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 特別な存在――それって、ゲームに出てくる聖獣?

 魔法大国クエルノで王族と、一部の貴族だけが持てない聖獣。


 ゲームの最終場面で、ヒロインはウサギの聖獣を隠しキャラ――クエルノ国の第二王子ヴォルフ・クエルノ様に貰う。その条件は攻略対象を全て終えて、ヴォルフ王子との好感度がMAXの場合ときのみ。


「私の可愛いお姫様にプレゼント、大切にしてくれよ」


「うん、大切にする」


 ヒロインとヴォルフ王子のシーンはよかったなぁ。



《……お嬢、手が止まってる》


「ごめん! ジロウ、ここも撫でていい?」


《好きに撫でてくれ》


 ジロウの頭、耳、背中を撫でた。ここでふと前世で会ったあの子を思い出す。友達がいない私の唯一の友達だった、といっても、あの子はジロウのように撫でさせてくれなかった。


 毎回、エサはすごい勢いで食べてたけど、向こうでお腹を空かせず、元気にやってるかな?


「ジロウ、気持ちいい?」

《なかなかよいぞ、気持ちよい》


「よかった」


 しばらくしてお母様がご飯を持って戻ると、私とジロウは仲良く、ソファーで寝ていたそうだ。


「あらあら、2人とも仲良しで妬けてしまうわ」




 その夜。屋敷に戻ったお父様にもお母様に話を聞いて、今日の事で「危ないから2度とするな」と注意を受けた。


「ケガがなくてよかった」

 

 本気で怒ってくれるお父様の姿に、マリーナは乱暴者だから……両親にも嫌われているのかと思ったのだけど。もしかすると両親は違うのかもしれない。


(甘えてもいいのかな?)


「ごめんなさい、お父様、お母様」


 カルロの大ヤケドを治した金色の光については「今後も調べなくてはならないわね」と、お母様は言った。




 翌朝、いつもより早起きをして両親と食事を取った。お母様の聖獣ジロウもいて楽しい家族での食事。その食事が始まって1週間経つ頃。


「そうだわ、マリーナ。王都まで、気をつけて来るのですよ」


「今日はマリーナを悪くいう輩もいる。そんな輩は気にしなくていい、嫌だったらすぐに帰りなさい」


「え? 私を悪く言う人? ……あっ、今日はデリオン殿下の誕生会の日(しまった忘れていた)……わかりました、お父様、お母様」


 毎日が楽しくて――誕生会のことを忘れていた。

 でもよかった、髪型とドレスはメイドのパレットと選んである、それを身に着けていけばいい。

 

 馬車で王城に向かうお父様と、ジロウに乗り飛んで行くお母様を見送った。


「さて誕生会は午後からか、しっかり準備しないとね!」

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