27.8 花火――来年も――
最近は滅多に見かけない型抜きという店がある。
デンプン、砂糖、ゼラチンなどで作られた板状の菓子。それに描かれた動物や乗り物など様々なデザインの型を、爪楊枝など細い物でくりぬく遊び。型を割らず上手にくりぬくことができれば景品がもらえるが、店主が難癖をつけてきて貰えないということがほとんどである。
神奈達は祭りを堪能しつつ、会場隅の方の型抜き屋を見て呟く。
「型抜きか……大変そうだな」
「そうだね、難しそうだよ」
「やってみてもいいけど、もうすぐ花火の時間だわ。本殿近くでいい場所空いているかしら」
型抜き屋の周囲には店が存在しておらず、店自体が木陰に隠れている。木の幹で作られた机があり、そこには型抜きをしている者が数人いた。
相当に集中力がないとできない遊びだ。素人が手を出していい遊びではない。景品は金銭であっても楽しいかどうか微妙だと神奈達は思い、食べられるとしてもお腹は膨れているので通り過ぎようとする。
「ダバッシャアアアア、ホアアアアアア! ついにやり遂げたぞおおおお!」
どこかで聞いたことのある暑苦しい叫び声が轟く。
声がした方向に神奈達が目を向ければ、木の幹で作られた机にて立って叫んでいる者がいる。炎が燃え上がるかのような髪型で私服姿の男子は、神奈達のクラスで学級委員をしている男子だ。
「熱井君よね、あれ」
「型抜きで何か成功したのか? にしても叫びすぎだけど」
熱血男子でも熱すぎるのもどうなのか。周囲に迷惑なのではと神奈は思ったが、他の人までテンションが上がっているようだった。熱井と同じように叫んでいる人もいる。どうしてそんなことになっているのか、理由はすぐに分かった。
「ほらよ坊主、これが景品の五十万円だ……! よくやったな、ここまで完璧に仕上げられると難癖のつけようがねえ。完敗だ、すげえよ坊主は……!」
「すっげええ、これ最高難易度だろ!? 蜘蛛の巣をくりぬくなんて普通無理だぜ!」
「なんという執念じゃ……型抜き歴六十八年の儂でもできんかったことを、小僧が、こんな小僧がやりとげおった……! もう未練はないわい……!」
「ついにやったのね、もうかれこれ四時間は座って作業していたもの。滝のような汗を流した彼は報われるべきだわ」
型抜きだ。こんなに全員が盛り上がっている原因は型抜きなのだ。
看板に書かれている難易度の中では最高難易度の蜘蛛の巣。明らかにくりぬくのが不可能だと思うからこそ、五十万円という高金額な達成報酬。誰にもできなさそうなそれを、熱井は見事やりきったのだ。
相当苦しい戦いだったのは間違いない。
シャツが汗で濡れすぎて、許容量を超えて汗が垂れてしまっている。そのせいで地面に水溜まりができていて、顔も胴体もいたるところが汗だらけで、脱水症状を引き起こすのではと見ている者が心配になる。
手汗の出すぎで、貰った五十万円が入った封筒が濡れていくも彼は気にしない。
「ありがとうございます、ありがとうございます……! 僕はついに制覇したんだっしゃああああ! ほおあああああ! ふぉおおおおお! しゃああああああ! 五十万ゲッタアアアアアアア!」
(どこまで叫ぶ気なんだよ。もういいだろ、叫びすぎだよ。声帯心配になるから静かにしろよ)
まあ神奈達には関係ない。
確かに凄いとは思うしその努力は称えたいとも思うが、神奈達には花火が待っている。早く席をとらなければよく見える場所などすぐに取られてしまう。
「すごいね熱井君、あんなに叫んでる」
「叫んでることがすごいのかよ、いやまあ確かにすごい叫ぶけど」
「まあ私達は早く……神奈さん、あれ!」
才華が指をさす方向は熱井だ。
何かあったのかと思い神奈はもう一度目を向けると、黒い帽子を深く被った怪しい黒ずくめの男が熱井の背後に立っていた。
「しゃあああああ! しゃあああああ! よっしゃあうわっ!?」
「へっ、バカめ! 叫びすぎて注意が疎かになっていたな、五十万は貰ったああ!」
どう見ても怪しい男が熱井の手にしていた封筒を奪い、そのまま泥棒として逃走していく。
「待てええええ泥棒うううう! 僕のおばぶしっ!」
追いかけようとした熱井は疲労からかすぐに転倒する。
五十万円なんて大金を抱えてはしゃいでいるからこうなるのだ。そんな大金は早く隠してしまうべきだった。もっというならば、そんな大金を屋台の景品にするなと神奈は言いたい。
無防備だった熱井も悪いが、転んでも涙を流しながら立ち上がろうとしている。その必死さに……神奈は動かされた。
「まったく、しょうがないなあ」
泥棒の男は一般人から見れば速いだろうが、神奈から見れば止まって見える。追いつくことなど朝飯前で、ほんの少し足を動かすだけでもう泥棒の正面に移動していた。
男の正面に移動してすぐ、認識される前に神奈は跳んで手刀を振り下ろす。
「人のお金をとったらいけません!」
「なっぐぼがばっ!?」
何が起こったのかも分からず、強烈な痛みだけを認識した男はすぐさま意識を手放した。
封筒をあっさり取り返した神奈は、熱井の元まで歩いて行き封筒を傍に落とす。
「これからは気を付けなよ、特に大きなお金には」
「あ、ああ、ありがとう……」
先程までの熱気はどこへやら、周囲は驚くほど静かだった。太鼓の音も、誰かが足を後ろに下げた音も神奈にはよく聞こえる。
周囲の人間の目が怯えていた。お礼を告げた熱井でさえ、その表情は得体の知れないナニカに少し怖がっているようである。
(なんだ……やけに、視線が嫌な感じだ。今までこんなことなかったのに、身体能力が原因で怖がられているのか? でも私はいいことをしたんだよな……? 行動が、私が間違っているわけじゃないよな……?)
妙な沈黙が降りた。
理解できないような目線は神奈もよく経験するが、恐怖の視線を向けられるのは初めての経験で戸惑う。どこか息苦しさも感じるし、言葉には表せない異物感もある。この場で異物なのは紛れもなく――
「――神奈ちゃんすっごおい!」
静寂と恐怖の空間が破裂する。
誰かが喋ろうとしたのを遮り、一番に口を開いたのは笑里だ。
目を輝かせて笑いながら場違いのような賛辞を述べる。しかしその神奈が場違いに感じた一言は、この場をあっさりと呑み込んだ。
「す、すっげええ、あんな動き初めて見たぜ!」
「泥棒ぶっ飛ばすなんてまだ子供なのにやるなあ」
「ふぉっふぉ、まだまだ生きる価値はありそうじゃ。素晴らしいものを連続で見せてくれたことに感謝しなければ」
「スカッとしたわね! 今までの型抜きで溜まったストレスが消え去ったわ!」
「くっ、一瞬でも怖がった自分が情けない! 神谷さんに感謝を込めて僕は腹筋するぞ。五百回、いや賞金にちなんで五十万回だあ!」
いつの間にか神奈の息苦しさはなくなり、居心地のいい空間になっていた。
遠くから才華が走ってきて神奈は腕を掴まれる。そして足早に型抜き屋から離れていく。笑里もしっかりついてきているので問題はない。
少し神奈は困惑した。あの場を急いで離れる必要などあったのだろうかと、賛辞を受けて快適だった気持ちを維持しながら疑問に思う。
「急ぎましょう、花火……見る場所を取らないと」
「え、あ、ああ花火ね。オッケー行こう」
どこか焦っていたように見えたのはそのためか、あるいは他の考えがあってのことか。才華の考えは神奈には分からないが、とりあえず花火のため次の行動に移らなければならない。
花火が打ち上がるのはもうすぐで、神奈達はよく見える席を確保しに本殿の方へと向かう。だが残念なことに席は全て埋まっていた。ブルーシートを敷いて座っている家族や恋人、友人同士で来ている者達が占領しているのだ。
他の場所からでも見えなくはない。しかし本殿前から打ち上げられる以上、本殿付近にいた方がよく見える。
どこで見ようか三人で悩んでいると、ついに花火が一発打ち上げられてしまう。
黒い筒からミミズのような尾を引いて夜空に打ち上がった四尺玉は、星と見間違う高さまで上がると爆発して、赤い花を黒い空に咲かせる。
「始まってしまったわね。……仕方ないからここで見ましょうか」
「いや、少し悪いことかもしれないけど特等席に行こう……誰もいない場所へ」
言葉を理解出来ずにいる才華と笑里の脇腹に、神奈は腕を回すと駆けだす。
誰にも気づかれないように回り道で、何度も跳びながら本殿に近付き、さらに高く跳んで本殿の真上に移動する。平らになっている瓦屋根の上で神奈が二人を下ろすと、才華が腰をガクガクと震わせていたので心の中で謝る。
次々に打ち上げられる四尺玉。神奈の黒い瞳には夜空で咲く色鮮やかな花が、数秒で散っていくのが映されている。赤、緑、青、黄と様々な花達が咲いては散っていく。
本殿付近には人が多くいるが、さすがに本殿の真上には誰もいないに決まっている。他の見ている人よりも少し高い位置で見られるし、上を見れば夜空しか映さない。まさに特等席と呼べる素晴らしい席である。
「わあぁ、きれいだなあぁ」
「ちょっと罰当たりな気もするけど、いいのかしら……」
「いいんじゃないかな。神様だってきっと許してくれるさ」
神社の本殿に上ったくらいで怒りはしない。そんな神だと神奈は知っている。
何度も花火は打ち上がり、夜空はまるで花畑のようだった。花火が上がる夜空は幻想的な光景だと神奈は実感する。
きれいな夜空を見上げていると、才華が神奈にだけ聞こえるように小さい声を発する。
「神奈さん、さっき泥棒を倒したときは危なかったわね」
「どういうことだ? 別に攻撃は喰らわなかったけど」
「誤魔化す必要はないわ。笑里さんはどうか知らないけれど、私は気付いたから……あの場の空気に」
危ないというのは泥棒本人の話ではなく……倒した直後の空気。
才華が急いであの場を離れたのはそれが理由であったのだ。
「あのとき、周囲の人達が一転して静まった。それは目の前でありえないほどの絶対的な力を見せつけられたから。人間というか動物の本能なんじゃないかしら、強い誰かがいたら危険だと思って恐怖するの。あの場にいた人達はたぶん恐怖に呑まれてた。もしも笑里さんが空気を塗り替えなかったら……」
「化け物とか言われて怖がられていたかも、か。笑里は分かってないんだろうけど……あの一言で助かったのは事実だよな」
笑里や速人のような超人もいるので問題ないと神奈は思っていたが、見通しが甘かった。今までが偶々大丈夫だっただけで、怪物のような力に恐怖する者は少なからずいる。
分かりやすくするなら、世界を支配している魔王がいて、それを倒した勇者は必然的に魔王以上の存在ということになる。つまりその勇者に寝返られた場合、魔王を超える敵が誕生してしまうのだ。
もしも自分達に向かって来たら怖い、一度その思考に陥ってしまえば克服は困難である。これは日常でだってありえてしまう。いじめの現場を見て、次が自分だったら怖いと思うだろう。
力が恐怖となり、恐怖は伝染していく。
しかし逆に受け入れている人間がいれば、負の感情を正の感情に塗りつぶせる可能性もある。笑里がやったのはまさにそれで、何気ない「すごい」という一言で周囲の空気を「怖い」から「頼もしい」や「感動」に塗り替えてみせた。
子供が大人を一撃で、一瞬で倒すのは怖いが、盗まれた物を取り返すためという正義ならば感動にもっていける。見ていた者達の感情は良くも悪くも染まりやすかったので、一気に恐怖は掻き消えていた。
「才華はさ、私のこと……怖い?」
少し震える声で神奈は問いかける。
初めて会ったときは吸血鬼から助けた。しかし吸血鬼という怪物を倒している時点で、神奈はそれ以上の怪物となってしまう。それに気付いたならきっと「怖くない」など言えない。
「怖くない、といえば嘘になるかもしれない……私も彼らと同じだから。それでも私は……」
才華が立ち上がって神奈の前に移動する。
急に神奈の視界に映る景色が、花火から才華の顔になって少し心臓が跳ねた。
「それでも私はあなたを、神谷神奈さんという人間を見てるわ。大事なのは力じゃない、人の本質はそこじゃない。私は神奈さんの中身を知って友達になるって決めたの。どれだけ力があっても、神奈さんが誰かの為に動けて、助けられることを知っているから、いま一緒にいるのよ」
(力に対する怖さはあってもそこではない、か……才華らしい答えかもな。今まで短い間だけど遊んでたし、ここで友達じゃないなんて言われたらショックだった……でもそんなことありえない。だって――才華も、笑里も、私の強さを受け入れてくれているんだから)
二人以上の友達など神奈にはいない。これからも二人が最高の友達で、それを超える友達などできないと確信する。
「本当に、出会えて……よかった」
涙が自然に目から溢れていく。
『落ち込んでいますかあ?』
ふと祝福の管理者からの言葉が神奈の脳裏を過ぎる。
(死んだことは手違いだろうとなんだろうと残念だ。でも今は落ち込むなんてことありえない。この二人がいて後悔することなんて……贅沢で、できやしないだろ)
素晴らしい友人がいるだけで神奈は嬉しく思う。
もしも独りで居続けたらどうなっていたか神奈自身にも分からない。腕輪がいたので笑里や才華と出会わなくても独りではなかったが、仮に本当に独りだったなら苦しかっただろう。前世で両親も友人もおらず孤独だったからといって孤独耐性がつくなんてことはない。
「ちょっと神奈さん……え、泣いてる? お、お願いだから泣き止んで?」
「ごめん、ごめん……このなみだ、だけは……とめ、られないっ」
祝福が前世の行いによって決まるというのなら、神奈はそんなものほとんどないと思っていた。
それでもあるとしたらその祝福は――この二人と、出会えたことだ。
「ああ! 才華ちゃんが神奈ちゃんを泣かしたあ!」
「えっ、ちょっ、私のせいなの!?」
「甘いですねお二人共。才華さんだけでなく、笑里さんも神奈さんを泣かせた原因なんですよ」
「腕輪さんそれ本当!? 私も神奈ちゃんを泣かせちゃったの!?」
一番神奈の心を理解しているのは腕輪であった。本当にその通りなので神奈も何も言えない。
花火は気がつけば最後の一つとなっていた。毎年打ち上げられる、今までの花火よりも大きい特大花火。
暗闇に大きくきれいな赤い花。広がり続けていくそれが散りゆくまで、神奈達は三人で静かに見ていた。
* * *
夏祭りからの帰り道。
神奈達三人はゆっくりと談笑しながら、長い信号が変わるのを待つ。
本殿の上で花火を満喫したはいいが、下りるときに大人に見つかり「怪我したらどうするんだ」と怒られた。これに関しては完全に自業自得なので反論できない。
「それにしても最後の花火大きかったよね。なんだか毎年大きくなってない?」
「技術も日々進歩しているということよ。でも噂だけど、霧雨って人が花火師にアドバイスしたから大きくなったとか」
「へぇ、花火の玉がしけそうな名前だね」
「人の名前になんてこと言うんだ。今すぐ霧雨とかいう人に謝ってこい」
夏祭りは本当に楽しかったと神奈は満足そうに振り返る。
食べ物はありきたりなものばかりだが、それも誰かと一緒に食べるからこそ美味しい。もちろん一人で行っても祭りは楽しいのだろうが、誰かと一緒に行くからこそ楽しめるのだと今日はっきりと理解できた。
「そうだ神奈ちゃん才華ちゃん! 来年も一緒に行こうよ!」
「いいわね、来年からは予定を空けておくわ」
「願ってもない申し出だな。楽しいしありがたいよ」
来年、それまでには確実に侵略者がやってくる。
全てはその結果次第だ。この地球がこれまでのように平和でいられるか、侵略されて偽りの平和になるか。最強らしい宇宙人の侵略など、神奈は絶対に阻止してみせると強く誓う。
信号が赤から青になったことで横断歩道を笑里が駆ける。
才華が焦った顔で慌てて追いかけようとする。その表情は不自然なほどに焦燥感が表れていて――
「笑里さんっ! トラックが、トラックが止まってない!」
必死な叫び声で神奈も気付いた。
無人の大型トラックが赤信号なのに止まっていない。
笑里ならばトラック程度に轢かれても無傷だろうが、神奈は祝福の管理者が言っていた特別なトラックのことを思い出す。もしも迫るトラックがそれならば、笑里でも強制的に死ぬことになる。
「えみりいいい!」
咄嗟の判断で神奈は駆け、笑里を突き飛ばす。
電柱に衝突して目を回しているが一応無事である。
「神奈さん避けてええ!」
叫んでいるのは才華。しかしもう神奈が避けるのは不可能。
本当に息もつかないほどの咄嗟の行動で、神奈の態勢は崩れている。さらにトラックはもう肌に触れようとしていて、確実に回避行動など間に合わない。
(ここで終わりか……したばっかりの約束も守れないなんて、最低だな。この死に方は、後悔しちゃうだろうなあ)
神奈の体が宙を舞う。
誰かの悲鳴が神奈に届く。
トラックが走り去っていく途中で、光になって消えていくのを吹き飛ばされながら神奈は見た。地面にまだ小さい体が叩きつけられて、何度も転がって、勢いがなくなるまでの数秒間転がり続けた。
「大丈夫!?」
「神奈ちゃん死んじゃやだよ!」
遠くまで転がって横たわる神奈に二人が駆ける。
泣くほど心配している二人の声に神奈は――なんてことなくむくりと起き上がって普通に返答した。
「いやわりと平気だわ。なんなんだあのトラック光になって消えやがって」
「本当に大丈夫なのよね……?」
問題ない。問題なんて一つもない。痛みなどないし死ぬということもない。なにせ……神奈は無傷なのだから。
(おかしいな、今のは絶対にただのトラックじゃないはずなのに。異世界転生強制トラックとはあれのことだよなあ。光になって消えるとか、それ以外でありえたらたまったもんじゃない。そんなことがあれば轢き逃げし放題だし)
不思議なトラックのことを考えても、正確な答えは出ない。
「まあいいか……二人共、帰ろうよ」
終わり良ければ総て良し。
神奈は死んでいないし、どこも痛くはない。笑里が轢かれるということもなかったし一件落着である。
ただ一つ、神奈が気になるとすれば……なんとなく温かい何かが、体の中から消えたような気がすることだけだ。それも体に異常はないし大丈夫だろうと判断する。
神奈達は何事もなかったかのように、再び帰り道を歩き始めた。
祝福の管理者「え、私があげた祝福が消えちゃったんですが……」




