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異世界でも普通が良いです  作者: シバトヨ
4/5

魔物は普通が良いです

 狼らのボス。その体躯は、ただでさえ熊のような大きさの狼達よりも、更に二倍から三倍ほどの大きさらしい。

 あまりの大きさから、雑魚はもちろんのこと、前の洞窟の主すらも戦わずに逃げ出した。と、そんな噂があるらしい。

 そして俺は、狼達の餌にならないように、少し怒り気味で『初心者の洞窟』とやらにやって来た。

「で? お前らのボスはどこに?」

「洞窟の奥だ」

 と、洞窟の目の前まで連れてこられて俺は思う。


 なんで、(おまえ)らのボスに会う必要があるんだ?


 餌が欲しいってことなら、コイツらが俺を殺したうえで運べばいいだけのこと。

 それをしないってことは、俺に何らかの問題解決をさせよう。という魂胆に違いない。

 もちろん、餌になるのは勘弁なんだが……面倒事の臭いがプンプンする。

「洞窟内の魔物は、俺達が喰っていく。安心して進むがいい」

「お、おう」

 安心できる単語がなかったんだが? え? 魔物が出るのか? それを食っちまうのか? ついでに俺も食べやしねぇだろうな?

 色々なーー主に食される事に不安を感じるが、断れば即座に俺が餌になる。

「はぁ」

 ここは従って、さっさとまともな街に行こう。




 魔物も生き物である。

「狼だっ!」

「逃げろっ!!」

 魔物同士の会話は、その魔物の系統であれば、ある程度は意思疏通が出来るらしい。

「や、やめてっ!」

「た、頼むっ! 子供たちだけはっ!!」

 ただ、狼とゴブリンでは、言葉の系統から会話が出来ないらしい。

「あぁあっ! 腕、腕がぁあ!!」

 あとは方言みたいな地域で訛りが酷いときくらいだろうか。日本なら青森と沖縄の人らが、現地の方言で会話出来るかどうか。

「パパっ!」

 ……出来んだろうなぁ。

「うぐっ……こ、子供達には指一本も触れさせんぞっ!!」

 ってか、


 めちゃくちゃ居心地が悪いっ!


 なんだよ! ゴブリンの言葉まで翻訳しやがって!!

 片っ端から噛み付いては腹に溜め込んでいる狼達には、ゴブリンの悲痛な叫びは聞こえてねぇみてぇだし!

 その狼の中央にいる俺! マジで悪役じゃねぇか!!

「お、おい、狼ども」

「どうした人間」

 口の血を拭けよ。

「じゃなくてだな……子供を襲うのは辞めたらどうだ? な?」

「子供? コイツらは全て成獣であろう?」

「そうでござる。身なりが小さい故、人間殿は小童(こわっぱ)と勘違いされているのでござろう」

 おい、武士風の狼。マジで子供が混ざってるんだが?

「く、来るなぁ!?」

 ……向こうもかよ。


 俺は一度、ここまで連れてきた六頭の狼を召集。

 これから先の魔物には、襲われた時以外は食い殺さないようにきつく指示した。

 従ってくれればいいんだがなぁ……

「半分くらいがヨダレを垂らしてたからなぁ……」

 ステレオな蹂躙劇は、まだ続きそうな予感がする。

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