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 ワシの声が聞こえたのか、直ぐそいつは屋敷の外に出てきた。その男はカイ――姿を変えているが側にいる聖獣でわかる。


(ワシらはお互いが聖獣だとわかるよう、額に聖獣紋が刻まれている)


 それは人には見えない聖獣同士の絆。カイの側にいる、黒犬と鷹はクロとポだと直ぐ気付いた。はじめはマリに対してイタズラか何かでやっていると思ったが、奴らがこちらに来てからずっと、その偽った姿のままで正体をあかさない。


(だから、奴が姿をあかさないなりに、何かあるとのだと黙っていたが。マリを泣かせるのはちがう、手紙の一つくらい送れと、ワシはマリの兄として文句を言う!)


「なんだ、マリの聖獣トラ丸じゃないか。俺になにか用事か?」


《用事だと! おい、ヴォルフいい加減にしろ!》


 奴の正体を明かすと、奴の瞳の色が変わり少し動揺した。そしてワシに近付き、ガシッとワシの体を掴み屋敷の中へと連れ込んだ。


《ヴォルフ離せ、なにをする!》


 暴れると執務室のような部屋に入り、ワシをソファの上に下ろした。そして、カイはワシの前にひざまつき。


「ねぇトラ丸、このこと……マリは知っている?」


《⁉︎》


 いつものキツイめの、カイの言い方ではなくなり、昔のヴォルフのような話し方をした。


 ――だが、ワシは騙されんぞ!


「待って、話を聞かれるかもしれない。シラ、遮音の魔法をこの部屋にかけてくれ」


 誰もいない部屋に話しかけると、何処からかヴォルフの側近のシラとポが現れた。彼は頷き、部屋に遮音の魔法をかけた。


「ヴォルフ様、魔法をかけ終わりました」

 

「ありがとう。――で、どうして、トラ丸は僕の正体に気付いたの? 完璧に姿を変えていたのに……」


 ヴォルフは聖獣紋を知らないのか、ワシを見ながら首を傾げる。だが、ワシはそのことをヴォルフな話すわけにはいかない、聖獣紋はワシらにとって"秘密"だからと。聖獣として生まれたときに、聖獣王とした約束事なのだ。


《悪いが、ヴォルフにも言えない。これは聖獣王との約束だ》


「聖獣王との約束。そうか――聖獣について、僕にも知らないことがあるんだね、わかった。……ねぇトラ丸、いまから僕が言うことはマリ、いいや誰にも言わないでね」


《……誰にも? わかった》


 すんなりワシの話を受け止め、ヴォルフは別の話をはじめる。そのヴォルフの話に、ワシは驚くしかなかった。

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