Chapter11. 巨漢ハンター
第一部完結まで、怒涛の毎週掲載です。
山崎はボクシングスタイルというキャラ前提を完全に忘れていて、
巨漢ハンター(テリーマン)の気分になっていたので、「テリーが行った!」と
自分で実況をつけながらブロンコフィストよろしく、
パンチを繰り出すそぶりを見せた。
まだ脳みそがメダカくらいである可能性もあるためだ。
脳筋肉ネフィリムは言葉でも念でもコミュニケーションをとってこないので、
おそらく自分をここに招いたような高等な宇宙人の部類ではないのだろうと思った。
「ウォー!ウォー!」とモンスター映画の怪物のごとく雄たけびを上げるものの、
動きの素早さは中1で太りすぎの同級生だった中野君程度で、
山崎でも余裕でかわせる程度ではあった。
ネフィリムは獰猛な雄たけびとともに山崎を追って円形闘技場を走った。
しばしこの追いかけっこが行われた。
ボクシングキャラという前提が吹っ飛んだ山崎は、
最終的にはカーフ・ブランディング(仔牛の焼印押し)
でとどめを刺したいという気分ではあったが、
現実的にはどうやらそれは不可能そうなことであった。
なので、そろそろ最終的にこいつをトドメることを考えねば、と思い始めていた。
巨人は賢くはないが、獲物を追いかけて捕らえるくらいの頭脳は
持ち合わせているようであった。