004:クエスト「迷子のフェンリル探し」(3)
俺は、スライム平原に到着した。
スライム平原は、その名の通り、スライムだけが出現するフィールドだ。
スライムは、最弱のFランクモンスターだ。
そのため、スライム平原は初心者冒険者向けフィールドとして有名だ。
スライムが出現し、こちらに向かってきた。
スライムは、青色のぷるぷるしたゲル状のモンスターだ。
攻撃方法は体当たりのみなので、足防具を装備していればノーダメージで倒せる。
俺は近づいてきたスライムを蹴り飛ばし、スライムを倒した。
スライム相手に、神獣王の剣を使うのはオーバーキルである。
塵一つ残らないだろう。
スライムは、非常にテイムしやすいモンスターだ。
初心者テイマーは、まずスライムをテイムして、配下モンスターとの接し方を学ぶ。
普通のテイマーなら、スライムを10匹ほど倒せば、スライムをテイムできる。
これまで、俺はスライムをいくら倒してもテイムできなかったが、今は、神獣王の剣を装備して、テイム確率が大幅に上昇した状態だ。
今なら、俺でもスライムを倒せるかもしれない。
しばらくの間、俺はスライムを倒し続けた。
◇
スライムを400体倒したが、それでも、スライムをテイムすることはできなかった。
「はぁ……」
俺はため息を吐いた。
……別のモンスターを相手に試してみるか。
諦めなければ、いつかきっと、俺でもモンスターをテイムできる日が来るはずだ。
……そういえば、俺は迷子のフェンリル探しのクエストを引き受けていたな。
スライム狩りに夢中で、つい忘れていたが、前金の分くらいは働いた方が良さそうだ。
俺は高台の上に立った。
「【サーチ】」
俺はサーチスキルを発動し、フェンリルの気配を探った。
サーチスキルは、遮蔽物のない高台などで発動すると、より遠くまでサーチすることができる。
「……ん?」
迷いの森の中で、かすかに、フェンリルの気配がある。
……もしかすると、フェンリルの子どもは迷いの森にうっかり入り込んで、出られなくなっているのかもしれない。
迷いの森は特殊フィールドであり、一度迷い込むと、正常な方向感覚を失うので、サーチスキルなどを持っていなければ、自力で迷いの森を脱出するのは極めて困難だ。
俺はスライム平原を出て、迷いの森に向かった。
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