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Side 花純

「は?」


冷たい課長の声で我に返った。私は失礼を承知で申し上げた。

「営業さんたちの間で事務員達を落とすゲームでもやってるのかと思いました・・・」

「そんな営業がいたのか!?」

「いえ、聞いたことはないですけど」

「じゃあなんで」

「課長が!」

「え?」

「課長みたいなハイスペックな人が私に告白するなんてありえないからですよ」

「なんだそれは」

眉間に皺を寄せた彼も素敵。絵になるかっこよさだ。けれど何をいっているのだろうか。理解ができない。

「課長は色んな人から狙われているのは知ってますか?」

「知ってるけど」

「ならなんで私なんですか。もっと美人でもっとかわいくて、いい女ならいくらでもいますよね?」

「そうだね」

「だったら」

「でも、君がいいんだよ。君のことが好きになったんだ」

「課長・・・」

「ああ、それが理由で断ったらダメだよ。俺が、君を、好きといってるんだ。外野は関係ないだろ?」

「あ・・・」

「俺から告白しといて何だけど先方との時間が押してる。あんみつ、食べ終われそう?」

「あ・・すぐに!」

我に返って目の前に出されていたあんみつを搔きこんだ。



今日は仕事で不手際があり、営業課長である篠田航(何度もいうが当社の御曹司)が先方へお詫びに行くのだ。

見積書がおかしいことに気付いた先方が、当社の経理部に金額の再確認依頼をしてきたのだ。

経理部が作成しても内容に熟知している部署は私達が所属する販売部門なので、営業事務である私が確認することにした。確認した結果、見積書のフォーマット税率が前税率で計算されていた。それに気づいた私はすぐ課長に報告した。


「篠田課長、この書類チェックしてほしいのですが」

私は彼が座るデスクの隣に駆け寄り、書類に記載されているミスをしている箇所を指でなぞりながら説明をした。いつも迅速に片をつける彼を私は尊敬していた。イケメン課長という見た目だけでなく、仕事ができて低姿勢な彼にときめいたことがあるのは私だけではない。この会社中といっても過言ではないくらい彼の存在は大きかった。

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