耳かき美少女と無愛想な先輩君の苦悩
「・・・せんぱい、先輩、起きて下さい。もう6時になっちゃいますよ。私もそろそろ帰らないと怒られちゃいます」
「ん・・・んぅ・・・?」
・・・?
「あ、おはようございます、先輩♪」
・・・・・・
・・・ッ!?!?
温かく、優しい声に包まれて徐々に覚醒していく意識とともに目を開けると、間近にある花音の顔が目に映った。
「か、花音・・・・・・!?」
「はい♪先輩の可愛い後輩の、佐々木花音ですよー」
そんな茶化しを含んだ声を聞いている内に、段々と記憶が戻ってきた。そうだ、花音が部屋に来た後、そのままの流れで耳かきしてもらって・・・
「・・・あー、もしかして俺、寝落ちしてた?」
「もしかしなくても、グッスリ寝ていましたよー。起こすの、大変だったんですから」
「う・・・す、すまん・・・」
「それじゃ、先輩も起きたことですし、ここらへんで失礼させていただきますね。」
「ああ。耳かき、気持ちよかったぞ」
すると、花音は意外そうな顔をした後、思わず見惚れてしまいそうな笑顔で、
「はい!またお部屋で耳かきしてほしくなったら、いつでも言って下さいね!」
と言って、帰って行った。
* * *
わーっ!先輩に褒められちゃいました!こんなこと初めてです!何か、胸がポカポカしていい気分ですねー。
これで、先輩のハートをゲットしたも同然ですよ!お姉ちゃんにも帰って自慢しよーっと。
* * *
花音が帰った後、俺はしばらく心臓のバクバクが収まらなかった。
・・・ここに、さっきまで花音が座ってたんだよな・・・。とか、そういえば、女子を部屋に入れるのはじめてじゃん。とか、そんなしょうもないことを母さんに呼ばれるまで延々と考え続けていた。
ほんと何してんだろ、俺。花音に日和って大事なことを打ち明けもしないで。
タイトルが内容に若干あっていないかもと悩んでいる今日このごろ。1話1話が短い自覚があるので、次回からは1000文字超えるようにがんばります。