表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/42

6 鈴王寺(リンオウジ)

パチン


オニイサンが顔の前で両手をあわせて、ワタシを拝む


「ちょっと 付き合ってもらえないかな?」


「付き合う?」


「うち、小さい寺なんだけどさ ちょっと来てもらえないかな?」


「はあ?」


「隣の駅で降りてすぐの鈴王寺って小さい寺。助けてもらいたいんだ」


”助けて欲しい”なんて言われるのは初めてだ。でも、お寺さんかあ、色々と居たりするのかなあ?どうしよう?と思っているところに電車が入ってきた。


気が付いたら、ワタシはオニイサン達と電車に乗っていた。隣の駅って、学校方向へ戻るんだ?この前もこっち方面の電車に乗って行ったもんね。


「あの日、オニイサン乗り過ごしたんですか?」


「ん?ああ、あの時はね、 向かいに座ってるお嬢さんが、すっげえ俺の事、ってか 俺の周り見てるからさ。もしかして、視える人なのかなあって思ったら大正解!」


「え?見てたの分かってたんですか?」


「だって、すっごいジロジロ見てたでしょ?そのくせ 時々スマホを見たりして?気づかれてないと思ってたの?」


「はい」


「ぼくは 視られてるって気が付かなかったよ?」


少年、フォローありがとう。君はいい子だね。しかも、電車に乗ったら元気になったね?ひょっとして電車好きなのかな?


「あ、降りるよ!」


オニイサンが立ちあがるのと同時に、少年がオニイサンの膝からピョンと飛び降りる


「一駅分、幾らかな?」


「定期あるんで大丈夫です」


「そっか 俺も定期なんだ」



改札を出て、右手に歩くと、昔ながらの丸い郵便ポストがある。これもキラキラしてる。ポストってわりとキラキラしてるよね?


5分も歩かないうちに”鈴王寺”って書いてある門があった。


門を入ってすぐに目につくのは大きな木、なんの木だろう?それから、左手は墓地。正面が本堂だよね?で、右手のお家がオニイサンち?玄関大きいな。


お寺って、すぐそこがお墓だし、黒い穴やら、モジャモジャがいそうなのに、ここは空気が綺麗で、黒い輩は見当たらない。

そっか盲点でした!今まで黒い輩に苦しめられていたけれど、社寺仏閣、教会ならばアイツラは居ないのかな?

うーん、でも、今年の頭に友達と初詣行った時って、黒い輩にけっこう遭遇した気がするんだけどさ



「おー 明星、お帰り! 早いな? 友達か?」


声の方を見ると黒い作務衣のオニイサンが竹箒と大きなちりとりを持ってこちらに向かって来ている。


オニイサンが二人になっちゃうから、作務衣のオニイサンはオニイサン。少年に憑かれているオニイサンはコウゲツサンって言うとやっぱりどっちかわからないから、

うん、こっちのオニイサンはアカリさんって呼ぶね。


作務衣のオニイサン、アカリさんと似ているけど、キラキラしてない。アカリさんを振り向くと あれ?キラキラしてない。ん?少年は?大丈夫 居た。


「試験前だか――」


「こんにちは」


慌てて頭を下げる


「お、こんにちは」


作務衣のオニイサンがアカリさんに目配せする


「あ、お嬢さんの名前聞いてなかったね」


「あ!香月こうづきです。」


「「こうづき?」」


「はい すいません」


「なんで謝るの?」


「いえ、ワタシ キラキラしてないので申し訳ないですね 同じ名前で」


「「ははは」」


二人のオニイサンが声を揃えて笑った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ