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バラが突風に揺れ、庭園内は一瞬だけ騒然としたが。ご令嬢、ご令息達に被害はなかったが。突風に煽られたデリオン殿下が椅子ごとひっくり返り、パラソルとテーブルが飛んだ。


「「デリオン殿下!!」」


 周りは、デリオン殿下がひっくりかえり慌てている。だけどデリオン殿下、みんなにもケガはしていみたい。


《ジロウ、すごい風だったけど、みんなは大丈夫?》


《フン! お嬢安心していい。ボクの風は人にも自然にも害は与えない。ただのイタズラ風だ》


《イタズラ風? なんだか可愛いね》


 殿下を心配して泣いている令嬢、周りに集まる貴族達。その中に私はいけないなぁ。


 乙女ゲームとは違い。マリーナはデリオン殿下には嫌われている。これなら彼の婚約者にならずに済みそうだし、プレゼントの刺繍したハンカチも渡せなくていいや。


 あのデリオン殿下の様子なら、私から貰っても捨てちゃいそうだし。


 ――可愛く出来たから、自分で使おうっと。



 今日は王城と推しが見られたし、よしとしよう。次に会うのは学園でかな?


 隣に座るジロウに。


《デリオン殿下への挨拶も終わったから、帰ろっか》

《ああ、帰ろう》


 庭園を後にしようとした私の顔面に。

 真っ白なモフモフがどこからか飛んできて、モフンとくっ付いた。


「きゃっ、なに?」

《お嬢?》

〈キュ――!〉



 なに、なに、なに? この気持ちの良いフワフワで、モフモフなものは? 

 私の顔面が幸福に包まれているぅ、幸せ~。


 癒される~。


《何? なぜ、こんなところに聖獣の卵が?》

《え? このフワフワ、モフモフが聖獣の卵?》


〈キュキュ、キュ――!〉


 顔から剥がそうとしたら、鳴きながらモフモフは暴れた。


《うわっ! ジロウ、この子なんて言ってるの?》

《ん? 聖獣の卵はしゃべらない。ボクはお嬢と初めて話した》


《うそ? 私とが初めて? この子キュキュ、すごく鳴いてるよ!》


「キュキュ、キュキュ――!!」


 それに、なんだかこの子怒っていない? 

 ジロウの突風で飛ばされたから?


〈キュキュ、キュキュ!!〉


《ジロウ、やっぱり、この子鳴いてる》

《お嬢、ボクには聞こえない》


 ――でも、この子は何処から来たの?


 捕まえようとした私の手から逃げて、頭の上にモフンと乗ったとき。



「その子に君の魔力をあげて! なんでもいい、好きな形を思い浮かべて」



「わ、私の魔力をあげる? 好きな形?」


 誰? だと。


 声が聞こえた方を見ると。私の側に紺色の高級な服を着た、青みがかった白銀の髪と水色の瞳をした見知らぬ男の子がいた。


 ――え? 誰ぇ~?


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