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ジロウはお母様のところで私を下ろしてくれた。お母様に近付こうとしたけと、怒られるかもと足が止まる。


《マリ、甘えればいい》


 頭の上のトラ丸は簡単に言うけど、どう甘えていいのかがわからない。前世の私は両親に甘えた記憶がない。そして、マリーナも両親に甘えたことがない。


 手を伸ばせば届く距離なのに……遠く感じる。


「カカナお母様、私……」

「気にしなくていいのよマリーナ。あのダメ殿下はいつまで自分のした事がわからず、私の可愛いマリーナを傷付けるのかしらね」


 両手を広げ、お母様は私を抱きしめてくれた。

 ああ――温かい。お母様の腕の中って、こんなにもフワフワで気持ちがいいんだ。


「お母様ぁ……」


 私はお母様に抱きつき、しばらく腕の中でワンワン泣いていたのだけど……辺りが冷え冷えしてきたように感じる。あんなに温かかったお母様の胸の中が寒い?


 まさか? ヒェ――お母様が、静かにキレていらっしゃるぅ!!


「お母様、カカナお母様、落ち着いて! そうだ! お母様みてください」


 頭の上にずっといたトラ丸を掴み、お母様に見せた。


「マリーナ、それは聖獣じゃない? 何処で手に入れたの?」


「えーっと、話をすれば長くなりますが……」


 元々は魔法大国クエルノからの、殿下へのプレゼントだったと。ジロウの風で何処からか飛んできて、私にくっつき、こうなったと説明した。


 お母様は一瞬呆気に取られ、フッと笑った。


「あの、おバカな殿下よりも、ウチの子が"聖獣の卵"と"聖獣様"に好かれた。オホホホホ――! あのおバカに聖獣はまだ早すぎですのよ!」


「お、お母様! ここ一応、王城です」


 慌てて止めたのだけど、お母様は。


「別にいいのよ、私の可愛いマリーナに向かって酷いことばかりおっしゃる殿下が悪いのです! それを止めることをしない、甘々なあの方達はもっと悪い!」


 あの方達ってまさか、国王陛下と王妃⁉︎

 すぐ、カカナお母様の口を止めなくては! 不敬罪になる!!


 私はお母様に抱きついた。


「マリーナ、カカナお母様のこと大好き。マリーナ、ずっと言いたかったの」


「きゃあ――! ウチの子が一番可愛い! 誰があんなおバカな殿下の婚約者にさせるものですか! さあ、帰りましょうマリーナ」


 ここにいてはウチのマリーナが"けがれる"と、お母様に背中を押された。


「え? お母様、お仕事は?」


「別に、ここに居なくてもいいのよ。何かあったら魔法省から連絡がくるわ。それにしても可愛いブタさんの聖獣様ね」


 ブタさん……


《ワシはブタではない!》

《クク》

《笑うなぁ!》


「ジロウ、意地悪やめて! 違いますお母様トラ丸はブタさんではなく、可愛いネコです!」


 そう、福々して――モフモフで可愛い!

 お日様の香りで、お腹が一番モチモチでいいはず!


 まだ、触ったことないけど……


「まぁこの子、ネコだったの? そう、トラ丸と言うのね、これからマリーナをよろしくお願いするわ」


 トラ丸の頭をナデナデした。


《ああ! ドーンとワシにまかせろ!》


 胸を張るトラ丸。


(フフ、トラ丸……お母様にトラ丸の声聞こえてないと思うけど、まっいいっか!)


 お母様とジロウに乗らず、私とトラ丸と一緒に馬車に乗って屋敷へと帰ったのだった。


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