3 少年
「もしかして美少女だったりする?」
憑かれているって自分で言う割には 嬉しそうに言うオニイサン。噂に聞くコミュ強って方でしょうか? お化けが憑いていますっていう訳にはいかないよね。
「イイエ10歳くらいの男の子です」
今度はお兄さんによじ登ろうとしていた少年が驚いたような顔でワタシの方を見てから、首を振った。
「あ、違うらしいです。もしかして女の子?」
こちらを向いたままの少年がブンブンと大きく首を振った。
「年齢が少々違う?」
ワタシは思わず呟く
「ぼく11歳!」
あ、この子、声、出せるんだ。でも、オニイサンは声には反応しないで面白そうな顔でワタシを見ている。オニイサンには声は聞こえてない?
「本人が言うには 11歳だそうです」
「わお!11歳の少年が憑いているんだ それで それで悪そう?なやつ?」
「悪かったら、オニイサンたぶん体調悪くしてると思いますよ?体調どうですか?」
オニイサンは芝居がかった仕草でおでこに手をやって考えている、フリなのかな?
「うーん 平熱だし 至って元気」
「じゃあ 悪霊とかじゃないと思いますよ」
「そうかあ 君は悪い子じゃないんだね?」
オニイサンが誰もいないところを見ていう。少年はオニイサンの視線の先に移動した。けれど二人の視線が絡むことはない。
オニイサンは探るように少し頭を傾けて空間を見つめているし、少年もオニイサンの視線を捉えようと動かないでオニイサンを見つめる。
ワタシはどうしたらいいのでしょうか?
what shall I do?
ってこの前英語で習ったセリフが頭の中を回る
夕日の傾きとともに伸びた影がホームに落ちている。動きのない3つの影のうち、最初に動いたのはワタシの影だ
プシュ!!
ペットボトルの蓋の開く音に二人はワタシの方を見たけれど、委細構わずワタシはボトルに口をつけた。うーん、炭酸が口を喉を刺激するのが気持ちいい。
ワタシはこの場から去る完璧な作戦、つまり、このペットボトルを捨てに行くタイミングで立ち上がって、この場所から去る。という作戦を思いついた!
流石!陽!と自分で自分を褒めながら、ごぶごぶと三口のんで、口を離した。
ねえ、やったことある?炭酸の一気飲み!無理だわ
「ゲフ!!」
うわああああ ゲップが出てしまった 慌てて口を抑えたけれど出てしまったものはもう遅い 顔が赤くなる。
二人が目をそらしてくれたのがかえっていたたまれなくてうつむいた。しばしの沈黙の後
「まあ、生きてれば、色々、でますよね?」
少年よ、それはフォローか?っと彼の方に目をやろうとしたけれどなんだか違和感がある。まあ 当たり前だ彼はこの世の者でないモノなんだから そりゃあ違和感あるよね?
また夕方に投稿します