魔王の実力
作品のタイトル変えました
俺たちはスカーレットを寝かせたあと、すぐに走り始めた。
(ドルチェの言っていることが本当なら勇義とパルシィが危ない!)
ホールから庭まであまり距離はないが、この時だけは遠く感じた。俺たちが庭に到着した時には、ディアブロとパルシィが倒れ、勇義が勇者と戦っていた。だが、勇義が少し押されているようだ。スカーレットのときと同じように二人に聖属性の魔法をかける。
(ディアブロもここにいたのか。それよりも勇義が危ない!)
「勇義!あとは俺に任せろ!」
「っ!魔王様あとはお願いします」
勇義は、敵の斬撃を剣で弾いたあと、俺と交代した。
「まさか魔王から俺のところに来るとはな!」
「俺はお前に会いに来た訳ではない!俺たちの城に虫が入って来たから対峙しに来ただけだ!」
「この俺が虫扱いされるとはな!面白い。魔王の力を見せてみろ!」
「その前に一ついいか?」
「なんだ?早く言え」
「それじゃぁ遠慮なく…お前、なんで一人なんだよ。友達いないのか?」
「うるさい!」
勇者は顔を赤くさせながら俺に攻撃してきた。どうやら図星らしい。なんだか勇者が可哀想に思えてきた。俺は、固有技能『創造神』を発動させた。俺の目の前に剣が現れた。勇者の剣は足の長さほどしかないのに対し、俺の剣はその二倍ほどあった。俺はその剣で勇者の剣を弾いた。その後、勇者は怯まずに俺に斬撃を放ってきた。
「っ!なかなかやりますね。さすが魔王といったところですか」
俺は声も出ないほど驚いた。
「やれやれ…私が想像よりも強くて声も出せませんでしたか…」
(三割も力を出していない俺と互角になっているぐらいで調子にのってるのか?少し本気を出してやるか)
俺は、指先に球を作るようなイメージで魔力を集めた。俺は勝利を確信し、笑ってしまった。
「どうした?とうとう頭がおかしくなったのか?」
「いや、お前が負けるのに余裕ぶっているのがおかしくて」
俺の前にイメージした通りの火の玉ができた。
「何?」
勇者が俺に攻撃を仕掛けようとする。だが、俺の方が先に仕掛けていた。
『死の炎』
「そんな魔法、私が叩き…っ!」
勇者は俺の魔法を切ろうとしたのだろうか。だが、俺の魔法は真っ直ぐ勇者に飛んでいった。
(他のやつの魔法は切れても、俺の魔法を切るのは無理だろうな)
炎が消え、勇者が瀕死になっているのが見えた。俺は勇者の所まで歩いて行く。
「俺は優しいから、お前の敗因を教えてやる。一つ、勇者だからと調子に乗っていたこと。二つ、俺を怒らせたこと。三つ…」
俺は、勇者を見下すようにしていった。
「俺と戦ったことだ!」
勇者は、一生懸命俺の方を見ていたが、やがてぐったりとして動かなくなった。
七人目の勇者は、魔王によって殺された。
ーーー翌日の人間の里のある場所ーーー
「七人も死にやがって!全く…どいつもこいつも使えん奴らばかりだ!」
「国王様。次は何をいたしましょう」
「まだ魔石は有り余っておる!次は四人ほど異界から勇者を呼び出すんだ!」
「了解しました」
この時、俺たちは今まで以上に激しい戦いになることを予想もしていなかった。たった一人を除いて。