耳かき美少女は気付かない
「・・・花音来ねーなー」
莉音に呼び出された後、教室に戻っても花音は来ていなかった。
まあ、昼休みの間殆ど居なかったから帰ったんだろうと思って放課後待っていたが、来る気配がない。
今日はもう来ないのだろうか。
「しゃーない、帰るか」
* * *
家に帰った俺は、ベッドに寝転びながら花音との接し方について考えていた。
「んー、やっぱりこのまま気づいてないフリするのが一番か?」
でもなー・・・。
後ろめたい気持ち隠したまま耳かきされても嬉しくnゲフンゲフン、気まずいんだよな。
そんなことを考えていると、
「センパーイ!どうして先に帰っちゃったんですか!」
突然扉が開かれて、不機嫌気味の花音が飛び込んできた。
2回目だからそこまで驚きはしなかったんだけど、
「・・・なあ、何でそんなに簡単にウチのセキュリティ突破してくるんだ?」
「あれ?今日はあんまり驚いていませんね。ちょっとつまんないです」
「悪かったな!それで、どうやって入って来たんだ?今日は母さん居なかったろ?」
「それはですね。昨日先輩のお母様にあったときに合鍵を渡してもらっていたんですよ」
怖ッ!!何この子、もしかして愛が深いタイプなのか?
「別にヤンデレとかじゃありませんよ?彼女なら合鍵位持ってても良いって、渡されただけです」
「そっちかよ!?」
「ねっ?私悪くありませんよね?」
「いや、もらう方もどうかとおもうが・・・」
そして、息をするように思考を読むのやめてくれ・・・。
あーもう、何か真剣に考えるの馬鹿らしくなってきたわ。
そもそも、高校入ってすぐに告白してくる時点で行動力ありまくりだったわ。
コイツに関しては、深く考えない方が正解なのかもな・・・。
「あ、ところで先輩」
「何だ?」
「昼休み、お姉ちゃんと何話してたんですか?」
ゴホッゴホッ!!
「ど、どうした急に?」
え?まさか、見られてた・・・?
ってか、何で一日で姉妹揃って俺を咽させに来るんだよ。
「いえ、2年生のフロアに行ったときに、たまたまそういう話が聞こえてきまして」
「あー、そういうこと。・・・待て、俺とアイツのこと、噂になってんのか?」
「はい。どうやら、お姉ちゃんが先輩に告白する、みたいな感じの話になってるっぽいです」
「何でだよ」
「空き教室に呼び出した、っていうのが勘違いを生んだのかもしれませんね」
「嘘だろお・・・」
俺、コイツ等に振り回され過ぎじゃね?
「あと、先輩の家が近いのも原因のひとつかもです」
「ん?何に近いんだ?」
「私達の家ですよ?」
「え、そうなん?」
「もしかして、ご存知なかったんですか?先輩、お姉ちゃんと顔見知りっぽかったので、てっきり家の場所をしっているものだと・・・」
「そんなに仲が良かったわけじゃないからな。そうか、そんなに簡単にウチに来れるのも、そういう理由があったからなのか。ちなみに、どのくらい近いんだ?」
「建物をひとつ挟んだ隣です」
いや近えよ!!むしろ何で今まで気づかなかったんだよ!
「これからは、勘違いされないように注意しないとな」
「頑張ってください。まあでも、話してた内容がわたしのことだって知られれば、誤解はとけると思いますよ?」
「そんな他人事な・・・」
あれ?何で花音は話の内容まで知ってるんだ?
「おい、花音ーーー」
「それじゃ、そろそろ帰りますね!」
そう言って、花音は帰って行った。
「何だったんだ、一体・・・。結局、耳かきもしなかったし」
やっぱり花音のお姉ちゃんは莉音のままでいきます!




