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Side 花純
「沢木さん」
「は、はい」
「さっきの告白のことだけど」
「こっ、告白・・」
え?篠田課長、本気ですか?
「本気だから。彼氏とかいないよね?」
「え、ええ。いませんけど」
「じゃあ付き合ってほしい。別に好きじゃなくていいから気軽に付き合ってほしい」
「え、気軽とは」
当社の御曹司とお気軽に付き合えるわけないでしょう!
「そんなに深く考えなくていいから」
いや、深くっていうか私も課長も一応、結婚適齢期だよ?大学生みたいにお気軽に付き合ってみようみたいなノリじゃないのよ!
「いえそれは」
「とにかく」
矢継ぎ早に彼は言葉を紡ぐ。
「俺は君が好きだから、君が俺を好きじゃなくてもいいから、付き合ってほしい」
ちょっと!それは反則でしょ!
こんなかっこよくてイケメンな課長に俺のこと好きじゃなくていいから付き合ってくれとか、好きとかおおよそ冗談じゃない真顔でいわれたらノックダウン・・・
気付けば私は壊れた人形のように首を縦に振り続けながら「は、はい」と返事をしてくれた。
どんなシンデレラストレーリーだこれ。




