後日談 ソラ=一期 永久(いちご とわ)
「永久!!!!!」
目が覚めたら、お母さんが大泣きした。
そんな事あるはずないから、これは夢だなって思ったんだ。
だって、知らない場所の 知らないベットで 知らない人が大勢いるこの状況が現実だなんて思えなかった。
ぼくは交通事故にあったんだと、その後ずっと意識が戻らなかったといわれたけど、ぼくが覚えているのは体育でサッカーやったこと、とか 帰りの会でなっちがふざけすぎて叱られたこと、くらいで、その後の帰り道で交通事故にあったことは全く覚えていなかった。
交通事故は、道路の向こうにいたお母さんのところに行こうとぼくが飛び出したことが原因らしい。けれど、ぼくをはねてしまったお姉さん=鳥野さんは毎日お見舞いに来てくれていて、ぼくが起きた時もあの病室にいたらしい。
お見舞いに来た鳥野さんは病室に入った所までしか記憶になくて、気が付いたら病院の医務室に寝かされていたらしい。でも、鳥野さんが来てくれた事とぼくの眼が覚めた事はなにか関係があるらしいってお母さんは思ったみたい。
「終業式も休んじゃったし、勉強は苦手なのに始業式の後に復習テストがあるんだよ 嫌だなあ。目を覚まして損しちゃったよ」
春休みだからと毎日来てくれる鳥野さんにぼくは愚痴った
「じゃあさ、私が教えてあげるよ。こう見えて私 先生になる勉強しているんだよ」
勉強が嫌いなぼくはもちろんお断りしたのに、翌日、鳥野さんは問題集をもってやってきた。
先生を目指しているという鳥野さんは教え方がすごく上手で面白くて、始業式までに休みの分はすぐに取り返した。
「復習テストが楽しみなんて初めて」
というぼくに、お父さんもお母さんも驚いたよ。そして 復習テストで小学生入学以来初めてというような点数を取ったんだよね。ぼくってやればできる子だったみたい。
それで、鳥野さんに家庭教師をしてくれないかとお父さんとお母さんが鳥野さんにお願いしてくれたから、週に一回鳥野さんはぼくに勉強を教えに来てくれることになったんだ。
「不思議なご縁よね バイト料も頂けて申し訳ないみたい」
鳥野さんは少し困ったように笑う
「事実は小説よりも奇なりって言うものね」
ぼくがそう言ったら、鳥野さんはまた笑った。
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