知らされる事実と配下たち
「ノーレッジ様が私たちを呼び出したじゃないですか」
(俺が呼び出した?誰かわからないやつらを?)
俺は渋々起きることにした。
「なんだこりゃぁぁぁぁ!」
目の前に広がっていたのは、見たこともない豪華な部屋と見たこともない五人の人…いや、魔族が驚いたようにこっちを見ているという不思議な光景だった。
俺の横に立っている奴以外全員跪いている。
「私たちを呼び出しておきながら呑気に昼寝して…あと、叫ばないでくださいノーレッジ様。うるさいです」
隣の奴が呆れ気味に言ってくる。俺は、何が起きているのか分からなかった。
(落ち着くんだ俺)
とりあえず自分を落ち着かせる。そこでふと気付いた。
(ん?俺の名前はノーレッジじゃないぞ…)
俺は嫌な予感がした。
「おいお前。鏡持ってるか?」
「私ですか?鏡ならありますが…何に使うのですか?」
「なんでも良いじゃないか」
隣の奴は渋々手鏡を渡してきた。俺はその鏡を受け取り、恐る恐る覗いた。
「なんだこりゃぁぁぁぁ!」
鏡の中に俺の顔はなく、違う誰かの顔が写っていた。しかもイケメンだ。
(このまま元の世界に行けたら…)
「うるさいです!」
その怒鳴り声によって俺の意識は現実に引き戻された。
「それで、私たちになんのようですか?」
俺は反応に困る。どうやってこのことを誤魔化そうか…
「だ!か!ら!要件はなんですか!」
どうやら怒っているらしい。俺は決心して口を開いた。
「今の俺には記憶がない。だから要件がわからない」
しばらく沈黙が続いた。
この沈黙を破ったのは、跪いている魔族の一人だった。そいつには、ツノが生えている。背中には長剣があった。子供の身長ほどの長さだろうか。それが二本もある。怖い。
「魔王様。それはどういうことでしょう」
「そのままの意味だ。今の俺には記憶がない」
「そうですか…」
隣の奴は少し寂しそうに言った。
「それより!みんなの名前を教えてよ」
「それもそうですね。お前たち!魔王様に名乗れ!」
「「「「御意」」」」
四人が声を揃えて言った。
「我は鬼童勇義と言う。鬼族だ。四天魔王のリーダーしている」
初めにそう名乗ったのは、さっきの鬼だ。
(四天王と四天魔王は違うのか?)
俺はそう思いながらも口に出さなかった。
「僕はパルシィです。副リーダーです」
短く名乗り終えたのは、少女の姿をしている魔族だった。ボクっ娘が実在していることに驚いた。
「俺はディアブロと言います!よろしくお願いします!」
元気よく名乗ったディアブロは龍のような容姿をしている。
「私はスカーレットです。四天魔王の中では一番弱いと言われます」
スカーレットは、吸血鬼のような翼と牙がついている。
「私はドルチェです。ノーレッジ様の秘書をしています」
最後にそう名乗ったのは、俺の横に立っている奴だった。悪魔のような容姿だ。俺はいろんな種類の魔族がいることに好奇心を持った。
「みんなの名前のわかったし、この国のことについて教えてくれ。」
「了解です」
ドルチェが食い気味に肯定してきた。だが、真剣な顔をしていた。