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点検、或いはリハーサル

そうして、そんなこんなで準備期間はほぼ終わり。おれはリハーサルとして色々と設置した借りた教室類を点検していた。

 なお、実はこっから更に隠し通路はあるのだが、そいつの入り口は仕掛けと装飾で塞いである。魔法鍵なんで魔法が使えないおれは開けることすら不可能だが、一応これ秘密の通路だしな。

 

 「竪神、音響入れてみてくれ」

 と、おれは虚空に向けて話しかける。そうすれば、おどろおどろしい音が聞こえた。

 頼んでアルヴィナが死霊術で呼び出した人魂やスケルトンが奏でる音を記録水晶に録音、それを今頼勇の合図で再生している。うん、雰囲気バッチリだ。

 ってか、魔法で音響とか出来るのやっぱり凄いな。機械仕掛けより大々的個人の能力による分、凄い奴なら嵩張らないしすぐに完成するし……

 

 そんな事を思いつつ、一つ一つ点検していく。うん、おれと桜理はほぼ飾り付けしかやってないから申し訳なくなってくるレベルだな。

 「さて、隠し場所はokと」

 ちなみに、あぶれた子を引き込んで当日の仕掛けを戻す作業は彼等にやって貰うことにした。鍵を探したりするもんな、毎回同じ場所に鍵がないと困る。

 ちなみに総勢9人の三交代制。あまり無茶ではないはずだ。

 

 「暗号の方は?」

 と、語りかけてくるのは制服に身を包み、そわそわとした心を隠せていない少年(しょうじょ)。足取りが踊るようで、実に楽しげ。

 それを言われ、おれは汚したような塗装をした板を貼った壁を見る。まあ、雰囲気作りとはいえ壁を汚したら問題だからな、その辺りはハリボテだ。

 

 そんな壁には血文字にも見える赤い色で何かが書いてある。これが暗号だ。

 で、とおれは振り向く。そっちにもちゃんと暗号が貼ってあり、良く見れば一部が欠けているんだよな。

 そして、欠けてる部分を辿ればそれが数列になっていて答え。扉に掛けられた南京錠的な鍵を開けられるって寸法だ。

 

 それを確認しながらおれは頼勇が用意してくれた魔法鍵に答えの数字を……

 「オーウェン、君が入れてくれ。おれに魔力がないから反応させられない」

 「あ、そうだった……竪神君達がそれっぽく作ってくれてるけど機械じゃなくて魔道具だもんね」

 あははと笑って、少年が6桁の数字を入れれば、鍵がすっと抜けるようになった。

 

 そして、響くナレーション(cv:ロダ兄)。うん、ちゃんと機能してるな。

 

 「よし、後は」

 と思いつつ、おれは最初の部屋の装飾を改めて確認する。結構ホラーものっていうか、お化け屋敷的な装飾が多い中に各所可笑しなものがある。

 「で、此処にそれっぽく全体のヒントが落ちてて……」

 おれはん?と振り返った。

 

 「なぁオーウェン?」

 「あれ?どうしたの皇子?」

 「まあ各部屋にヒントとなる物品を散らばらせて、それらから何で参加者が閉じ込められたのか、犯人は何者で何を思っていたかが推測できる……ってのが大きなシナリオだろ?」

 うんうんと頷く少年。桜色の前髪が揺れる。

 

 「となるとさ、クリアして貰うための脱出ゲーム。ヒント品はもうちょっと目立たせる方が良いのか?」

 「うーん、どうだろ?露骨すぎても逆に面白くないし……」

 むむむ、と唇に手を当てて考え込む桜理、うん、どこか小動物。

 

 「あ、でもこの部屋は最初。壁を見て欲しいって部屋だから此処だと部屋に置いてあるより壁にある方が良いかも!

 ほら、謎解きの仮定でちゃんと探してれば見付かるようにして……」

 「例えば今回、対の壁にある二つの暗号に気が付いたとして、残る壁の片方は今の脱出の扉。んじゃ、もう片方……遂には扉とどんな縁あるもんなんだろうな、ワンちゃん?

 ってどうだい?」

 ひょいと不意に現れたのはロダ兄。犬の意匠のみを持つから分身アバターだな。ホントナレーションとか進行役はお任せって奴だ。平行して幾つもの事が同時に出来る。

 

 ふんふん、とおれは置いてあるヒントを取ると、壁に置いてみた。

 下手したら見落とすが、良い感じかもしれない。謎解きなのに謎に関連しそうな場所を探さなかったら見落として詳しくは分からない、それで良いのかもしれない。

 

 「うん、実際に設置してみると改善点出てくるな。

 あと二日後にはもう本番だ、頑張ろうなオーウェン、ロダ兄、そして竪神?」

 「……他とはなしかい?」

 「残りは当日だけと、もう仕事終わりだからな……

 でも、当日やる皆も、シナリオ書き上げてくれたエッケハルトも感謝してるよ」

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