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3-10 閑話 上月明星の呟き

僕には3歳で亡くなった兄がいる


生まれる前に亡くなった、顔も見たことがない兄。輝星アキラ兄さんの事は好きだけど、もう一人の兄に会ってみたい。そう思うようになったのはいつからなのか?


星空せいらという名前の兄は天寿を全うして彼岸へ行ったのだ。両親も兄さんもそう言う。でも時折、親戚や知り合いに「明星ちゃんはお兄さんの生まれ変わりだね」と言われると酷く落ち着かない気持ちになった。僕は僕じゃないのかな?


「この寺には男児は跡取りの一人しか育たない」そうどこかで聞いて両親に本当かと聞いたら、両親はカラリと笑い飛ばした。「そんなのは子供が育たなかった昔の話だと」それでもいつのころからか、僕は本当はこの世に存在してはいけないのかなと

生きていることが少しだけ申し訳ないような気持ちを持つようになった。


兄さんが言うには、僕はちょっとだけこの世のものじゃないモノに好かれるらしい。しょっちゅうナニカをくっつけて帰ってくるらしい。

それは、僕が本当は”あの世に居るはずの星空”だからじゃないのかな?そんな気持ちにもなった。



あの日 学校帰りの電車で、本人はこっそりのつもりで僕をじっと見ている少女に会った。本人は見つかってないつもりなのが面白くて気が付かないふりをして 僕の方からも彼女を観察した。そして、気が付いたんだ。彼女は僕じゃなくて僕に憑いているナニカを視ているって。


その少女、ひなたちゃんに”少年が憑いている”と言われた時には星空兄さんじゃないかと期待した。

星空兄さんは他に居る。ならば、明星ぼくは僕だけの僕だと


輝星兄さんに”人型の何かが憑いている””明星に縁があるモノだから祓わない”と言われて期待が高まった。

星空兄さんから一字とって”ソラ”と名付けた。兄さんだったらいいなあっと思った。


陽ちゃんには叱られた。

お化けに名前を付けるなんて、ちゃんと責任を持てるのか。中途半端な気持ちで名前なんて付けてはいけないのだと

あきれたような顔で言われた。


ごめんね、陽ちゃんに心配かけたね。

でも、中途半端な気持ちなんかじゃないよ

ソラが兄さんとは関係なくても、ソラが僕を必要としてくれるならずっと一緒に居たいと思うよ。ソラに必要とされるなら、僕はココに存在してもいい。よね?



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