表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/106

25

《ねぇトラ丸、魔力石を作るのって難しいね》

《なら、コツを掴めばいいんじゃないか?》

《コツかぁ、それがまた難しいのよね》

《諦めるな、やり続けろ!》


 朝の支度と朝食を終えて、私とトラ丸はお母様に貰った木箱をのぞいていた。中には魔石(魔力石)になる透明な石がたくさん入っている。貰ったあと何個か挑戦してみたのだけど、美味くいかず何個か石を砕いてしまった。


《わかってる。お母様もはじめは難しいと言っていたわ、挑戦あるのみ》

《そうだな。ところでマリ、おめかしして今日は何かあるのか?》

《うん、今日は魔法の先生が来るの》

《魔法の先生?》

《そうそう》



 トラ丸と話していると、コンコンコンと扉が叩かれた。


「マリーナお嬢様、魔法の家庭教師がいらっしゃいました。いま応接間にて、お嬢様をお待ちしております」


 街に待っていた魔法の先生が来た。


「わかったわ、トラ丸行きましょう!」

《おう!》


 いつものとおりトラ丸を頭に乗せて、応接間に向かった。




 応接間の前で足を止めて深呼吸した。今朝、朝食の時、お母様の話ではステキな先生だと話して。お父様は粗相のないようにしなさいと言っていた。


(優しくて、ステキな先生だといいなぁ)


 緊張しながらコンコンコン扉を叩き、扉を開けスカートを掴み頭を下げた。


「ごきげんよう、本日からよろしくお願いします」


「よろしく、マリーナ嬢」


 中から聞き覚えのある声に顔をあげた。


 え?


「ええ? ヴォルフ殿下? 魔法の先生って殿下だったのですか?」


 隣国、魔法大国の王子が私の先生? 彼の後ろにはお茶会であった側近のシラさんと肩にポ君もいた。焦る私にトラ丸は頭の上から呑気に声をかける。


《別に、いいんじゃないか?》


「そうだけど、お忙しいのではないのですか?」


「やる事はしっかりやってきたし、平気だよ。ちゃんと父上と母上にも許可も取ったし、魔法の先生としても教えられる実力もある。2人とも喜んで送ってくれたんだ……僕じゃ役者不足かな?」


 私はブンブン首を横に振った。

 嬉しいに決まってる。


「お会いできて嬉しいです、ヴォルフ殿下、クロ君」


「僕もマリーナ嬢と、トラ丸に会えて嬉しい」


《ボクも会いたかった》

《ワシは――嬉しいかな》


 同じ歳で隣国の王子が私の魔法の先生。お父様とお母様は私が聖獣を持ったから許してくれたのかな? 他の先生は少し怖かったから――嬉しい。


「マリーナ嬢まずはじめに、僕を呼ぶとき殿下はやめてね」


「はい、ヴォルフ先生」


「クッ」

《ポッ!》

《プッ!》


 え? シラさん、ポ君、クロ君が笑った。


「……先生もいいけど、そうじゃない」


「そうじゃない? でしたら……ヴォ、ヴォルフ様」

「うん、正解! これからそう呼んでね、マリーナ」


「⁉︎」


 笑った顔が可愛くてドキドキした。前世と、今世をたせば私の方が年上になるのに……男性に対する免疫がなさすぎて、頬を赤くするしかなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ