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4 会話

当たり前だ彼はこの世の者でないモノなんだから そりゃあ違和感あるよね?


だって、ワタシが”お化け”=この世のものでないモノ と判断している基準の一つは影なのに、ホームには3つの影が落ちている。


「ねえ、少年って何者?」


「え?」


「なんで、このオニイサンと一緒にいるの?」


少年の目が泳ぐ。いや、ワタシは別に君がオニイサンに憑いていることについて何か言おうって思ってはいないよ。


「ねえ、お嬢さんは、幽霊と話ができるの?」


「あ」


オニイサンの驚いたような声に”しまった!”と思うがもう遅い。

こんなふうにお化けと関わったり、話たりするのは初めてだ。


あまりに少年がはっきり視えるから、それに、”普通に”話してくれるから、油断してしまった……少し嬉しかったし……


今、オニイサン”気味が悪い”って顔をしているんだろうな。そう思うのはしょうがない。それはわかっているけれど 思ってもせめて顔には出さないでほしい。鈍感なワタシでもやっぱり傷つくから……

オニイサンの顔を確認するのは辛いから少年から目を離せない。



「すいません もう帰ります ジュースごちそうさまでした!」


椅子から元気に立ち上がって、顔は上げるけれど、オニイサンは見ないようにして笑って頭を下げる


出てきた涙がこぼれないように、見られないように、ちょっとうつむき加減にして髪の毛で顔が隠れるようにして改札に足を向ける


「待って!」


少年がワタシの前に両手を広げて立ちふさがった。ワタシの気持ちも、都合も知らないクセにと腹が立つ


「ふーんだ、あんたなんてワタシは突き抜けることができるんだからね!」


視えるモノを全部避けて歩いたらワタシはまた”変な子”扱いだ。だから時々ワタシは友達の話に笑いながらお化けたちを突き抜ける。


今だってそうしてやろうと、足を踏み出そうとしたワタシが立ち止まってしまったのは、少年の必死な顔が、ワタシの顔に似ているような気がしたからだ。


その少年を突き抜けて”普通”の人がワタシの横を通り過ぎる。電車の時刻が近づいたのだろう、改札を抜けてまた人がやってきて、立ち止まったままのワタシをチラリと見て通り過ぎた。


どうしよう?このままここに立っているのは不自然だし邪魔だ。改札に向かおう



「二番線に電車が参ります ご注意ください」


アナウンスが入る。


「なにか、傷つけるようなコト言っちゃったみたいでごめんね。俺、この電車に乗るから」


いつの間にかオニイサンが、俯き加減のままでいるワタシのすぐ後ろにいた。

突然、声をかけられてワタシの両肩がビクリと上がる


「あ、驚かせちゃった?ごめんね」


「いえ、大丈夫です」


謝られて、反射的にワタシは振り返る。


「よかった」


オニイサンは、キラキラさんに囲まれたまま笑っていた。


「ワタシのこと、気味が悪いって思わないんですか?」


「え?炭酸の一気飲みしたら、誰だってゲップでるでしょ?」


「は?」



ちょうどそこで入線を知らせるアナウンスが響き、電車が入ってきた。


「またね!お嬢さん」


手を降って電車に乗り込むオニイサン、それから、オニイサンと手をつなぐようにしながら少年が振り向いて手を降った。


「またね?って、もう二度と会うことはないと思うけれど?」


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