乙女ゲームで国を滅ぼし悲劇をもたらす最強非道の悪役令嬢に転生したので、相棒の邪神様と救われない人々を救います
私の人生は平凡なものだったかもしれない。
けれど、自分にとっては十分に満足のいくものだった。
希望の大学に入り、卒業後は職場での人間関係もそこそこ順調。
恋人はいなかったけど、今は仕事が楽しいし別にいいかなって。
たまの休日には友達と遊びに出かけたり、一日家にこもって趣味の乙女ゲームに集中したり。
けれど、そんな日々は――突然の交通事故であっけなく終わってしまった。
……そのはず、だったんだけど。
どういうわけか、ここにいる私はそんな前世の記憶を思い出している。
よりにもよって、こんなとんでもないタイミングで。
「――貴様を、運命に導いてやろう」
あー……。
このシーン、見たことある。
尊大な態度でこちらを見下ろしてくる華やかな女性を前に、私は頭を抱えた。
……状況を整理しよう。
私の名前はブランシェ=ペロー。
今年で十歳になる、この国の公爵家の長女だ。
そして、ここは前世で私がハマっていた乙女ゲーム『フェアリー テイル ラヴァーズ』の世界。
どうやら私は、ゲームにそっくりの世界に転生をしてしまったらしい。
そんな馬鹿なって私だって思うけど、間違いない。
ヨーロッパ風でいてどこか違う異世界の国や風景、果てには人物まで、なにもかも私の知っているゲームそのままなんだから。
そんな衝撃的な事実を、ビックリするほどあっさりと私は認めていた。
それはきっと、前世の記憶を取り戻した今日このときまでも、頭のどこかで既視感みたいなものを感じていたからなんだと思う。
やっぱりかー、みたいな感じだ。
だから、ここで内心私が頭を抱えていたのは、自分が転生したって事実に対するモノじゃなくて。
転生したキャラクターが、問題だったのだ。
なにせ、ブランシェ=ペロー。
残虐非道な『血まみれ赤ずきん』なんて!
……ブランシェ=ペローは、乙女ゲーム『フェアリー テイル ラヴァーズ』シリーズの記念すべき第一作の登場人物にして、主人公と敵対する悪役令嬢であり、倒されるべきラスボスだ。
公爵令嬢であった彼女はこの国の王の正妃となりおおせると、あらゆる手段を尽くして実権を握り、悪逆非道の限りを尽くす。
その性根は、他人の苦しむ姿をなにより楽しむ生粋のサディストだ。
拷問処刑なんでもござれ。
その悪役ぶりはハンパではなく、バッドエンドではおよそ登場人物全員を血の海に沈める。
ぶっちゃけ、私もたどり着いてしまったいくつかのバッドエンドはちょっとしたトラウマだった。
なに考えてるの制作陣。
人の心はないの?
魂が抜けた真っ白な頭で、そんなふうに思った夜が私にもありました。
いや。ゲーム自体はすっごく面白かったんだけどね……。
もちろん、ハッピーエンドではきちんと主人公たちは幸せになる。
ブラックでシリアスなシーンも多いだけに、主人公と攻略対象との糖分多めのイベントではそれはもう胸をドキドキさせられたものだった。
一方のブランシェはといえば、悪逆の報いを受けるかたちで討ち果たされ、めでたしめでたしだ。
まあ、今や彼女は自分なので、めでたしとか言ってる場合じゃないんだけど。
……あああああああ。ホントどうしよう。
ちなみに、『フェアリー テイル ラヴァーズ』シリーズは、みんなよく知っている童話をモチーフ……というか、カリカチュアしている。
私が転生した第一作は当然『赤ずきん』だ。
赤ずきんをモチーフにしたブランシェ=ペローというキャラクターは、いつも着用しているかぶりものが返り血で真っ赤に染まることから、公式ホームページでは『血まみれ赤ずきん』と紹介されていた。
まあ、実際にかぶっているのはドレスに似合う美しい婦人用帽子――前世だとビスクドールなんかがかぶっていたようなアレ――に近いモノだったけれど、なんにせよ赤ずきんをモチーフにしたキャラクターであることには違いない。
アニメ化もされた第一ルートをはじめ、大抵のルートで『血まみれ赤ずきん』ブランシェ=ペローは『銀色狼』の異名を持つ隣国の王子に倒される。
そして、ブランシェのせいで滅びかけていた国は、国民の歓喜の声とともに豊かな隣国に併呑され、復興の道を歩み始めることになるのだ。
赤ずきんが狼さんに食べられることでハッピーエンドになる、ちょっと皮肉が利いた結末というわけだ。
まあ、童話も有名なグリム版以前だと赤ずきんが狼に食べられたまま話が終わるものもあるらしいから、ある種の源流回帰でもあるのかもしれない。
ともあれ、複数いる恋愛攻略対象のいずれのルートに入るにせよ、ブランシェが倒されるのが、彼女が十八歳のとき。
つまり、私の命はあと八年ってことで……。
……これはヤバい。
なにがヤバいって、もうその運命は動き出してることだ。
「どうした? 人の子よ、喜ぶがいい」
目の前の女性が尊大な口調で声をかけてくる。
彼女は私の部屋に突然現れた。
とても華やかで、どこか妖しい雰囲気をたたえた、圧倒的な存在感を放つ美女だ。
豪華な服に包まれた体は抜群のプロポーションで、艶やかな褐色の肌はどこかエキゾチックな印象。
銀糸のような髪が、室内で風もないのに揺らめいている。
圧倒的な存在感は、人間のものではありえない。
というか、頭の横にねじれた角が生えてるし、瞳が金色で白目のトコが黒いし、スカートの下からは竜を思わせる尻尾が伸びていて、極めつけに足が床から浮いている。
そして、それはまったく不思議なことじゃない。
なにせ彼女こそが、この世界で『神』と呼ばれている存在のひと柱なんだから。
では、なんでそんな存在が私の前に現れているのか?
それには当然、理由があるわけで……。
「貴様には、わらわの祝福が授けられた。この『血と暴虐の女神ターリア』のな」
やっぱり……。
これも、ゲームの通りみたいだ。
乙女ゲーム『フェアリー テイル ラヴァーズ』には、祝福システムというものがあった。
この世界で生きる人々は神の祝福を受けており、特殊な力を得ることができる。
たとえば、主人公には『光と希望の女神』の祝福が授けられていた。
で、私ことブランシェ=ペローの得るのが『血と暴虐の女神ターリア』の祝福だ。
ターリアはこの世界では最高クラスの邪神で、広く世界で信仰されている正義の神陣営とは敵対する存在とされている。
そして、その祝福はとてつもなく高い戦闘能力と同時に、極端な残虐性を与えるのだ。
まさにラスボスの祝福。
……これが自分のこととなると、ホント勘弁してほしいんだけど、話はそれだけで終わらない。
恐る恐る手を頭の横のあたりに触れると……やっぱりあった。
これまではなかった、つるつると硬質な感触。
見なくてもわかる。
目の前のターリアに生えてるのと同じ、ねじれた角だ。
これがターリアの祝福を受けた者の証であり、ゲームでブランシェ=ペローが『血まみれ赤ずきん』と呼ばれる格好をしていた理由でもあった。
邪神に祝福を与えられた人間は異端認定されてしまうので、かぶりもので証を隠さなければならなかったのだ。
そのうえで、ゲームの彼女は自分が『光と審判の女神アストラ』の祝福を受けたとウソをついていた。
さすがラスボス、たいそうお顔の皮が厚くいらっしゃる……。
まあ私のことなんだけど。
今はもう他人事じゃない。
こうなった以上、事実を隠さなきゃいけないのはゲームの彼女と同じだ。
とはいえ、そうして正体を隠して先延ばしにしたところで、結局のところ行きつく先も同じなわけで……。
ハッピーエンドが私を殺しにくる。
かといって、バッドエンドは阿鼻叫喚の地獄絵図だ。
まいったなあ。
本当に詰んでる。
うん。
だっていうのに、目の前の彼女はなんなんだろうか。
「祝福の証をくれてやった。ありがたく思うがよいぞ」
胸を張って、のたまう美女。
こっちの気も知らないで、ずいぶんと自慢げだ。
「どうした、人の子よ? 直答することを許す。これで貴様は運命に導かれるのだ。なにか一言あろう」
「……」
「それとも、喜びのあまり声が出ないか。ふふ。それも無理ないが」
うーん。
なんだか……。
なんだか、腹が立ってきたぞ。
そもそも、なんで私がこんな目に遭わないといけないの?
平凡な人生を送ってきた前世の私に、殺されなきゃいけないような理由はない。
それに、今のところ、今日まで生きてきた私――ブランシェ=ペローも、それはまあ貴族の令嬢として我がままなところはあったにしろ、さすがに殺されなければいけないようなコトはしていない。
折角生まれ変わったんだから人生を満喫したい。
平凡でも、楽しいっていえる生活がしたい。
なにより、この世界ではゲームの推しキャラたちが実在しているのだ。
だっていうのに、ラスボスへの転生?
邪神の祝福?
死亡確定の未来?
なにそれ。
「……冗談じゃないわ」
「ふむ? なにか言ったかの」
令嬢らしからぬ口調でつぶやいてしまったけれど、どうやら向こうは全然聞いていなかったらしい。
こちらの気も知らずに、あくまで上から目線で尋ねてくる。
そんな彼女に、ますますカチンときた。
……わかった。
わかりました。
そっちがそうくるのなら、いいでしょう。
運命に導かれる――なんて、冗談じゃない。
死の運命なんかに、私は負けない!
「……あなた、ターリアと言ったわね」
お世辞にも女の子らしいとはいえない、ちょっと低い声が出た。
そのせいか、聞いたターリアが一瞬怪訝そうな顔をする。
気のせいだと思ったのか、彼女はすぐに鷹揚に頷いてきた。
「む、そうだが。さっきも言ったはずだ。わらわこそがターリア。血と暴虐の女神である」
「そう。聞き違いでも、覚え違いでもないのね」
私は淡々とした口調で事実を認めた。
「残念だわ」
「残念……? なにを言っておるのだ、貴様は」
こんな反応は予想外だったんだろう。
ターリアは、今度こそ不可解そうな顔を向けてきた。
「それになんだ、その態度は。わらわは神であるのだぞ」
「……」
ゲームでのブランシェは祝福を与えた女神を信奉していた。
他のキャラクターも同じだったから、こんな反応になるのは当然なんだろう。
けれど。
私が、同じようにしてあげる理由はない。
「おだまりなさい」
「……今なんと?」
ターリアがぽかんとした。
なにを言われたのか、理解が追いつかなかったのかもしれない。
だったら、何度でも言ってあげましょう。
「おだまりなさいと言ったのよ」
「な、なんだと……」
ターリアは絶句していた。
神である彼女にこんなことを言う人間なんて、これまでいなかったに違いない。
だけど、そんなこと知ったことじゃないのだ。
この身の破滅を回避し、阿鼻叫喚の地獄絵図を駆逐する。
そのためには、このまま『血まみれ赤ずきん』になるわけにはいかない。
ただ、ブランシェ=ペローをラスボスたらしめた祝福はもう与えられてしまった。
これはもうどうしようもない。
だから、私が対処すべきは『そこから』だ。
まずはこの場面。
ゲームのブランシェ=ペローはターリアから与えられた祝福に感謝し、その性質に溺れた。
だから私はそうしてはいけない。
というか、そうでなくても、血と暴力に悦ぶサディストなんてごめんだ!
私は腕組みをすると、胸を張ってカッと目を見開いた。
「そもそも、突然、人の部屋に押しかけてきて礼儀もなにもないでしょう! 常識で考えなさい!」
「え、えぇえええ……?」
ノックもせずに見も知らない人間の部屋に入ってくるなんて、マナー違反もいいところ。
十歳の女の子の部屋となれば、不審者として通報されたって文句は言えない。
……もちろん、これがこの世界では普通のことなのはわかってる。
というか、私のなかで、これまで十年間ブランシェ=ペローとして生きてきた小さな女の子が「ギャー!? なんてことを!」って悲鳴をあげてる。
だけど、大事なのはとにかく『ゲームのブランシェ=ペロー』から離れることだ。
彼女なら、こんなことは言い出さないだろう。
これで少しはゲームの展開を外れたはずだけど……。
どうだ?
そう思い、私は高いところにある金色の瞳をギロリと睨みつけて。
――そこに、意外なものを見たのだった。
「じょ、常識?」
睨みつけた先に、だいぶ動揺した感じのターリアの姿があったのだ。
……あれ?
てっきり怒り出すかなと思っていたし、そうなればゲームのブランシェから遠ざかれると踏んでいたのだけれど……。
これはちょっと、予想外の展開だ。
「わらわがおかしいのか? いや、しかし……」
どうやら彼女は、思わぬこちらの反応にどうしたらいいのかわからないでいるらしい。
なんというか、ずいぶんと対応力がない。
まあ、これまでは神様ってだけでハハーッって敬われてきたわけで。
こんな状況は初めてだろうし、想定もしてなかったんだろうけれど。
というか、ゲームだと神としての姿しか見せなかったけど、一皮むくとこんな感じなのね。
「……ふむ」
そんな姿を見せられて、ふと思い出したことがあった。
確かこの世界での神様という存在は『運命に従って祝福を与える存在』であって、それ以上でもそれ以下でもなかったはずだ。
実のところ、そこには彼女たち自身の意思すら介在していない。
言ってしまえば、自動装置みたいなものだ。
そう考えてみると、ラスボスの祝福を与えられてしまったのは腹立たしいとはいえ、それを与えにきた彼女が悪いとも言い切れない。
そう気付いてしまうと、なんだかバツが悪い気持ちも湧いてくる。
うーん。
本当は、突き放すつもりだったんだけど……。
あんまり冷たく責めるのも可哀想かもしれない。
ただ、かといって今更態度を変えるのも、それはそれでなんだか変な感じがするのよね。
それに、狙ったことではないとはいえ、今のターリアからは超然とした雰囲気が薄れていて、私にとってはこっちのほうが好感が持てるし……。
私は少し考えこみ、結論を出す。
……うん。
決めた。
責めるのはやめるにしても、やっぱり態度はこのままでいこう。
そのほうが、私にとって自然だ。
「……」
それに。
これからのことを考えるのであれば、むしろ『そのほうがいい』とも思うのだ。
私がそう決めたところで、どうやら彼女のほうも混乱から立ち直ったようだった。
「い、いや。わらわは神だぞ? その反応はおかしいだろう!」
ハッと我に返った様子で言ってくる。
だけど、この程度。
予想の範疇だ。
私は溜め息をついてみせた。
「言うだろうと思っていたけれど、やれやれね。なにもわかっていないわ」
「な、なに? わらわが、なにをわかっていないと……?」
途端に、またターリアは動揺する。
まったく。仕方ないわね。
わからないなら答えてあげましょうか。
「いい、ターリア? ひとつ良いことを教えてあげる――」
私は腕組みをすると、胸を張って言い放ったのだ。
「――神様なんて、この世にいないのよ!」
「……………………………………は?」
愕然とした顔をするターリア。
フフンと笑う私のことを、まじまじと見つめてくる。
まあ、そんな反応も理解はできる。
なにせ神様その人に「神はいない」と言ったんだから。
だけど、私は撤回するつもりはない。
なぜならば!
「残念だけど、現代の日本人は神様なんて信じてないのよ!」
そう。
私には前世の記憶がある。
日本人として生きた記憶が。
それに加えて、実は私の前世は理系女子だったり。
いわゆるリケジョだ。
ま。私が入った生物系の学科は半分くらいは女の子だったし、今時そこまで珍しいものでもない。
単位はちゃんと取って卒業したし、研究室にも在籍していた。
懐かしいなあ。
研究室で指導してくれた先生、元気にしてるだろうか……車に吹っ飛ばされた私が言うのもなんだけど。
先生にはとてもお世話になった。
まあ、卒業の時のお別れ会で「きみはとてもやる気があっていいですが、たまに暴走することがあるので気を付けなさい」ってアドバイスの言葉を贈られたのは謎だったけど。まるで思い当たるふしがない。
卒業後は研究系に就職したら、仕事が楽しくて恋人とか作るのをすっかり忘れてしまったものだった。
……なんだか思い出したらテンションが上がってきたかも!
「というか、日本で自分は神様だって言って部屋に勝手に入ってくるヤツがいたら、普通に通報するものね。私の反応はむしろ穏当なくらいだと言っていいのではないかしら」
「ニホ……おい。おい待て。貴様はなにを言っている?」
「いいえ? もちろん、私だって他人がなにかを信じることを否定はしないわ。信仰は自由だもの。ええ。実際、私だって、受験のときには神社にお参りに行ったし、就活のお祈りメールが来たときには神を呪ったわ。――ただ、それはそれとして、神様なんてものはいないのよ!」
「ちょ、待て! 待てと言っておろうが! というか、意味はよくわからんが、とんでもなく都合のいいことを言っておらんか貴様!?」
わめくターリア。
だけど、そんなこと言われてもだ。
これ、割と一般的な日本人のスタンスだと思うし。
「別に普通じゃない?」
「……あ、あれ? わらわか? やっぱり、わらわのほうがおかしいのか?」
私が平然と返すと、ターリアはこめかみを押さえた。
目がぐるぐるしている。
混乱させすぎただろうか。
いろいろ思い出した勢いで言ってしまったけど、あまり前世のことを喋っていては、おかしな子と思われてしまうかもしれない。
日本人がどうこうというのは、これくらいにしておこう。
「とにかく、神様なんていないってこと。納得してもらえたかしら」
「……いや。いやいやいや! 納得いくわけなかろう!」
あら。
混乱しているうちに、さっさと結論付けてしまおうとしたのだけれど、案外しぶとい。
納得いかない顔で、ターリアは反論してきた。
「実際、わらわはここにいるであろうが。ならば、わらわはなんだというのだ」
もっともな疑問だった。
だけど、これにもちゃんと答えはある。
「あら。人が自分たちに理解できないモノを神様扱いすることはよくあることよ?」
「よくある……こと?」
言葉を失うターリアに対して、私は自信たっぷりに頷いてみせた。
たとえば、雷を見た昔の人は、理解できない大きなモノに神を見た。
だけど、科学が発展した現代社会でその現象は解明されて、そこに神様なんてものはいなくなった。
神様っていうのはそういうモノだ。
だから、目の前の彼女も。
「とはいえ、だからといって名前がないのは不便かしら。そうね――」
私は少し考えて、にこやかに提案する。
「とりあえずあなたのことは、神様(仮)とでもしておきましょうか」
「神様(仮)」
途端に、なにやら死んだ目になるターリア。
あれ? おかしいな。
なんでだろ。
建設的な提案のつもりだったんだけど。
首を傾げた私は、ふと気付いた。
「ひょっとして、気にさわったかしら? だったら、ごめんなさい」
「お、おお。さすがに不敬が過ぎることに貴様も気付いて……」
「正確にいえば『血と暴虐の女神(仮)』だったわね。ごめんなさい」
「……カケラも気付いておらんなこやつ! いや。わらわが気にしているのは正確さについてではなくて! というか、余計残念さ具合が上がっておるのだが!」
「なるほど。気にしているのは正確さではない? つまり、今の話にまだ疑問があるということかしら。いいでしょう。聞きましょう。『血と暴虐の女神(仮)』さん」
「おい呼び方! ついに名前みたいになっておるぞ!? さっきターリアと呼んでおっただろうが!」
ひどく心外そうに叫ぶターリア。
……さっきから思っていたけれど、この子、反応がいいのよね。
スレていないといえばいいのか。
素直に表情が変わるのがかわいい。
今の私にしてみれば年上のお姉さんだし、神様を自称しているくらいだから見た目以上に長い時間を生きてるんだろうけれど。
なんだか、からかいたくなってしまう。
クスリとした私は、憮然とした表情をするターリアに「まあそれは冗談として」と続けた。
「とにかく、私が言いたいのは神様なんていないってことよ」
私の主張は一貫している。
ここを譲るつもりはないと、声と表情とで示す。
そんな私の言動は、不可解なものにも感じられたのかもしれない。
「どうしてそこまで……」
ターリアの顔に困惑の感情が浮かんだ。
そこで私は、浮かべていた笑みを引っ込める。
そして、真摯な声で答えたのだ。
「大事なことだからよ」
「……大事な、こと?」
「ええ。とても」
虚を突かれた顔をするターリアに、頷きを返す。
そう。
これはとても大事なことなのだ。
なぜならば。
「神様はいない。だから――運命なんてものもないわ」
それは、簡単な理屈。
この世界では、神様が人々を運命に導く役割を担っている。
だけど、神様なんてものがいないのであれば、運命も存在しないことになる。
これはとても大事なことだ。
なぜなら赤ずきんとして狼さんに食い殺されることが、私の運命なのだから。
それがイヤなら、私は運命を否定しなくちゃいけない。
私、『血まみれ赤ずきん』ブランシェ=ペローの運命。
平穏に生きる人々を苦しめ、救いを求める人々を踏みにじり、多くの人々を悲劇の渦中に突き落とすこと。
運命に従うのなら、殺されるべき人々がいる。
運命に従うのなら、苦しむべき人々がいる。
運命に従うのなら、自由を奪われるべき人々がいる。
そのすべての悲劇の運命を否定した先に、私自身の望む未来がある。
もちろん、簡単なことじゃないだろう。
だけど……私にできないはずがない。
なぜなら私はブランシェ=ペロー。
国を滅ぼし、すべてを破滅させる最強最悪の悪役令嬢『血まみれ赤ずきん』なのだから。
すべてを悲劇に引きずり落とす力を以って、すべてを救ってみせましょう。
まずはそのために――私は、目の前の彼女に向き直ることにした。
***
――その少女のことが、わらわにはまるで理解できなかった。
十歳ほどの子供だった。
さらさらの栗色の髪に、ややきつい印象であるものの整った顔立ちは、将来の美しさを予感させる。
とはいえ、しょせんは世界中で祝福を受ける多くの子供たちのひとりだ。
わらわが祝福を授けるのは、これが初めてというわけではない。
邪神という性質ゆえに他の神々に比べれば非常に少ないものの、記憶もさだかではないほど遠い過去から、何百という子供たちに祝福を授けてきた。
これまでわらわが祝福を与えた人間は、感謝と喜びに胸を震わせていた。
そもそも、祝福というのは当人の性質に合ったモノが与えられる。
あるべきものがそうであるように。
それを、運命と言い換えてもかまわない。
だからこそ、これは祝福と呼ばれるのだ。
だけど、その少女は違った。
「神様なんてこの世にいないのよ!」
こんなことを言われたのは、長い年月でも初めてのことだった。
まさか神を目の前にして「神はいない」などと言うような人間がいようとは……。
言うまでもなく、とんでもない不敬である。
ただ、不思議なことにわらわは驚きはしても、あまり不快には感じなかった。
それはきっと、彼女の態度にはこちらを貶めたり、侮辱したりしようという意図が見られなかったからだろう。
侮辱しようとした結果として「神はいない」と言ったのではない。
彼女は当たり前のこととして「神はいない」と言っているだけだ。
これは子供らしい未熟で間違った支離滅裂な主張だろうか?
けれど、語られる言葉には確信のようなものが感じ取れた。
なにより、こちらを向いた目には十歳の少女とは思えないような知性が宿っていた。
そんな彼女が、こちらに手を差し伸べていた。
「ターリア。あなたに、手を貸してほしいの」
「わらわに?」
唐突な申し出に、再び驚かされる。
そんなことを言われるのも、初めてだったから。
「あなたにだけは言っておくわ。私は将来、この国を血の海に沈めるでしょう。あなたと一緒に」
「……なんだと?」
「なにもかもを滅茶苦茶にしてしまう。そのうえで、私は死ぬ。新生する国の礎として狼に食い殺される。それが私『血塗れ赤ずきん』ブランシェ=ペローの運命だから……」
彼女がなにを言っているのかわからない。
未来のことは神々でも知ることができないのだ。
ましてや人の子であればわかるはずがない。
だけど、子供のたわごとだと切り捨ててしまうには、あまりに彼女の瞳はまっすぐで、その言葉には真実の重みがあった。
「だけど、私はそんなのイヤ。殺すのも、殺されるのもまっぴらだわ」
沈痛な顔で未来を語った少女は、そこで強い表情を見せた。
「だから、協力者がほしいの」
「それで……わらわに?」
「そういうことよ」
少女が頷きを返してくる。
けれど、それは無理な願いだ。
「だが、わらわは……」
「わかっているわ。あなたたち神は、祝福を与えるだけの存在だというのでしょう」
その通りだった。
運命に従い、我ら神々は人々に祝福を与えるために目覚める。
そして、役割を終えればまた眠りに落ちる。
そうすることで、人の世の歯車を回す。
あるべきものがそうであるように。
我らはそのような存在だ。
……それだけの、存在だ。
ゆえに、誰かに協力するようなことはできない。
神であるならば、できない。
そう思ったところで、少女は言ったのだ。
「だけど、あなたは神じゃない」
「!」
そうだ。
彼女はさっきから言っていたではないか。
わらわは神ではないのだと。
「……まさかあれは、そういう意味だったのか?」
「ええ」
驚きとともに問い掛けると、少女はニッコリ笑って返した。
「だいたい、邪神が神様の責務に縛られているなんて、おかしな話じゃないかしら?」
あっけらかんと言ってのける。
その言葉はめちゃくちゃだけれど、不思議と筋は通っているように感じられて。
「――」
思い返されたのは、これまで神として過ごした時間だった。
とはいっても、思い出せるほどの印象的な出来事なんてひとつもない。
祝福を与えるために目覚め、再び眠りにつく自分。
寝て、覚めて、寝て、覚めて、寝て、覚めて、寝て、覚めて……。
その繰り返し。
ただ、それだけ。
運命に縛られているのは、なにも人々だけではない。
そんな自分に、疑問を抱いたこともなかったけれど。
彼女の差し出した手は、なぜだかとても魅力的に見えて……。
不思議と胸が高鳴った。
神としてこの世界に存在してきた長い年月のなかでなかったことが、立て続けに起きている。
まるで、なにかが動き出そうとしているように。
それは運命と呼ばれるものだろうか。
いいや。きっとこれは、そうではなくて――。
「あなたの意思でこの手を取ってほしいの」
強い意志を込められた瞳が、こちらに向けられている。
「――」
その眼差しに吸い寄せられるように。
けれど、確かに自分のうちから生じたものに従って。
伸ばした手が、幼い少女の手と重なって――。
***
――この瞬間。
運命に定められたふたりが己の意思で手をたずさえて、あらゆる悲劇の運命をくつがえすための騒がしくも心躍る日々は始まったのだった。
***
「思えば、早いものね」
王城に用意された部屋で、私は窓の外の光景を眺めながら、すべてが始まった日のことを思い出していた。
あれから、六年が経った。
出会いの日からずっと、私たちは一緒にいる。
運命をくつがえすための相棒として。
気を許し合える誰かとともにいられることは幸せだ。
喜びを分かち合い、想いを寄せ合い、考えを共有することができる。
そう。いまだって――。
「私ね、神様の正体は寄生虫ではないかと思うのよ」
「突然なにを言い出すのだお前は」
思い付いたことを口にすると、ふよふよ隣に浮かんだ相棒はとても嫌そうな顔をした。
「いえ。ターリア。ちゃんと聞いてちょうだい。実際、いいところいってるのではないかと思うのよ」
「その入りで良い結論に落ち着いたコトが、これまでの付き合いで一度でもあればよかったのだがな」
「いいから聞いて」
つれない態度を取るものの、なんだかんだ付き合いのいい相棒がこちらの話に耳を傾けるのを確認して、私は嬉々として自分の思い付きを語り始めた。
「知っての通り、神様(仮)っていうのは、世界に直接は干渉できない。祝福を与えられる人間以外には基本的に見えないし触れない。そうよね?」
「ああ。そうだな。基本的には。それで?」
「だからね、気付いてしまったのよ」
私はフフンと胸を張ると、自分の頭を指で示してみせた。
「見えるのは本人ばかり。これはつまり――脳内に入ってきた寄生虫が、幻覚を見せている可能性が考えられるのではないかしら?」
「考えられるわけなかろうが、このたわけ。ドヤ顔でなにを言っておるのだ」
……あら。
自信満々に言い切った途端に否定されてしまった。
素晴らしい閃きが降ってきたので、ぜひこの喜びを共有したいと思ったのだけれど……。
どうやら不思議とウケが悪いみたいだ。
私が首をひねっていると、ターリアは文句を言ってきた。
「そも、わらわを寄生虫扱いとはどういう了見だ」
「というと?」
「……わらわは相棒ではないのか。ちょっと酷いのではないかの」
黄金の瞳を不満そうに光らせて、唇を尖らせてくる。
私は首を傾げた。
「もちろん。私にとってターリアは、たったひとりの大切な相棒よ。この世界の他の誰だって、あなたに替わることなんてできないわ」
「ゴフッ……!?」
ストレートに伝えると、途端に咳き込むターリア。
友人どころか知り合いと言える相手さえいない永い時間を過ごしてきた彼女は、こういうのに弱いのだ。
だからこそ伝えなくちゃと思う――のが、半分。
残りの半分は、もちろん、反応が可愛いからだ。
私の相棒はとても可愛い。
濃い色の肌でもわかるくらいに真っ赤になった顔を手で隠して、ターリアが言い募ってくる。
「お、お前。そのような恥ずかしいことを、臆面もなく!」
「だって事実だもの。いくらだって言えるわ。ターリアは違うのかしら?」
「そ、それは……わ、わらわだって、お前のことを――」
もごもごと言いづらそうにするターリアに、私はにっこり笑って告げた。
「ターリアはかけがえのない相棒よ。そう、たとえ寄生虫でも!」
「――お前のことを、頭の良いバカ者だと思っておるよ! ええい、それは違うと言っておろうが! わらわの感動を返せ!」
ぎゃんぎゃん言うターリア。
えー? と疑問符を飛ばす私。
長い付き合いになった親友とのいつものやりとりだ。
自然と唇が緩む。
本当に、彼女の存在はありがたいと思う――こういうときは特に、だ。
「さて。そろそろ時間ね」
大事な相棒のおかげで、良い感じに気持ちもほぐれてくれた。
表情を改めたターリアが、尋ねてくる。
「行くのか?」
「ええ。もちろん。今日のこの日のために、私たちは準備をしてきたのだもの」
***
姿見で身だしなみを確認する。
特に気を付けなければいけないのは、角を隠す頭だ。
お気に入りの婦人用帽子は、前世だとビスクドールなんかがかぶっているような華やかなもので、朱色をベースにしてアクセントに黒のリボンと繊細なレースがあしらわれている。
華美なドレスも合わせて割と人を選ぶ服装ではあるのだけれど、そこはさすが悪役令嬢ブランシェ=ペロー、容姿負けはしていない。
「見た目だけなら完璧なご令嬢なのだがなあ」
「中身も完璧に擬態しているつもりではあるのだけれど」
「擬態と言ってる時点で駄目であろうよ。先日のこともそうだが、口の悪い義弟殿にあまり心配をかけてやるなよ」
「過保護なところがあるものね、あの子は」
「……いや。あやつがお前に並々ならぬ想いを向けているのは確かだが、あれは過保護というより、お前をよく理解しているからこそではなかろうかなあ」
他愛ないやりとりをしつつ、深くかぶった帽子が角を隠してくれていることを確認する。
そうして、私は部屋の外に出た。
「ブランシェ様、朱の棘騎士団、準備はできております」
そこに、片膝を突いて一礼する十名ほどの騎士たちの姿があった。
朱の棘騎士団。
王国に粛清の嵐を巻き起こしたブランシェ=ペローの手足になって動く、血塗られた騎士たち。
……というのは、ゲームの話だ。
いまや朱の棘騎士団は、国内最高の騎士団として知られている。
ここに集まっているのは、そんな騎士団のなかでも隊長格の騎士たちばかりだ。
一糸乱れぬ訓練された姿は壮観……ではあるのだけれど、前世の感覚を持っている私としては、仰々しくも感じられてしまって、正直、慣れないうちは内心ちょっとひいていたものだった。
とはいえ、最近では動じることなく労いの声をかけることもできるようになってきている。
「ご苦労様。ただ、別にそこまで気を張らなくてもいいのよ。なにも戦争をするわけではないのだから」
「いいえ。そうはまいりません」
騎士のひとりが答えた。
金髪碧眼の、まるで騎士物語のなかから抜け出してきたような青年だ。
若くして騎士団で一番隊の隊長を任されている彼は――実はゲームの攻略対象者でもある。
ゲームでは悪役令嬢ブランシェに剣を向けることもあった彼は、生真面目な口調で言った。
「この仕事には我が国の威信と、后たる御身の名誉がかかっているのです。この命に代えても成し遂げなければなりません」
「……この国の一の騎士と名高いあなたがそう言ってくれるのは嬉しいのだけれど、国の威信はともかくとして、私の名誉なんかのために命をかけることはないのよ」
「いいえ。私にとっては、それはとても大事なことですので」
うーん。
お堅いなあ。
これでも彼はプライベートでは私と親しくしてくれていて、お茶に付き合ってくれるときなんかには、こちらが思わずドキリとするような柔らかな笑みを見せてくれることもあるのだけれど、こういう場面では生真面目だ。
もっとフランクでもいいのに。
「あと、何度も言っているけれど、私は陛下の后ではないわ。婚約者よ。それも、かたちばかりの。だいたい、王としてはまだお若いとはいえ、英明で知られる陛下が私のような小娘を本気で后にほしがるわけないでしょう」
「はい。わかっております。今はそういうことにしておきましょう」
「わかっていない気がするのだけれど……」
私が溜め息をつくと、他の人には姿の見えないターリアがおかしそうに笑った。
「騎士たちからは相変わらずの人気だの。陰で暴れ回っておる甲斐があるではないか」
「……ちょっと。荒くれ者みたいな言い方はやめて頂戴。光の当たらない場所で助けを求めている人たちに、救いの手を差し伸べていると言ってほしいわ」
他の人には聞こえないように、ぼそりと相棒に返した。
この通り、これまでいろいろと動いてきたおかげで、ゲームの時と状況は変わっている。
私、ブランシェは王妃ではない。
国の実権を握ってもいないし、裏で残虐非道な行為に手を染めたりもしていない。
……いろいろあって王の婚約者にはなってしまったし、一部の騎士がどうも私個人に忠誠心を寄せているフシがあったり、裏でいろいろ動く羽目になってしまったりしているけれど。
まあ、状況が変わっているのならよしだ。
実際、ゲームでは使命に縛られるばかりだった女神も、絶望に落とされた騎士も、意思と自由を奪われた王様も、悲劇の運命に囚われてはいない。
破滅の運命に立ち向かうために準備はできている――はずだ。
ちなみに、今日こうして騎士たちが集まっているのは、さっきも言った通り戦争なんかがあるからではなく、外国からの使節を迎えるためだ。
まあ、私にとってだけは戦争の始まりと言ってもいいかもしれないけれど。
なにせ今日現れる人物は、私にとって覆すべき『運命』そのものと言えるから。
私は騎士たちを引き連れて、王城の門前へと移動する。
そこでは騎士団に所属する他の騎士たちが、到着した一台の馬車を迎えようとしているところだった。
私は彼らに合流すると、その先頭に立つ。
馬車が停止し、降りてくる正装の一団。
そのなかに、ひときわ目を引く銀髪の青年がいた。
軍人のような均整の取れた体つきと、怜悧で端整な顔立ち。
それでいて、アイスブルーの瞳にはどこか猛々しいものを秘めている。
そんな見覚えのある彼と、私は初めての挨拶を交わした。
「初めまして、ブランシェ様。私の名前はフェンリ=フォン=ブリッツブルク。このたび、貴国と同盟を結ぶことになった、帝国の第一王子です」
「これはご丁寧に。私はブランシェ=ペローと申します。『銀色狼』と称えられる殿下のお噂はお聞きしています」
――帝国の『銀色狼』。
そう。
この青年こそが『血まみれ赤ずきん』を喰らう『狼』だ。
そんな彼を前にして、私はスカートのすそをつまんで優雅に一礼する。
そして、顔が隠れたところで、ぼそりとつぶやいた。
「……ヤッバ。推しの顔が良い。鼻血出そう」
「お前それ毎回やっておるな」
聞こえていたターリアが呆れたように言った。
でも、仕方ないじゃない。
ゲームで見たあの推しが実在しているのだ。
息を吸って、この世に存在しているのだ……!
ああ。別に交際とかはできなくていい。
私はただ、最推しの主人公と彼の恋愛模様を、モブ兵士のひとりとして見守ってきゅんきゅんしていたい……。
まあ実際には、モブどころかラスボスなんだけど。
だから、残念だけどいつまでもボケてはいられない。
きゅんきゅんしてられるのも、生きていればこそだ。
たとえ殺される運命にある相手だろうと、推しは推しだけれど。
たとえ推しだろうと、殺されてあげるわけにはいかないから。
「本日は、殿下の案内役を務めさせていただき光栄ですわ」
私は頭を上げると同時に、頭を切り替える。
そして、自分を喰らい殺す運命に、宣戦布告代わりにとびきりの笑顔を向けるのだ。
「歓迎いたします。それでは、こちらに」
さあ、狼さん。
絶対に食べられてなんてあげないんだから。
2021/4/25 追記
続きを書きました。応援いただけた方、ありがとうございます。
上部の悪役令嬢短編のリンクから飛べますので、ぜひお読みいただければと思います。
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お読みいただきありがとうございます。
悪役令嬢ものは初めて書くので、まず短編として書いてみました。いかがでしたでしょうか。
面白いと思った方は、ぜひ下にある評価☆☆☆☆☆、ブックマークを押していただけますと嬉しいです。参考にさせていただきます。
ゲームの主人公、義弟、騎士、陛下あたりも設定は考えてあったんですが、短編の文字数だと話がとっ散らかるので登場させられませんでした。残念。
楽しんでいただける方が多いようでしたらそのあたりも書きたいと思いますので、参考にさせていただけましたらさいわいです。