなはあきらかに私を怖がっていた。カルロはまた私が何かやらかしたなと言わんばかりに、ニヤニヤ笑っていたけど。


 そんなにトラ丸に乗る姿変だったのかな? まあ、めっちゃ笑顔で空に浮いて、高速移動していたら……少しひくかな。


「それじゃ、姿を消す魔法も覚えよう」

「はい、お願いします」




 ヴォルフ様との魔法授業が進み、トラ丸に乗るとき姿を消せる様になった夏の暑い日。私達はお昼に野菜マシマシ肉厚ハンバーガーを食べ。オヤツにヴォルフ様特製氷で作った、冷え冷え果物のかき氷をテラスで食べていた。


「このかき氷、夏にぴったりな食べ物だな。僕の氷魔法にこの様な使い方があったのは知らなかった、じつに面白いね」


「でしょう、暑い日にはかき氷かアイスは最高よね」


《かき氷とアイス、どちらとも美味しい》

《あー冷たくてぇ、甘くて幸せ》

《ポも、とても幸せ》


 シラさんとポ君もかき氷を気に入ってくれた。魔法大国クエルノ国はここロベルト国とは違い。暑い夏でもクーラー? 扇風機? の様な魔導具があって涼しいらしい。


「かき氷、おかわりぃ!」

《ワシもおかわりぃ!》


 カルロに聞こえる様に声を上げて、2人でかき氷の器を空にかかげた。厨房からカルロが出てきて何か言う前に。


「そのぐらいにしなさい。マリーナ、トラ丸、食べ過ぎはお腹を壊すよ」

《お腹イタイタになる》


「ええ!」

《ええ!》


 ヴォルフ様とクロ君に止められて、シラさんとポ君、カルロにコクコク頷かれて、3杯目のおかわりは叶わなかった。


「さてと午後の授業をはじめようか」

「はじめましょう!」

「じゃ、トラ丸に乗って僕の屋敷に移動だ」

「はい! トラ丸、行こう」


《よし任せろ!》


 午後の授業は魔力と風魔法の使い方の復習。その授業を始めるために、広い裏庭があるヴォルフ様の屋敷へ移動する。私の未熟な風魔法で屋敷を壊さないためと、毎回シラさんとポ君に結界を張ってもらっている。


 私は可愛いと思うのだけど。


 その結界を張るときの姿を、シラさんは他の人に見られてたくないらしい。


「マリーナ、トラ丸、準備はできたかい?」

「はい」

《おう!》


「それじゃ向かおう!」


 ヴォルフ様の屋敷に移動する私達の元に。王城で仕事中のカカナお母様が真っ白な制服と真っ白な魔法使いのロープを羽織り、ジロウに乗って飛んで来る姿が見えた。


(え? カカナお母様とジロウが姿を現して飛んでいる? ……何か起きたの?)


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