耳かき美少女と放課後
あと5秒・・・4・・・3・・・2・・・1・・・
キーンコーンカーンコーン
終わったー!!!!
7限目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、俺はとりあえず伸びをしてこの喜びを噛みしめた。
ホームルーム前のこういう弛緩した空気結構好きなんだよな。
すると、この空気を破壊せんとばかりに勢いよく後ろのドアが開かれた。
なんかデジャヴ・・・
「センパーイ!耳かきしに来ましたー!」
ほら!やっぱり!
「ちょ、お前今日2回目だぞ!」
「はい!私の溢れ出る耳かき欲を抑えられずに来ちゃいました!」
いや、そんな満面の笑みで言われても・・・
「うわ、あいつやっぱり・・・」
「いや、ち、違うから!無理矢理とかじゃないから!」
あぁもう!さっき誤解解いたばっかなのに!
「とりあえず外で待っとけ!」
「はーい」
***
あのあと好奇と軽蔑の視線に晒されながらも地獄のホームルームを何とか乗り切った俺は、今なぜか図書室にいる。
「先輩帰宅部だから放課後も暇ですよね!」
そんなことをほざきながら花音が引きずってきたからだが、何で図書室?ってか、「も」ってなんだよ、「も」って。俺が年中暇みたいに言うなよな。
実際その通りなんだけどさ・・・
そんな俺の疑問を知ってか知らずか、律儀に図書室の理由を教えてくれた。
曰く、「私は、先輩に学校の全部の教室で耳かきしたいんです!」とのこと。意味がわからん。
まあそんなこんなでいつも通り(と言ってもまだ2日目だけど)花音に耳を差し出した。
今回は図書室なので静かに息を潜めて耳かきされている。
ポリポリ・・・ポリポリ・・・
・・・あー、これやばいわ。周りが静かなせいで、耳かきの音が脳に直接響いて・・・
フーッ
ッ!?
「ふふっ、先輩が可愛過ぎて、ついイタズラしちゃいました♪」
「そ、そうか・・・」
「あれれ?照れてるんですか?」
「うっさい!照れてなんかない!ニヤニヤすんな!」
「ふふっ♪そういうことにしておきましょう♪」
・・・はぁ、この小悪魔な後輩に慣れる日は来るのだろうか。
そんなことを思いながら、耳かきをされる俺であった。