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「え? トラ丸は神様に頼んでここに来たの」

《そうだ、マリにお礼が言いたかった》


 屋敷の帰りテラスでお母様とお茶の後、部屋でトラ丸の話をベッドの上で話を聞いている。まあ、私にそのときの記憶がないのだけど、トラ丸が言うには――車に轢かれそうになった、トラ丸を私が助けたみたい。


「へぇ、私がトラ丸を助けたんだ」

《ああ、身をていして助けてくれた……ワシなんかを何故?》


 それ聞いちゃうの?


「トラ丸がどう私のことを、思っていたのか知らないけど。私は友達だと思ってたから?」


《友達か、ワシは美味い飯をくれる人間だな》


「ハハ、そうなんだ……でも、なんで? トラ丸がここにいるの?」


 私が助けたのなら、まだトラ丸は元気にあの世界で生きているはずだ。


《寿命だ。マリのおかげで野良猫でも楽しかった》


「寿命かぁ。楽しかった? ふふ、トラ丸にはたくさんの仲間がいたものね」


《ああ、いた》


 でも、なんでトラ丸はここに来たのだろう? 

 元の世界で、新しい人生を生きていけばいいのに。


「私はトラ丸に会えて嬉しいけど。神様に頼んでまで聖獣になってよかったの?」


《ワシがどんな姿でもいい、マリにまた会いたいと願った。そうしたらこうなったまでだ》


 私の会いたかったなんて、嬉しいことを言ってくれる!


「そっか、コレからよろしくね」

《よろしく頼む》


 そのあと、私達はパレットが夕飯に呼びにくるまで、仲良く爆睡した。






「デリオン殿下がそんなことを言ったのか。僕の可愛いマリーナになんてことを言ってくれるんだ、あのバカは……出来が悪いだけじゃないんだな」


(お父様?)


 家族で夕飯をとっている。お父様は庭園でのことは聞いておらず、お母様から話を聞いて静かに怒りを吐いた。


「まったくそうよね、いつまでもウチのマリーナを目の敵にしちゃって、自分が蒔いた種だって気付かない」


「ああ、気付いていれば謝るはずだ! それを気付かせない陛下と王妃にも問題がある。一人息子だから甘いのだな」


「甘いも甘い、もう激甘よ」


 うーん。せっかく家族揃っての、食事は美味しく食べたいかな? 


「お父様、お母様、私は今日のことすっかり忘れました。デリオン殿下のことなんか考えず、楽しく食べましょう」


 それに賛成なのか、お母様の隣にいるジロウと、頭の上に乗っかるトラ丸も頷く。


「マリーナの言う通りだな。ところで聖獣を手に入れたそうだが……僕には見えないな」


 お父様は聖獣が見えないと言った。聖獣が自ら姿を現さないと、魔力の低い者には見えないらしい。だから、庭園で姿を現したジロウにみんなは驚いたのだ。


 あ、あの子は違うか。側にヒョウの聖獣がいたもの。

 それにあの子が「願え」と言ったから、願いトラ丸が私のところに来てくれた。


 一度はあなたが! って思ったけど、お礼は言いたいかも。


 ――また会えるかな?


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