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異世界でも普通が良いです  作者: シバトヨ
1/5

神様は普通が良いです

「え? 今、なんて?」

 どうやら昨今の神様というのは、老眼な上に耳も遠くなったらしい。

 仕方がない。もう一度、ハッキリと、大きな声で言ってやろう。

「だから、チートなんか要らねぇから、日本に産まれ直させろよ」

「いや……」

 神様は少し引いてから、

「いやいやいやいやっ! ここはっ! チート能力でもってイチャイチャハーレム無双をするに限るでしょっ!?」

 限らねぇよ。ってか、

「ハーレムも無双も要らねぇから。日本で新作のテレビゲームでもさせろ」

 俺の予想では、次の人生ではフルダイブ型のゲームが登場するに違いない。

 そうなれば、命のやり取りを全くしないで、安全に無双もハーレムも出来るはずだ!

 更に言えば、異世界の飯と日本の飯。どっちの方が口に合うか。考えるまでもない。

 ゲテモノや見慣れない料理が食べたいならば、海外旅行に出ればいい話だ。

「え? えぇ? 異世界でチートすれば、どれもこれも手に入るんですよっ!?」

「もうどうでもいいからよぉ~。俺を日本に転生してくれねぇ? なぁ?」

「それはダメです」

 おい。

「なんで異世界は良くて、元の世界はダメなんだよ」

 しかも食い気味で言いやがったぞ。それが腹立つ。

「そ、それは……企業秘密です!」

「お前は経営者か」

「いいえ! 神様です!」

 知ってるよ。ついでに年老いてるのもな。

「……どうせ、もう一人の奴がターゲットだったにも関わらず、」

 俺の推測を口にする度に、

「俺を先に殺しちまったから、」

 神様は滝のような汗かいては、

「証拠隠滅のために俺も異世界に送り込もうって魂胆なんだろ?」

 そっぽ向いた。ほぼ認めたな。この駄目神。

「………………」

「なにか言ったらどうなんだ? おい、どこ行こうとしてんだ?」

「と、トイレに」

「お前……そのまま逃げるつもりだろ?」

 図星だったようで、腰を上げかけた神様は、そのまま静かに腰を降ろした。

 おい、この神様からチート能力を貰って転生した奴は、本当に大丈夫なんだろうか。すごく不安になってきたぞ。

「まぁいい。俺も隠蔽に協力するから、日本の比較的豊かな家庭の子に転生してくれ」

「…………!」

 おい、今なんか閃いたみたいな顔が見えたんだが?

「分かったわっ! ニホンに転生させますっ! 今すぐにっ!!」

「おい、待て。なにか企んで」

「はい、さようならっ!」

「おいコラっ! 話の途中だろ……っ!」




 眩い光に包まれた俺は、その眩しさから回復した。訳なんだが……

「あの駄目神……」

 目の前に広がる大草原。広々とした青空。


 そこに羽ばたいている鱗状の体躯をしたトカゲのような生物。


「あのヤロウ……!」


 無理矢理、俺を異世界に転生しやがったっ!

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