表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

White Room

作者: 星宮華涼



「では、質問を始めます」


 その言葉から物語は始まる。

 なぜ、ここの部分を切り取ったのか、それは面白いからだ。


「あなたの名前は?」


 資料に書いてあるだろう、ものをわざわざ聞いてくる。

 精神的なものに詳しいのならば、なぜ、精神を考慮しないのか。

 わざとなのか、考えることが出来ないのか。


「ここはどこ?」


 まさか、知能を疑っているのだろうか。

 意味不明だ。

 面白いことにお互いそう思っている。


 目の前に大きなカメラ、その横に白衣の人。

 ここに来たことは気に食わないが、この光景は面白い。


「なぜ、あのようなことをしたの?」


 分からないか?

 同じ人間なら、分かって当然のことだと思うが、何も難問を解けなんて言われていないのだから、初歩的なことだと思うが……。


「なぜ?」


 動機、それは気に入らなかったからだ。

 だが渋とく目の前にいる奴は聞いている。

 心の中で独白するのも飽きたことだし、口を開いく。


「分からないの?」


 その言葉にそれは固まった。

 声を出したのが予想外だったのか、答えた内容なのか硬直している。

 この状況をどうにかしたいが、目の前のそれよりかは頭は回っているため、どうにかできない。


「人を殺す、ということについて同じ人間なら理解でしょ? まさか本当に分からない?」


「お、教えてほしいな」


 無理やりの笑顔でそう答える。


「ニュースで見る殺人事件。人はそれを嫌悪するけど、別に異世界の話をしているわけでもなければ、身近な話を流している。なら、身近な人でもそうでない人でも、殺人に至った原因、その要因を人間は誰しも持っているっていうこと」


 そう区切り、それの顔を見ると表せない表情をしていた。

 楽しい。


「他人事にすることが間違っている。殺人というものを自分が犯さないという根拠はないでしょ?」


「いや、人には自分を律する心がある。だから殺人というものは他人事になるし、普通の人はそんなことはしないって――」


 ほら、典型的な言い訳をする。


「――普通の人。区別するのがおかしい、同じ人間なら一人でも殺人という結果に辿り着いた人がいるなら、可能性はゼロじゃない。何も人間全てが殺人とは言わないけど、可能性の話をしているの」


「可能性なら、しない人もいるはずだろ?」


「そう? あなたは思ったことないの、心の中で誰かを殺してやりたいって」


 その言葉にそれは再び固まった。

 反応が分かりやすい。

 精神的なものを勉強しているなら、もうちょっと相手に見抜かれないようにしないと……。


「気持ちが変わりやすい、思ったことをすぐに言葉に出す。一言でいうなら正直だった子供時代は?」


 そう、■の結論は人間は誰もが殺人を犯している。

 そこに刃物があったら、衝動的に要因を襲い、殺すだろう。


「それか、極論になるけど、あなたの親しい人を殺せば、あなたは■に殺意を覚えるでしょ? 人を殺人することなんて簡単だよ。恨まれるという状態になった人間、そんな人間の心なんてゼリーのように方向を向けやすいでしょ」


 誘導することで相手を殺人者にすることだってできる。

 退屈だった。

 壁の中、もっと言うなら白い壁の中……。

 本当に自分の心の中まで白いなってしまいそうになる。


「で、質問はそれだけ……」


「……ぅ」


 何かを呟いた。


「え?」


「違う……君、資料に書いてある人物と違う」


「何言ってるの? 思っていたのと違った?」


 何か慌てている。

 こちらから喋ったのに、ただ可能性の話をしただけなのに……。

 ただ正論を言っただけなのに……。


「ねぇ、あなたを――」


 心というものは変幻自在だ。

 それに一対一、白い部屋に押し込まれ、ただ一人の人間と会話をする。

 だが相手も人間だ。

 容易いとまではいかないけど、心というものを科医と呼ばれている人間以上は心得ている。

 震わせたものを掴み、魅了が如く操る。


 あぁ、眠い。

 ドタドタと激しい音、叫び声、惨い音。

 計四人が倒れ、血を流す。


「ほら、これであなたも殺人者」


 これが正に有言実行。

 自分の証拠は残さないが、逃げ出すことはバレるだろうが、指紋は存在しない。


「ふふ――」


 解き放たれた■……私。

 これで五度。

 手と足のみに血がついた白髪の少女は部屋を出て、廊下を歩く。

 精神科医、精神病棟。

 もう見慣れた風景、今まで退屈だったが、やりたい事が見つかった。

 平和に過ごしながら、それをやることにしよう。


 何だかんだ、場所が違えば白い部屋は好みかもしれない。

 親殺し、目撃者を殺し、そのマンションの住人を殺し……たった十二歳で大量殺人を犯した前代未聞の容疑者。


 人々は快楽殺人鬼と言ったが、彼女はそうではないと否定をする。


 じゃあ、何?


「自分は、ただまだ成長途中の女の子」


 ごく普通なことを言う。

 それはごく普通なこと……少女は人間であることを証明したかったのだ。




普段このジャンルを見る人は、私の作品は読まないと思うけど、作者名からマイページに飛んでみてね。


推理ものは好き、登場人物がサイコパスなものが好みですね。

短編としてこれからも出していければと……、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。思わず二回読んでしまいましたね。 良い設定だったと思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ