耳かき美少女と昼休み
いやー、やっぱラブコメっていいですね。書くのも読むのも楽しいわ。
「センパーイ!耳かきしに来ました!」
昼休み、昼飯を食べながら友達と話していると、
そんなユニークな台詞と共に教室のドアが勢い良
く開けられた。
「お、おい!何しに来たんだよ!」
「?だから言ったじゃないですか。耳かきしに来たんですよ」
「そういうことじゃなくてだなあ!」
あーダメだコイツ。人前で耳かきすることに一切の躊躇がね無え。
「とにかく!どっか人目に付かないとこに行くぞ!」
「おやおや?そんなに私と二人きりになりたいんですか?照れちゃいますね」
「だからそういうこと言うなっての!変な噂立っちまうだろ!」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
「え?誰あの可愛い子?」
「春樹にあんな可愛い彼女がいたなんて・・・」
「くっそぅ!リア充許すまじ!」
「ってか今耳かきしに来たって言ってなかった?どういうこと?」
あっ、もう手遅れですね。そうですか。って納得出来るかよ!
「あのー先輩?そろそろ行きますよ?」
「だーっ!後で誤解とくから絶対覚えてろよ!いや、やっぱ忘れてくれ!」
そう言いながら引きずられていく俺を、困惑気味の表情でみんなは見送って行った。せめて殺してぇえ!
***
「何だったんだ、今の・・・」
「わからん。が・・・春樹はたった今から俺らの敵だな」
「うーん、あの子、どこかで見たことあるんだよね・・・」
***
「ハァ、ハァ・・・おい、今頃絶対教室でネタにされてるぞ」
「えー?私は気にしませんよー?」
「お前の話じゃねーよ!」
あの後散々走らされて、俺達は今屋上にいる。この学校の階段、無駄に長いんだよ・・・
「そんなことより、耳かきしましょうよ!」
「そんなことってお前・・・ほら、好きにしろよ」
あの告白の1件以来、俺達はある約束をした。
一つ、俺は花音のことを思い出すまで花音に一日一回耳かきさせること。
一つ、お互いを名前で呼び合うこと。
一つ、お互いの学校生活に支障をきたすようなことはしないこと。
なんだが・・・
「早速破ってんじゃねーよ・・・」
「先輩何か言いましたか?」
「いや、なんでもね」
実は、俺も花音に耳かきしてもらうこの時間は嫌いじゃなかったりする。
なんだかんだ言って、美少女に耳かきしてもらうというシチュエーションはやっぱり嬉しい。
あーあ、こうやって甘やかすからいけないんだろうけど。この関係は、当分終わりそうもないな。
そう思いながら予鈴が鳴るまで、存分に耳かきされてやった。